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勇者ダルガム

ダバインとの戦い・1

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 旅の疲れはなかった。
 勇者ダルガムはまだ暗いうちに起きて、戦の支度を始めた。
 勇者たちは明るくなるのを待って、宿を出た。ダルガムと一緒に旅をしてきた武道家が城のからめ手からの攻撃を行うことになっていて、一行から離れた。
 城門前の家の陰に元勇者やリンたちが身を潜めて待っていた。
「もう知れておるな」
 元勇者リュウが言った。
 城の上空を多くの魔物が飛び回っている。
 皆が城門の前に集まった。
 ちょうど太陽が遠くの山の上から現れるところだった。
「では行こう」
 リュウが言い、勇者たちを先頭に城に入っていった。

 王の間に近づくと、強い魔物たちが現れて行く手を阻んだ。
 勇者ダルガムはそんな魔物たちを倒しながら進んでいった。勇者グルドフも魔物の攻撃を瞬時に見切り、次々と斬り捨てていく。
 確かに素晴らしい腕前だった。
 王の間に入ると、部屋の中央にダバインが立っていた。
 勇者ダルガムは、ダバインの後ろに魔王が立っているかのような錯覚を覚えた。それほどダバインの発する気は凄まじかった。
 ダバインの前にいた魔物が襲いかかってきた。より強い魔物で、ダルガムは何とか対応して倒した。
 勇者グルドフはすでに剣を構えてダバインに対峙していた。ダバインの意識はグルドフにある。
「かかってこい」
 不敵な笑みを浮かべたダバインが言った。
 ダルガムは、ここは自分が先に行くべきだと思い、ダバインに斬りかかっていった。
 ダルガムの目の前からダバインの姿が消えた。
 ダバインの剣が見えた時には、すでにかわす術がなく、ダルガムはダバインの剣に足を斬られた。
 床に倒れながら、ダルガムはダバインの次の攻撃に備えようとしたが、ダバインはグルドフに剣を振っていた。
 足の傷は浅かった。
 ダルガムは急いで起き上がりながら、ダバインの背に剣を振った。
 だが、ダバインはそれもかわした。
 ダルガムはまだ立ち上がっていなかった。
 ダバインの攻撃が見え、剣で防ごうとしたが、間に合わなかった。
 死んだと思った。
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