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第4章 国主編
第121話 ヴァンパイア族 ~新しい長~
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クラウディウス・シュミットは最後の時を迎えようとしていた。
高齢による老衰に加え、肺炎を併発してしまったのである。
彼は息も絶え絶えに家宰のライマーに尋ねた。
「ローザの…行方は…まだわからないのか?」
「申し訳ございません。懸命に探させてはいるのですが…」
クラウディウスはアークバンパイアだった。
アークバンパイアはもともと繁殖力が旺盛ではない。
晩年になってようやく一人息子に恵まれたが、彼は閉鎖的な生活を嫌い、こともあろうに村を出奔してしまった。
ようやく彼を探り当てたのは、ヴァンパイアが人族に殺されたという噂をたどってのことだった。
確認させると、殺されたヴァンパイアというのは息子で間違いなかった。
ただ一つだけ朗報があった。
彼には娘がいて、その娘は人族から逃れたらしい。
彼女の名前は「ローザ」といった。
こうなっては村の将来はローザに託す以外に方法はない。
クラウディウスはローザの行方を必死に探させたが、杳として知れないまま時間だけが過ぎていった。
その夜、クラウディウスは眠るように逝った。
◆
アークバンパイアはヴァンパイアを従わせる能力を持つ。
しかし、アークバンパイアは絶対数が少ないため、アークバンパイア同士の婚姻というのはなかなか難しかった。
畢竟、通常のヴァンパイアと婚姻せざるを得ないのだが、その能力も婚姻を重ねるにつれ薄れていく。
このため、何世代かに一度、キングヴァンパイアの一族から婿・嫁をもらうことで、ヴァンパイアを従わせる能力を回復させ、能力を維持するようにしていた。
冥界に住むキングヴァンパイアの一族も絶対数は少なかったのだが、あえて近親婚を繰り返すことで、その命脈を保っていたのだ。
ローザの母は、キングヴァンパイアの直系の娘だった。
ローザにはキングヴァンパイアの血が色濃く入っていたのだ。
◆
ライマーは必死にローザの行方を探し続けた。
もはやローザだけが村の未来を託すことのできる細い蜘蛛の糸となっていた。
そして何年か過ぎ、腕利きの情報屋がいるという噂を耳にした。
その情報屋は、能力からしてヴァンパイアではないかとの評判だった。
──もしや、ローザ様では!?
ライマーは配下の者を使って必死に行方を探した。
ようやく見つけたローザの拠点を訪れた時…
「ローザ様。お迎えにあがりましたぞ!」
だが、答える者は誰もいなかった。
そこはもう、もぬけの殻だったのだ。
ライマーは意気消沈した。
その後、ローザの消息はプッツリと途絶えた。
情報屋というのは商売柄恨みを買うことも多い。
そのために命を失うことも珍しくはなかった。
ライマーの脳裏を暗い予感がかすめる。
しかし、ここで諦めることはできない。
それは村の終焉を意味するからだ。
そして8年の時が過ぎた。
──やはりローザ様は、もう…
ライマーがそう考え始めていた時、一つの情報が飛び込んできた。
フランスでのフィリップ・ユリプルの内乱の折、白昼にもかかわらずサンジェルマン伯の後を付ける蝙蝠の姿を見た者がいるという。
反乱を実質的に鎮めたのは、摂政ブランシュの後ろ盾となっているロートリンゲン公フリードリヒだという専らの評判だ。
ローザ様はロートリンゲン公のもとで諜報活動を行っているのではないか?
