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グルドフ旅行記・1 ジング王国の少年
武道家・2
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木刀を構えて向かい合うと、途端に息子の体がビシッと締まった。・・・・ような気がした。何か分からないが、何かが変わったのは確かだ。
グルドフは試しにいくらか力を抜いて打ち込んでみた。
息子は、緩く吹く風になびく葉のように、すいと避けてかわした。
もう一度、もう少し早く打ち込んでみた。
息子はまた、すっとグルドフの剣をかわした。
それだけで、グルドフはこの少年が素晴らしい技量を備えていることがわかった。
「エイッ!」
グルドフは裂ぱくの気合を発して少年に打ち込んだ。
並の人間ならその気合に押されてしまうのだが、少年は物おじせずにグルドフの打ち込みをガチンと受けた。
グルドフはすかさず次から次へと打ち込んだ。
カンカンカンという乾いた音が道場に響き渡った。
「素晴らしい技量を持っていますな」
打ち合いを終えてグルドフが言った。
少年は一度たりともグルドフの打ち込みを受け損なうことがなかった。しかし、剣の構えを解いたとたんに、またのろのろとした別人に戻ってしまった。
「あんな風なので、勇者どころか武道家としてもお役には立てぬでしょう」
去っていく息子の背中を見ながら武道家は言った。
「この国の勇者たちは主に三人で旅をしていたと聞きました。もう一人の魔法使い殿は今、何をしていますか?」
「魔法使いはとっくに引退し、今はレストランを経営しております」
グルドフは試しにいくらか力を抜いて打ち込んでみた。
息子は、緩く吹く風になびく葉のように、すいと避けてかわした。
もう一度、もう少し早く打ち込んでみた。
息子はまた、すっとグルドフの剣をかわした。
それだけで、グルドフはこの少年が素晴らしい技量を備えていることがわかった。
「エイッ!」
グルドフは裂ぱくの気合を発して少年に打ち込んだ。
並の人間ならその気合に押されてしまうのだが、少年は物おじせずにグルドフの打ち込みをガチンと受けた。
グルドフはすかさず次から次へと打ち込んだ。
カンカンカンという乾いた音が道場に響き渡った。
「素晴らしい技量を持っていますな」
打ち合いを終えてグルドフが言った。
少年は一度たりともグルドフの打ち込みを受け損なうことがなかった。しかし、剣の構えを解いたとたんに、またのろのろとした別人に戻ってしまった。
「あんな風なので、勇者どころか武道家としてもお役には立てぬでしょう」
去っていく息子の背中を見ながら武道家は言った。
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