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不自然(アルダタ視点)

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「君は今、一人かね」

「今……はい。残りの二人は宿にいますが」

「そうか」

ダイナさんが、私の肩から手を外した。

「何か、ありましたか?」

「いや……実は、君たちに渡したいものがあってね。ここで会うと分かっていれば持ってきていたんだが……

すまないけれど、今から私の家まで着いてきてもらえないだろうか?」

ダイナさんの家は初日に訪れているから、どのあたりにあるかは知っている。

そう遠いわけではない。往復しても、宿に戻る時間がそれほど遅くなるわけではないだろう。

「わかりました、行きましょう」

ダイナさんはほっとした顔を見せた。

「悪いな、また明日の授業の時でもよいかとは思ったんだが……」

そう言うとダイナさんは、先にたって歩き始めた。




「前から気になっていたんだが……」とダイナさんは言った。

「はい」

「君は珍しい瞳の色をしているね」

「そうですね、あまり似たような人を見かけません」

私の瞳は、他の人に比べて暗い色をしている。似たような色をしている人は、周りに一人もいなかった。

「ご両親がそうだったのか?」

「いえ。父も母も、このような目の色ではありませんでした」

「そうか……」

話はそれで途絶えた。

私は、話題を変えた。

「しかし広場にも、様々な方が集まってこられますね。

話には聞いておりましたが、思った以上に多様で驚いております」

「……そうだな」

ダイナさんの態度はそっけなかった。教えること以外には興味がないということだろうか。

「あの、せっかくの機会なのでお伺いしてもよろしいですか?」

「なんだね?」

「ダイナさんはどうしてこれほどまでに熱心に、この活動に取り組まれているのですか。

支援者の方から頂いたものもほとんどあの場の食事などで使われているようですし、どうしてこれほどまでに、身を捧げられているのでしょう」

ダイナさんは、少し黙っていた。何か他に気になることでもあるのか、上の空な調子にも見えた。

日中、あれだけ集中して授業を行なっているから、疲れていてもおかしくはない。

調査の一環とはいえ、あまりしつこく尋ねるのは控えるべきか。

もう少し歩けば、ダイナさんの家に着く。

荷物を受け取ったら、大人しく帰ろうと思った。

「私は……」

ダイナさんが、口を開いた。
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