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追いかける(タラレッダ視点)

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 酔っ払いは部屋に残して、私はすぐにパージ爺さんのいる馬小屋に戻ったよ。

 爺さんはやっぱり、まだ馬の面倒を見ていた。

「あんた! この後、何か予定はあるのかい?」
「ああ、どうしたんだ、また」
「ちょっとね。で、この後、馬車に誰かを乗せるかい?」
「ああ。この後は町へ行って、ペドロル様を拾うよう言われているよ。まあ、夜が遅くなってからだけどな」

 ちっ。また浮気相手のとこへでも行ってたんだろうかね。

「まぁちょうどいいや。町へ行くんなら、私も乗っけていっておくれよ」
「あぁ……まぁいいが。じゃあ出発するくらいになったら……」
「急ぎなんだ! 今から出られないかい?」
「えぇ?」
 
 戸惑うのも分かるよ。そもそも主人の付き添いでもないのに、使用人一人で馬車に乗せろだなんて。
 あの馬鹿王子に知られたら、私も屋敷から出て行けって言われるだろうかね。

 まあそうなったらそうなったときのことだ。

 私はポケットから、小遣いを入れている巾着を取り出した。
 その中から、何枚かの銅貨を取り出して、パージ爺さんの前に差し出す。
「ペドロル様の約束まで待つ必要があるんなら、これで町のカフェにでも入りな。そうしたら時間を潰せるだろう?」
「いや、しかし……」
「お願いだよ! まだ詳しいことは分からないんだが、どうやらアルダタの坊やがいなくなっちまったみたいなんだよ」
「えぇ? そりゃほんとかい」
「嘘ついてどうすんだい。とにかく、町の方に向かったって話なんだ。もしかしたら、誰かに会いに行ったのかもしれない」

 私の勘が正しければ、あの子が向かった先は一つしかないね。

「そうか。そんならすぐに向かおう」
「すまないね。ほら、これ」

 私はパージ爺さんに無理やり銅貨を押し付けた。

「いや、いらないよ。それは」
「いいから」

 馬を愛でる大事な時間を邪魔しちまったわけだから、それくらいはさ。
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