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14.観客たち

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その夜は、少しだけナリアの趣向が取り入れられ、いつもより刺激的な交わりになった。
アロナは目隠しをされ、中央に置かれた寝台に縛り付けられていた。

寝台の周りに立った三人は、羞恥に震えるアロナを見おろした。

「やっぱり可愛いわ……」

ナリアがひっそり呟いた。
カインは床に四つん這いになり、目隠しをされ不安そうに首をふるアロナに語り掛けた。

「アロナ、俺はここにいるから。大丈夫だ」

その声が聞こえると、アロナはほっとして微笑んだ。
ドルバインは服を脱いで自慢の体を二人の前に晒した。

分厚い胸から肥えた腹、その下の股間までびっしり毛が生えている。
さらに股間の茂みもかなり濃く、立派な男の象徴は、ジャングルから飛び出したヤシのごとく分厚い縮れ毛の中からそそり立っていた。
なぜこれで、頭頂部が禿げているのか不思議なほどの剛毛だった。

「すごいわ……」

ナリアは毛だらけのドルバインの下腹部だけみて、まるで獣姦のようだと密かに考えた。
実際に出来ないことだが、そんな想像を掻き立てられてしまうドルバインの容姿は、やはりナリアの好みにぴったりだった。

そんな獣を前に、身動きできない状態で縛り付けられたアロナは、か弱い美女に見えなくもなかった。
明るい麦色の髪を枕元に広げ、ピンク色の唇の上を小さな舌が不安げに舐めている。

白い肌は高価な石鹸で洗わせ、侍女に命じて香油まで塗らせていた。
目隠しをされた美女が、相手もわからない男に犯されるのだと考えてみれば、その想像も楽しめた。
ナリアはカインと反対側から床に膝をつき、その様子をしっかり見ようと寝台にかじりついた。

ドルバインが両膝をついて寝台に上がった。
寝台のマットが深く沈み、アロナはびくりと体を震わせ、ドルバインの気配を探ろうと首をかすかに動かした。

ドルバインは膝でアロナの体を挟み、足元から顔の方まで上がって行く。
ナリアとカインが見守る中、アロナの顔まで登ってきたドルバインは、その上にゆっくり腰を下ろしていく。
最初に柔らかなふくらみがアロナの唇に触れた。

すぐにアロナは口を開き、優しくそれをくわえこむと、舌で愛撫した。

「んっ……」

鼻先や口の周りにごわつく毛がまとわりつき、アロナは息苦しそうに顎を上にあげた。
じわじわとドルバインはさらに上に向かい、後ろに手をついてお尻をアロナの顔に下ろした。

「あっ……」

口からぽろりと袋の部分がこぼれ、硬くざらついたお尻がアロナの顔を撫でた。

「ああ……」

うっとりとした声を漏らしたのはナリアだった。
若い女性の顔が毛深い男の尻に覆われ、その小さな鼻や口が埋まっていく。

ナリアにとっては最高に興奮する状況だった。
その時、寝台を挟んだ向こう側から、カインがアロナに囁く声が聞こえてきた。

「アロナ、大丈夫か?」

その声は興奮で震え、表情にも喜びがあるが、その声は本気で心配しているように聞こえた。
アロナとカインの答えを待つように、ドルバインがぴたりと動きを止めた。

「そこにいる?カイン……」

「いるよ……。きれいだ、とてもきれいだよ、アロナ」

夫婦の甘い会話をドルバインはじっと聞いている。

「大丈夫よ……私も……興奮してきたかも」

「楽しんで、アロナ」

アロナの返答を確認し、ドルバインは再び腰を下ろし始めた。
分厚い毛に覆われた尻がアロナ顔を隠してしまうと、その下から舌で何かを舐める音が聞こえてきた。

ナリアはそのおぞましい光景に胸を熱くし、ドルバインの突き出た腹越しにカインを見た。
カインもまた、恍惚とした表情で、他の男のお尻を愛撫する妻の姿に見入っている。

その姿を見ても、もうナリアにはカインを変態だとは思えなかった。
欲望を正しい方法で満たし、心から楽しんでいるのだ。
互いを理解して受け入れようとする深い愛無しには成立しない光景だ。

理解されない性癖を満たすための場所が、現実に存在しているのだとナリアは心の底から納得出来た。
なぜなら、ナリア自身も夢にまでみた光景の中にいたからだ。

いつも心にあった、自分でさえ説明のつかない満たされない欲望にようやく気付くことが出来た。ドルバインの心が手に入らず、苛立っていた日々や、見た目が美しい夫との優しい生活に物足りなさを感じていた日々、自分自身が欲しいものがわからず、常に空虚な想いが消えなかった。
そんな長い間抱えてきた苛立ちや不満がようやく消えていく。