ライマーは、配下の者を引き連れ、ロートリンゲンの首都ナンツィヒに急いで向かった。
◆
ローザ・シュミットは、長子ヘクトールを産んで子育てをしながらも、体を鈍らせないために訓練を欠かしていなかった。
鍛冶屋に手入れに出した愛剣の大剣を受け取った帰り道、屈強そうな男が2人立ちはだかったと思うと、いきなり剣で切りかかってきた。
ローザは大剣を抜き、即座に応戦する。
できれば殺さずに無力化して情報を吐かせたいところだ。
程なくして、2人ともローザの大剣によって剣をへし折られ、もろ手を上げて降参した。
ローザの大剣はフリードリヒが作ったオリハルコンを鍛えた特別製で、それだけの威力を備えていた。
そこにパチパチと拍手をしながら、悪びれもせず近づいてくる老人がいる。
「申し訳ありませんが、実力の程を試させていただきました。
あなたがローザ様ですな」
「おまえは何者だ? なぜこのようなまねをする?」
「私、ライマーと申します。ヴァンパイアの村で家宰をやっております。しかし、素晴らしい剣の腕ですな。あの2人は村でも手練れの者なのですが…」
「答えになっていないぞ。私に何を望む?」
「もうだいぶ前になりますが、あなたのお祖父様のクラウディウス様がお亡くなりになりました。以来、村には長がいない状態でさびれていく一方なのです。
ローザ様におかれましては、ぜひ村にお戻りいただき長におなりいただきたく…」
「無理だな」
ローザは即答した。
「そんな殺生な…」
「私はロートリンゲン公の愛妾となり、子供も授かった。今更この地を去ることはあり得ない」
「しかし…」
「悪いが他を当たってくれ」
「我々にはもうローザ様しかいないのです」
「くどいぞ!」
そう言うとローザは踵を返し、スタスタと城へ帰ってしまった。
ライマーたちはそれを茫然と眺めるしかなかった。
◆
次の日。
ローザのところにメイドがやってきた。
「ライマーという者がローザ様に面会を求めておりますが…」
「追い返せ!」
「はい承知いたしました」
だが、ライマーは諦めず、毎日訪ねてくる。
何年もかかってようやく見つけたローザがここにいるのだ。
今更後へは引けない。
やがてそのことがフリードリヒの耳にも入った。
フリードリヒがローザの部屋を訪ねてきた。
ローザは来るべき時が来たかと覚悟をきめた。
あの優しいフリードリヒがこの話を聞いたら、村へ戻れと言うに違いない。
ローザはそう考え、恐れていたのだ。
フリードリヒにしてみれば、ローザはあまたいる愛妾の一人に過ぎない。
だが、ローザにしてみればフリードリヒはかけがえのないたった一人のパートナーなのだ。
ローザは深いため息をついた。
「どうした? ため息なんかついて?」
「いえ。なんでもありません」
「ところでライマーという者が毎日おまえのことを訪ねてきているようだが、会ってやればいいではないか? 何か会えない事情があるのか?」
ローザはかんねんして一連のいきさつを語った。
それを聞いてしばし考え込むフリードリヒ。
ローザの脳裏を暗い想像がかすめる。
フリードリヒはおもむろに口を開いた。
「なに。簡単なことだ。村の方からナンツィヒに来ればいいのだ」
「しかし、闇の者が人族と一緒に暮らすなど…」
「今やナンツィヒには闇の者が珍しくない。私の配下だということをきちんと知らしめれば大丈夫だろう」
ローザは開いた口が塞がらない。
闇の者は上の命令には絶対服従だから、フリードリヒ配下の闇の者が住民に危害を加えることは一切ない。
ナンツィヒの住民はそういうものだと理解し、闇の者を恐れなくなってきている。
むしろ人族のゴロツキの方がよっぽど危険だ。
「本当にそれでいいのですか?」
「ああ。構わない」
「しかし、どこに住まわせるのです?」
「最初は普通に郊外に隠れ里でも作ろうかと思ったが、それでは進歩がない。新街区にヴァンパイアの居住区を作って、そこに住まわせよう」
「町の中にですか!?」
「何か問題でも?」
ヴァンパイアにしてみれば、町の中に住めれば文化的で豊かな生活を送ることができる。うまくいけば言うことはないのだが…
