グルドフ旅行記

原口源太郎

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グルドフ旅行記・7 かわいい同行者

旅立ちの時

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 翌日、城を出たグルドフとポポンは、やっと念願のターロウの道場へ行くことができた。
 老武道家ターロウも、数日前にグルドフに会ったときは王様の用事を優先するようにと言ったが、本当は首を長くしてグルドフたちが来るのを待ち焦がれていた。
 それから十日間ほどグルドフはターロウの道場に入り浸り、思う存分稽古をつけ、つけられ、そして飽きることなく話をした。
 ポポンも初日と、その他時々はグルドフと共に道場へ赴いたが、それ以外の日は、マットアンの町の観光をして過ごした。観光の案内役を務めてくれたのはセーラだった。ほとんど男ばかりの道場にいるよりも、セーラといるほうがよっぽど楽しく、ポポンは至福の時を過ごすことができた。
 やがてグルドフとポポンはマットアンの町を旅立つ時が来た。
 町を出る門まで姫様とセーラ、それに王子様までわざわざ見送りに来てくれた。
 グルドフとポポンは何度も振り返っては手を振って別れを惜しんだ。
 やがて見送りの人々は見えなくなった。
「あんなにいい娘さんは、めったにいないよ」
 ポポンが寂しそうに言った。
「セーラさんのことですか?」
「そうさ。王子様も惚れるのがわかるね」
「王子様も?」
「わしだって、もう三十歳若かったら惚れていたよ」
「今でも十分惚れているじゃないですか」
「そうだね。きっと惚れちゃったね」
「奥さんにチクってしまいますぞ」
「何だよ、大人気ない」
「大人気ないのはポポン殿でしょう」
「わしは大人気ある」
「大人気ないでしょう」
「大人気ある」
「大人気ない」
「大人気ある」
「何だかなぁ」
 まだまだ大人気ないところのあるグルドフとポポンだった。



 グルドフ旅行記・7話 終わり 
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