26 / 100
グルドフ旅行記・3 勇者をやっつけろ
岩山に潜む魔物たち
しおりを挟む
コウモリに似た魔物が、青い空の中をパタパタと飛んでいく。
やがて魔物は険しい山々に囲まれた谷に降りていき、谷底にある洞窟へと入っていった。
洞窟の中には多くの魔物がたむろしている。
コウモリ型の魔物は、洞窟の一番奥にいる大きなオオカミ男風の魔物の前まで飛んでいき、そこで天井に張り付いた。
「キーキー、キーキー」
コウモリ型が言った。
「ガウ?」
オオカミ男風が訊いた。
「キーキーキー」
「ガウガウ」
「キーキーキーキーキー、キーキーキーキー」
「ガウ!」
「キーキーキーキーキー」
「ガウー」
「キー・・・・・
この物語を読んでいるのは人間様なので、魔物言葉を理解できないと思うので、訳を入れてもう一度書き直します。
コウモリに似た魔物が、青い空の中をパタパタと飛んでいく。
やがて魔物は険しい山々に囲まれた谷に降りていき、谷底にある洞窟へと入っていった。
洞窟の中には多くの魔物がたむろしている。
コウモリ型の魔物は、洞窟の一番奥にいる大きなオオカミ男風の魔物の前まで飛んでいき、そこで天井に張り付いた。
「キーキー、キーキー」
(てぇへんだ、てぇへんだ)
コウモリ型が言った。
「ガウ?」
(どうした?)
オオカミ男風が訊いた。
「キーキーキー」
(勇者がやって来る)
「ガウガウ」
(勇者だと)
「キーキーキーキーキー、キーキーキーキー」
(ドラゴンのタツ様とダバイン様を、やっつけた奴のうちの一人だ)
「ガウ!」
(何!)
「キーキーキーキーキー」
(小さくてちょび髭をはやした方だ)
「ガウー」
(うーむ)
「キー・・・・・
意味が理解できないのに魔物言葉を書いても仕方がないので、以下、魔物言葉を省略し、訳のみ表記します。
(あいつら、勇者と年寄りの魔法使いみてえなの二人だけだ。ヤッちまいましょう)
(いや、あいつはめちゃくちゃ強い。わしらが束になってかかったところで、かなわねぇ)
(それでも親分・・・・)
(ちょっと待て。おい! みんな集まってくれ!)
オオカミ男は洞窟の魔物たちに向かって叫んだ。
魔物たちがぞろぞろと洞窟の奥に集まった。
実はこの魔物、数年前にアザム王国(当時はダバイン王国)の王、ダバインが殺された時、その城にいた魔物たちだ。
オオカミ男はドラゴンの手下で、ダバイン王のいる王の間でダバイン王を守る役目についていた。しかし、力自慢の魔物たちをいとも簡単に斬り捨てていく勇者を見て、驚き、怖くなってその場から逃げ出した。
いつしか、その時に逃げ出した魔物たちが集まって徒党を組むようになったが、仲間を見捨てて逃げ出した物たちという目で他の魔物たちに見られ、人も魔物もほとんど寄り付かない高地の山奥で暮らすようになっていた。
(親分だったタツ様とその友人のダバイン様を殺した勇者が近くに来ている。敵を討つ絶好の機会だと思わねーか!)
オオカミ男は集まった魔物たちに呼びかけた。
魔物たちは戸惑っている。勇者の実力を知っている魔物もいるからだ。
(相手は勇者と老いぼれの二人だけだ)
それを聞いて魔物たちの顔つきが変わった。
(よし、敵を討ってやろう)
(そうだ、殺っちまえ)
(殺せ、殺せ)
(よし、決まった。では、どうやって殺すか? まともに戦っては、あの勇者一人でもとても勝ち目はない)
それを聞いて、魔物たちはまたしゅんと大人しくなった。
(皆、頭を絞って考えろ)
オオカミ男が言った。だが、人間よりも知能レベルの低い魔物たちだ。そう良い考えなどすぐに浮かんでくるわけがない。
一時間ほど考えていると、人間のゾンビタイプの魔物が口を開いた。
(オオカミ親分、勇者に近づくと斬られてしまいます。遠くから攻撃して殺すのがいいんじゃねぇかと思いますが)
(どうやって?)