「本当にうまくいくか不安で…」
「ダメなら次善の策を考えるまでだ。とにかく前へ進まないと」
「それもそうですね」
◆
翌日。
ライマーは重い足取りで城の門へ向かっていた。
──今日も門前払いなのだろうな…
しかし、門へ着くと今日の対応は違っていた。
「おまえがライマーだな」
「はい」
「ローザ様がお待ちだ。入れ」
意外な展開にあっけにとられるライマー。
程なくしてローザ付きのメイドがローザの部屋に案内してくれた。
「ローザ様。ライナーめにございます」
「ああ。よく来たな。今日は朗報がある」
「では、村にお戻りいただけるのでしょうか」
「いや。違う」
「それのどこが朗報で?」
「話は最後まで聞け。村人の方がナンツィヒに来るのだ」
「なんと…」
意表をついた提案にライナーはあっけにとられた。
「ロートリンゲン公はそれをお許しになられたのですか?」
「これは閣下からの提案だ」
「しかし、うまくいきますかな?」
「絶対にとまでは言えないが、ナンツィヒには既に闇の者は珍しくない。案外うまくいくのではないかな」
「もし上手くいかなかったら…」
「その場合は次善の策を考えるとおっしゃっていた。とにかく前へ進まないことには何も変わらない。
これは新しい長たる私の命令だ。村人を連れてナンツィヒに来い」
「かしこまりました」
ライナーは感動に打ち震えていた。
◆
そして数か月後。
ナンツィヒの新街区ではしゃぎ回る子供たちの姿があった。
皆、ヴァンパイアの子供である。
結局、人族による迫害などは一切起こらなかった。
人族にしてみれば、異形の闇の者よりも、見た目が人族と変わらないヴァンパイアの方がよほど付き合いやすいようだった。
ヴァンパイアの居住区に様子を見に来たローザは、ほっと胸をなで下ろした。
そして今更ながらにフリードリヒの懐の深さに思いをはせるのだった。
高齢による老衰に加え、肺炎を併発してしまったのである。
彼は息も絶え絶えに家宰のライマーに尋ねた。
「ローザの…行方は…まだわからないのか?」
「申し訳ございません。懸命に探させてはいるのですが…」
クラウディウスはアークバンパイアだった。
アークバンパイアはもともと繁殖力が旺盛ではない。
晩年になってようやく一人息子に恵まれたが、彼は閉鎖的な生活を嫌い、こともあろうに村を出奔してしまった。
ようやく彼を探り当てたのは、ヴァンパイアが人族に殺されたという噂をたどってのことだった。
確認させると、殺されたヴァンパイアというのは息子で間違いなかった。
ただ一つだけ朗報があった。
彼には娘がいて、その娘は人族から逃れたらしい。
彼女の名前は「ローザ」といった。
こうなっては村の将来はローザに託す以外に方法はない。
クラウディウスはローザの行方を必死に探させたが、杳として知れないまま時間だけが過ぎていった。
その夜、クラウディウスは眠るように逝った。
◆
アークバンパイアはヴァンパイアを従わせる能力を持つ。
しかし、アークバンパイアは絶対数が少ないため、アークバンパイア同士の婚姻というのはなかなか難しかった。
畢竟、通常のヴァンパイアと婚姻せざるを得ないのだが、その能力も婚姻を重ねるにつれ薄れていく。
このため、何世代かに一度、キングヴァンパイアの一族から婿・嫁をもらうことで、ヴァンパイアを従わせる能力を回復させ、能力を維持するようにしていた。
冥界に住むキングヴァンパイアの一族も絶対数は少なかったのだが、あえて近親婚を繰り返すことで、その命脈を保っていたのだ。
ローザの母は、キングヴァンパイアの直系の娘だった。
ローザにはキングヴァンパイアの血が色濃く入っていたのだ。
◆
ライマーは必死にローザの行方を探し続けた。
もはやローザだけが村の未来を託すことのできる細い蜘蛛の糸となっていた。
そして何年か過ぎ、腕利きの情報屋がいるという噂を耳にした。
その情報屋は、能力からしてヴァンパイアではないかとの評判だった。
──もしや、ローザ様では!?
