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グルドフ旅行記・5 オオカミ親分の憂鬱
ひとつ目一家
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(何の用だ!)
オオカミ親分の倍もありそうな巨体を揺らして、ひとつ目親分が姿を現した。
名前の通り、顔の中央に巨大な目が一つある。
(俺の子分になれ)
オオカミ親分が牙をむき出して言った。
(は?)
(俺の子分になれ)
(何て言った?)
(もう言わねえ)
そう言うと、オオカミ親分はひとつ目親分に跳びかかった。
ひとつ目親分は丸太のような棍棒を振り回した。
オオカミ親分は元々オオカミの血が入っているから、身のこなしは早い。ひとつ目親分の振り回す丸太を、苦も無くひょいひょいとかわした。
オオカミ親分はオオカミ男の中でも、ひときわ大きな体をしている。それなのに信じられないほど素早い動きでひとつ目親分の攻撃をかわすので、オオカミ親分の子分たちをはじめ、キングたちも驚いた。
(さすがは親分、逃げ足が速いだけのことはあらぁ)
パタパタと飛ぶドラ吉が言った。
(親分は逃げ足も速いのか?)
キングがドラ吉の言葉を聞きつけて言った。
(まあ、親分は何事にも素早いっすよ)
ドラ吉が言った。
オオカミ親分は、ひとつ目親分の後ろに回って背中を鋭い爪で引っかいた。
(いて!)
ひとつ目親分はムキになって棍棒を振り回したが、虚しく空を切るばかりだった。
オオカミ親分はひとつ目親分の腕に噛みついた。
(ゲッ!)
ひとつ目親分は振り回していた棍棒を放り出した。
続いてオオカミ親分がひとつ目親分の足に噛みつくと、ひとつ目親分はたまらず地響きを立てて仰向けに倒れた。
オオカミ親分はひとつ目親分の腹の上に馬乗りになり、顔をポカポカと殴り始めた。
ひとつ目親分の後ろに控えていた子分たちが助けに入ろうとしたが、オオカミ親分とキングの子分たちのほうが魔物数が多く、手出しをするなというように睨んでいたので、何もできなかった。
(痛い、痛い! ごめん、許してくれ)
ひとつ目親分が大きな目から涙を流して哀れな声で言った。
(この爪でその目玉を引っかいてやろうか)
(親分の子分になります、許してください)
それを聞いてオオカミ親分はひとつ目親分から離れた。
ひとつ目親分は土下座してオオカミ親分に頭を下げた。後ろに控えていたひとつ目親分の子分たちも同じようにひざまづいて、オオカミ親分に頭を下げた。
(こんなにコテンパンにやられたのは生まれて初めてだ。こうなったらオオカミ親分、あんたのためなら命だって張りますぜ)
(いや、俺のために命なんて張らなくていい。俺の頼みを一つだけ聞いてくれりゃ、それでいいのよ)
オオカミ親分の倍もありそうな巨体を揺らして、ひとつ目親分が姿を現した。
名前の通り、顔の中央に巨大な目が一つある。
(俺の子分になれ)
オオカミ親分が牙をむき出して言った。
(は?)
(俺の子分になれ)
(何て言った?)
(もう言わねえ)
そう言うと、オオカミ親分はひとつ目親分に跳びかかった。
ひとつ目親分は丸太のような棍棒を振り回した。
オオカミ親分は元々オオカミの血が入っているから、身のこなしは早い。ひとつ目親分の振り回す丸太を、苦も無くひょいひょいとかわした。
オオカミ親分はオオカミ男の中でも、ひときわ大きな体をしている。それなのに信じられないほど素早い動きでひとつ目親分の攻撃をかわすので、オオカミ親分の子分たちをはじめ、キングたちも驚いた。
(さすがは親分、逃げ足が速いだけのことはあらぁ)
パタパタと飛ぶドラ吉が言った。
(親分は逃げ足も速いのか?)
キングがドラ吉の言葉を聞きつけて言った。
(まあ、親分は何事にも素早いっすよ)
ドラ吉が言った。
オオカミ親分は、ひとつ目親分の後ろに回って背中を鋭い爪で引っかいた。
(いて!)
ひとつ目親分はムキになって棍棒を振り回したが、虚しく空を切るばかりだった。
オオカミ親分はひとつ目親分の腕に噛みついた。
(ゲッ!)
ひとつ目親分は振り回していた棍棒を放り出した。
続いてオオカミ親分がひとつ目親分の足に噛みつくと、ひとつ目親分はたまらず地響きを立てて仰向けに倒れた。
オオカミ親分はひとつ目親分の腹の上に馬乗りになり、顔をポカポカと殴り始めた。
ひとつ目親分の後ろに控えていた子分たちが助けに入ろうとしたが、オオカミ親分とキングの子分たちのほうが魔物数が多く、手出しをするなというように睨んでいたので、何もできなかった。
(痛い、痛い! ごめん、許してくれ)
ひとつ目親分が大きな目から涙を流して哀れな声で言った。
(この爪でその目玉を引っかいてやろうか)
(親分の子分になります、許してください)
それを聞いてオオカミ親分はひとつ目親分から離れた。
ひとつ目親分は土下座してオオカミ親分に頭を下げた。後ろに控えていたひとつ目親分の子分たちも同じようにひざまづいて、オオカミ親分に頭を下げた。
(こんなにコテンパンにやられたのは生まれて初めてだ。こうなったらオオカミ親分、あんたのためなら命だって張りますぜ)
(いや、俺のために命なんて張らなくていい。俺の頼みを一つだけ聞いてくれりゃ、それでいいのよ)
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