(山の上から大きな岩をゴロゴロっと転がして、潰してしまうのでさぁ)
(勇者どもはそんなもの、簡単にかわしてしまうぞ)
(かわしきれねぇほど沢山の岩を、いっぺんに落としてやるんでさぁ。数撃ちゃ当たるってやつで)
(うむ。それならたとえ失敗したとしても、我々は安全だ。それで行こう。ドラ吉、奴らのいる辺りまで案内してくれ)
(あいよ)
コウモリに似た魔物が応えた。
やがて魔物は険しい山々に囲まれた谷に降りていき、谷底にある洞窟へと入っていった。
洞窟の中には多くの魔物がたむろしている。
コウモリ型の魔物は、洞窟の一番奥にいる大きなオオカミ男風の魔物の前まで飛んでいき、そこで天井に張り付いた。
「キーキー、キーキー」
コウモリ型が言った。
「ガウ?」
オオカミ男風が訊いた。
「キーキーキー」
「ガウガウ」
「キーキーキーキーキー、キーキーキーキー」
「ガウ!」
「キーキーキーキーキー」
「ガウー」
「キー・・・・・
この物語を読んでいるのは人間様なので、魔物言葉を理解できないと思うので、訳を入れてもう一度書き直します。
コウモリに似た魔物が、青い空の中をパタパタと飛んでいく。
やがて魔物は険しい山々に囲まれた谷に降りていき、谷底にある洞窟へと入っていった。
洞窟の中には多くの魔物がたむろしている。
コウモリ型の魔物は、洞窟の一番奥にいる大きなオオカミ男風の魔物の前まで飛んでいき、そこで天井に張り付いた。
「キーキー、キーキー」
(てぇへんだ、てぇへんだ)
コウモリ型が言った。
「ガウ?」
(どうした?)
オオカミ男風が訊いた。
「キーキーキー」
(勇者がやって来る)
「ガウガウ」
(勇者だと)
「キーキーキーキーキー、キーキーキーキー」
(ドラゴンのタツ様とダバイン様を、やっつけた奴のうちの一人だ)
「ガウ!」
(何!)
「キーキーキーキーキー」
(小さくてちょび髭をはやした方だ)
「ガウー」
(うーむ)
「キー・・・・・
意味が理解できないのに魔物言葉を書いても仕方がないので、以下、魔物言葉を省略し、訳のみ表記します。
(あいつら、勇者と年寄りの魔法使いみてえなの二人だけだ。ヤッちまいましょう)
(いや、あいつはめちゃくちゃ強い。わしらが束になってかかったところで、かなわねぇ)
(それでも親分・・・・)
(ちょっと待て。おい! みんな集まってくれ!)
オオカミ男は洞窟の魔物たちに向かって叫んだ。
魔物たちがぞろぞろと洞窟の奥に集まった。
実はこの魔物、数年前にアザム王国(当時はダバイン王国)の王、ダバインが殺された時、その城にいた魔物たちだ。
オオカミ男はドラゴンの手下で、ダバイン王のいる王の間でダバイン王を守る役目についていた。しかし、力自慢の魔物たちをいとも簡単に斬り捨てていく勇者を見て、驚き、怖くなってその場から逃げ出した。
いつしか、その時に逃げ出した魔物たちが集まって徒党を組むようになったが、仲間を見捨てて逃げ出した物たちという目で他の魔物たちに見られ、人も魔物もほとんど寄り付かない高地の山奥で暮らすようになっていた。
(親分だったタツ様とその友人のダバイン様を殺した勇者が近くに来ている。敵を討つ絶好の機会だと思わねーか!)
オオカミ男は集まった魔物たちに呼びかけた。
魔物たちは戸惑っている。勇者の実力を知っている魔物もいるからだ。
(相手は勇者と老いぼれの二人だけだ)
それを聞いて魔物たちの顔つきが変わった。
(よし、敵を討ってやろう)
(そうだ、殺っちまえ)
(殺せ、殺せ)
(よし、決まった。では、どうやって殺すか? まともに戦っては、あの勇者一人でもとても勝ち目はない)
それを聞いて、魔物たちはまたしゅんと大人しくなった。
(皆、頭を絞って考えろ)
オオカミ男が言った。だが、人間よりも知能レベルの低い魔物たちだ。そう良い考えなどすぐに浮かんでくるわけがない。
一時間ほど考えていると、人間のゾンビタイプの魔物が口を開いた。
(オオカミ親分、勇者に近づくと斬られてしまいます。遠くから攻撃して殺すのがいいんじゃねぇかと思いますが)
(どうやって?)
(山の上から大きな岩をゴロゴロっと転がして、潰してしまうのでさぁ)
(勇者どもはそんなもの、簡単にかわしてしまうぞ)
(かわしきれねぇほど沢山の岩を、いっぺんに落としてやるんでさぁ。数撃ちゃ当たるってやつで)
(うむ。それならたとえ失敗したとしても、我々は安全だ。それで行こう。ドラ吉、奴らのいる辺りまで案内してくれ)
(あいよ)
コウモリに似た魔物が応えた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる