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悪魔の凱旋(ペドロル視点)
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ダパス紛争について、蔵書館で調べた日から。
俺は一週間かけて、自分がたてた仮説の証拠を探し求めた。
ボロボロウ人に襲われたという村に行き、被害状況を確認し。
ガテスラに歴史学者を手配させ、ダパス地方で争っている民族─── アテラル系とサバイド系 ───について詳細を求めた。
我が国の辺境をたびたび襲う野蛮人と、隣接した地方で争っている二つの民族。
調べれば調べるほど、ボロボロウ人とどちらかの民族が手を組んでいる線は濃厚なものに思えてくる。
こうなってくると逆に不思議なのは、なぜ今までこの可能性を疑い調べた人間がいないのかということだ。
襲われている村の立地からして、ボロボロウ人が北からではなく東のダパス地方から攻めているのは明らかであるし、それを考えれば、ダパス地方に拠点があるとか、ダパスに仲間がいると発想するのは、そう難しいことではない。
……やはり、先入観か。
ボロボロウ人が猿同然の知能の低い存在であるという先入観が、人々の目を眩ませているように思われる。
確かに村の略奪の仕方はあの田舎将軍も行っていたように荒っぽかった。だが、この国に対する侵入の経路と手筈が、あまりに効果的過ぎる。
この国が容易には踏み込めない紛争地域から現れて、短時間で略奪し、また紛争地域へと戻っていく。
野生のまま盗みを犯す猿なら、もっと国の内部に攻めてきて捕らえられたり、防衛レベルの高い都市へ無謀に突っ込んで返り討ちにあったり、そういうことが起こっているはずだ。
しかしそういった例は、調べた限りなかった。
だとすれば、知能が無いにしては手口があまりに巧妙なのだ。
そしてボロボロウ人とダパス紛争民族とのつながり。
ボロボロウ人は研究に値しないと考えられているのか、資料が他の民族に比べかなり手薄だったが、この一週間、蔵書館にもほぼ毎日のように足を運んだ甲斐あって、古い資料の中にある一節を見つけた。
俺はその一節を見て確信したのだ。
ここまで条件が揃えば、荒唐無稽に見える仮説にも、それなりの説得力が生まれるだろうと。
それはつまり、ようやく時が来たということだ。
俺はこの仮説を、辺境視察の土産物として父に報告する。
この国の防衛がかかった一大事とあらば、父もこの件を無視するわけにはいくまい。
俺は有力な仮説を提供した有能な者として父の怒りを解き、中央への凱旋を果たす。
待ってろよ、国王。
お前の息子が重要な成果を携えて、辺境の地から帰ってくるぞ。
俺は一週間かけて、自分がたてた仮説の証拠を探し求めた。
ボロボロウ人に襲われたという村に行き、被害状況を確認し。
ガテスラに歴史学者を手配させ、ダパス地方で争っている民族─── アテラル系とサバイド系 ───について詳細を求めた。
我が国の辺境をたびたび襲う野蛮人と、隣接した地方で争っている二つの民族。
調べれば調べるほど、ボロボロウ人とどちらかの民族が手を組んでいる線は濃厚なものに思えてくる。
こうなってくると逆に不思議なのは、なぜ今までこの可能性を疑い調べた人間がいないのかということだ。
襲われている村の立地からして、ボロボロウ人が北からではなく東のダパス地方から攻めているのは明らかであるし、それを考えれば、ダパス地方に拠点があるとか、ダパスに仲間がいると発想するのは、そう難しいことではない。
……やはり、先入観か。
ボロボロウ人が猿同然の知能の低い存在であるという先入観が、人々の目を眩ませているように思われる。
確かに村の略奪の仕方はあの田舎将軍も行っていたように荒っぽかった。だが、この国に対する侵入の経路と手筈が、あまりに効果的過ぎる。
この国が容易には踏み込めない紛争地域から現れて、短時間で略奪し、また紛争地域へと戻っていく。
野生のまま盗みを犯す猿なら、もっと国の内部に攻めてきて捕らえられたり、防衛レベルの高い都市へ無謀に突っ込んで返り討ちにあったり、そういうことが起こっているはずだ。
しかしそういった例は、調べた限りなかった。
だとすれば、知能が無いにしては手口があまりに巧妙なのだ。
そしてボロボロウ人とダパス紛争民族とのつながり。
ボロボロウ人は研究に値しないと考えられているのか、資料が他の民族に比べかなり手薄だったが、この一週間、蔵書館にもほぼ毎日のように足を運んだ甲斐あって、古い資料の中にある一節を見つけた。
俺はその一節を見て確信したのだ。
ここまで条件が揃えば、荒唐無稽に見える仮説にも、それなりの説得力が生まれるだろうと。
それはつまり、ようやく時が来たということだ。
俺はこの仮説を、辺境視察の土産物として父に報告する。
この国の防衛がかかった一大事とあらば、父もこの件を無視するわけにはいくまい。
俺は有力な仮説を提供した有能な者として父の怒りを解き、中央への凱旋を果たす。
待ってろよ、国王。
お前の息子が重要な成果を携えて、辺境の地から帰ってくるぞ。
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