アロナとドルバインの関係を快く支持できるし、カインのような夫の存在も理解できた。

その瞬間、ナリアにとってカインもアロナもただの平民とは思えなくなった。
彼らは理解者であり、同じ世界の住人なのだ。

夫だった時から、ドルバインは高潔な人だと評判だった。
身分にかかわらず、正しく人を判断できるからだ。
そんな彼だから、同じ欲望を抱く者同士が、等しく受け入れられる世界を作ることが出来たのだとナリアは思った。

「んんっ……」

お尻の剛毛と肉に顔を押しつぶされたアロナが苦しそうな声を出した。
ドルバインがお尻を少し上げ、縮れ毛の先でアロナの顔を拭くように前後に動いた。

「あっ……ああっ……」

屈辱に赤く染まるアロナの顔がちらりと見え、ナリアは歓喜の表情で両手を胸の前で強く握りしめた。
アロナが必死に舌を伸ばし、お尻の穴を愛撫しようとしている。

その後ろから前にかけて、ドルバインが動くと、アロナの顔が縮れ毛にこすられ、唾液が顔にべったりとついた。
ドルバインの腰があがり、今度は前かがみにアロナの顔を股間に挟む。
ついに長く、太いものがアロナの唇を割って入った。
目隠しをされているアロナは、戸惑ったようにびくりと体を震わせ、必死にその状況に合わせて愛撫の方法を変えていく。

男の欲望の象徴を小さな唇で挟み込み、舌や喉を使って奉仕する姿は、ナリアから見たら本当に魅力的だった。
ナリアは自分の胸に触れ、それからドレスの上から股間を押さえた。

寝台の反対側では、カインも同じように乳首をいじり、股間をふってアロナの姿を見つめている。
ドルバインが股間に触れようとするカインに、駄目だと命じると、カインはすぐに両手を床についた。

なんて、情けなくて可愛そうな姿なのだろうと、ナリアはその光景にも見とれた。
アロナとドルバインの姿を見学しながら、ナリアは寝台の反対側に回り、カインの体にそっと触れた。

びくんとカインが体を震わせ、その刺激だけで達しそうになる強い快感を必死に押さえ込む。
ナリアは後ろからカインの耳にそっと囁いた。

「情けない夫ね。そんなに立派なものがあるのに、あなたのものである奥さんの中に入れられないなんて。あんなに柔らかそうな胸も、小さな唇も全て目の前で奪われて、床に向かって子種を吐き出すしかないなんて、なんて哀れなのかしら」

「ううっ……」

目から入る刺激だけではなく、ナリアの言葉の響きに、カインは苦しそうなうめき声を上げた。
ナリアは自分の荷物から貞操帯を持ってきて、それをカインの腰に巻き付けた。
もう既に大きくなっていたそれはぎゅうぎゅうに筒と丸い殻の中に押し込まれ、カインは苦痛と快感の入り混じった悲鳴をあげた。

「あああっ……」

雄の滴りが床にぽたぽたと垂れ、ナリアはまたも同情的な声をあげた。

「まぁ、貴重な子種が捨てられてしまうわね。でも仕方がないわね。だって、あなたは奥さんの中に入れられないのだもの。大きくしても虚しいだけよ」

「あああっ……」

カインの腰が発情期の雄犬のように揺れ始める。

ドルバインが注意をしようかと視線を向け、ナリアの冷酷な微笑を見てふっと口元を緩めた。
カインを言葉で嬲りながら、ナリアも胸の先を尖らせ、発情した雌のような顔になっていた。
夫婦であった時も、ナリアのそんな淫らな表情はみたことがなかった。

楽しんでいるようだと見て、ドルバインはアロナの髪を掴み、乱暴に腰を押し出した。
赤黒い肉の棒が、アロナの口を道具のように犯し始める。

「ぐっ……んっ……んっ……」

苦しそうに呻きながらもアロナの唇はドルバインの物を強く挟み込む。
唾液の立てる淫らな音が響き、そこにいる全員が恍惚とした表情で目隠しをされているアロナの顔に魅せられた。

ナリアが貞操帯の上からカインの物にそっと触れた。

「動かしてはだめよ。奥さんを抱いているのはあなたじゃないのだから、あなたは見ているだけ。動いたら目隠しをしちゃうわよ?」

それは絶対に嫌だった。美しいアロナの姿を見られなくなるぐらいなら、腰を振りたい欲求を我慢した方がましだった。
カインは半泣きになりながら、快感を押さえ込まれることにもまた興奮し、封じられた肉棒の先端から涙を落とした。

