白い部屋で愛を囁いて

氷魚彰人

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 竜が営む居酒屋は店のオーナーである竜とバイト三人の計四人の小さな店だ。
 料理は竜が一人で賄い、バイトは一人ないし二人で接客に当たっている。
 葵はバイトが来る前の時間帯に簡単な仕込み作業を手伝い、それ以外は経理の入力作業をして過ごす。
 基本、人が居る時は住居となっている二階からは下りないでいる為、住み始めて一ヶ月、お客は勿論バイトの人間も葵の存在を知らない。
 もしも、両親が葵を探しに来たとしてもバレる事はないだろう。
 一応、携帯の電源は切っておく事にした。あの人達が本気で調べたら基地局を特定し居場所がバレてしまうだろうから。
 携帯は自分が使う時だけ電源を入れる。
 少し窮屈だけど、この生活をあと七ヶ月繰り返せば赤ちゃんに会える。
 そう自分に言い聞かせ、辛いつわりを我慢した。
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