ドルバインがアロナの唇を解放し、腰を上げるとアロナの足元に移動した。
大きく開かれた足の間に顔を埋め、優しく舐め始める。

突然の甘い刺激に、アロナは体をよじり、淫らな声を上げ始めた。
ナリアは立ち上がってドルバインの口元を観察し、カインの髪を掴んでそこに引っ張り寄せた。

「見て、とてもきれいね。あなたの奥さんのあそこ。濡れて、ひくついているわ。男性を一番気持ち良くさせてくれるところなのに、夫以外の人が舐め回しているなんて、不思議ね。
このままでいいの?本当に奥さんを奪われてしまうわよ?」

股間を膨らませることの出来ないカインは、唯一の性感帯になった乳首を片手でいじり続けている。
その膨らんだ突起に気づき、ナリアは楽しそうに笑い声を立てた。

「まぁ、驚いたわ。男のくせに女の子みたいにおっぱいが大きくなっている。それでは……男らしく奥さんを抱くのは難しいわね」

ナリアの残酷な言葉は、カインをさらなる興奮に押し上げた。気持ちよさそうな悲鳴をあげ、さらに乳首をいじろうとすると、ナリアがその手首を掴んだ。

「両手は後ろに組んで。恥ずかしいおっぱいを晒してお尻をついてしゃがみなさい。奥さんに見てもらいましょう。あなたがどれだけ惨めで、喜んでいるのかわかるから」

その言葉に応えるように、ドルバインが動いた。
アロナの目隠しをとったのだ。

暗闇から解放され、アロナは眩しそうに目を瞬かせた。
ドルバインが白い乳房にしゃぶりつき、その乳首を吸い上げる。

「ああっ……んんっ……」

身動きできないまま与えられる愛撫は、アロナにとっても強い刺激だった。
逃げたい欲求を強制的に押さえ込まれ、暴力的な快感を与えられる。
それなのに、一番強い刺激はまだお預けにされている。

もどかしい快感を抱え、アロナは夫の姿を探した。
首を横に向け、アロナは驚愕の表情になった。
目から涙が溢れ、心配そうに声をかける。

「カイン、大丈夫?すごく……痛そう……」

残念ながら、その痛みこそカインの快感だった。
膨れるはずのない乳首を真っ赤に立たせ、先ほどまで大きく膨れ上がっていた物は小さな金具の中に閉じ込められている。

濡れた先端だけを筒の先に覗かせ、尻をついて殻に包まれ小さくなったそれを晒している。
愛する妻にそんな惨めな姿を見られながら、カインは最高に興奮していた。

「アロナ……すごく気持ちが良いよ。痛くて辛くて、君があまりにもきれいすぎて……もう何もかも最高に気持ちが良い……」

顔を赤く染め、淫らな表情で泣いている夫をアロナはただただ不思議そうに見つめた。
そんな妻に、カインは苦痛と喜びに歪んだ顔で微笑んだ。

「アロナも……一緒に楽しめればいいのに……」

カインは最高に気持ちが良かったし、ナリアも自身の欲望を満たしている。
ドルバインは当然ながら、他人の妻の体を存分に嬲り、誰よりも肉体的な欲望を発散していた。
アロナは、夫の満足しきっている顔を確かめ、それからドルバインに向き直った。

乳房を舐められているアロナからは、ドルバインの禿げあがった頭頂部だけが見えている。
無理矢理伸ばした横の髪が、薄くなった頭頂部をなんとか覆っているが、頭が動くたびにひらひらと動き、今にもつるんと地肌が見えてしまいそうだ。

毛皮のようにびっしりと生えた髭がアロナの肌にこすれ、それも新たな刺激を生んでいる。

乳首を強くしゃぶられ、アロナは小さく悲鳴をあげた。
ドルバインが顔を上げる。
刃のような鋭い目は欲望に濡れ、凄みのある強面の顔には残忍にさえ見える微笑がある。
その全てがアロナは素敵だと感じていた。

「楽しいわ……カイン、大丈夫よ。だって、ドルバイン様はこんなに素敵。私……ドルバイン様が好きよ」

「ああああ」

その言葉の響きに、カインが歓喜の声を上げた。
ドルバインも満足そうに笑い、アロナの唇を貪った。

ナリアはそんな三人の姿を見下ろし、幸福な吐息をついた。




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