ライマーは配下の者を使って必死に行方を探した。
ようやく見つけたローザの拠点を訪れた時…
「ローザ様。お迎えにあがりましたぞ!」
だが、答える者は誰もいなかった。
そこはもう、もぬけの殻だったのだ。
ライマーは意気消沈した。
その後、ローザの消息はプッツリと途絶えた。
情報屋というのは商売柄恨みを買うことも多い。
そのために命を失うことも珍しくはなかった。
ライマーの脳裏を暗い予感がかすめる。
しかし、ここで諦めることはできない。
それは村の終焉を意味するからだ。
そして8年の時が過ぎた。
──やはりローザ様は、もう…
ライマーがそう考え始めていた時、一つの情報が飛び込んできた。
フランスでのフィリップ・ユリプルの内乱の折、白昼にもかかわらずサンジェルマン伯の後を付ける蝙蝠の姿を見た者がいるという。
反乱を実質的に鎮めたのは、摂政ブランシュの後ろ盾となっているロートリンゲン公フリードリヒだという専らの評判だ。
ローザ様はロートリンゲン公のもとで諜報活動を行っているのではないか?
ライマーは、配下の者を引き連れ、ロートリンゲンの首都ナンツィヒに急いで向かった。
◆
ローザ・シュミットは、長子ヘクトールを産んで子育てをしながらも、体を鈍らせないために訓練を欠かしていなかった。
鍛冶屋に手入れに出した愛剣の大剣を受け取った帰り道、屈強そうな男が2人立ちはだかったと思うと、いきなり剣で切りかかってきた。
ローザは大剣を抜き、即座に応戦する。
できれば殺さずに無力化して情報を吐かせたいところだ。
程なくして、2人ともローザの大剣によって剣をへし折られ、もろ手を上げて降参した。
ローザの大剣はフリードリヒが作ったオリハルコンを鍛えた特別製で、それだけの威力を備えていた。
そこにパチパチと拍手をしながら、悪びれもせず近づいてくる老人がいる。
「申し訳ありませんが、実力の程を試させていただきました。
あなたがローザ様ですな」
「おまえは何者だ? なぜこのようなまねをする?」
「私、ライマーと申します。ヴァンパイアの村で家宰をやっております。しかし、素晴らしい剣の腕ですな。あの2人は村でも手練れの者なのですが…」
「答えになっていないぞ。私に何を望む?」
「もうだいぶ前になりますが、あなたのお祖父様のクラウディウス様がお亡くなりになりました。以来、村には長がいない状態でさびれていく一方なのです。
ローザ様におかれましては、ぜひ村にお戻りいただき長におなりいただきたく…」
「無理だな」
ローザは即答した。
「そんな殺生な…」
「私はロートリンゲン公の愛妾となり、子供も授かった。今更この地を去ることはあり得ない」
「しかし…」
「悪いが他を当たってくれ」
「我々にはもうローザ様しかいないのです」
「くどいぞ!」
そう言うとローザは踵を返し、スタスタと城へ帰ってしまった。
ライマーたちはそれを茫然と眺めるしかなかった。
◆
次の日。
ローザのところにメイドがやってきた。
「ライマーという者がローザ様に面会を求めておりますが…」
「追い返せ!」
「はい承知いたしました」
だが、ライマーは諦めず、毎日訪ねてくる。
何年もかかってようやく見つけたローザがここにいるのだ。
今更後へは引けない。
やがてそのことがフリードリヒの耳にも入った。
フリードリヒがローザの部屋を訪ねてきた。
ローザは来るべき時が来たかと覚悟をきめた。
あの優しいフリードリヒがこの話を聞いたら、村へ戻れと言うに違いない。
ローザはそう考え、恐れていたのだ。
フリードリヒにしてみれば、ローザはあまたいる愛妾の一人に過ぎない。
だが、ローザにしてみればフリードリヒはかけがえのないたった一人のパートナーなのだ。
ローザは深いため息をついた。
「どうした? ため息なんかついて?」
「いえ。なんでもありません」
「ところでライマーという者が毎日おまえのことを訪ねてきているようだが、会ってやればいいではないか? 何か会えない事情があるのか?」
ローザはかんねんして一連のいきさつを語った。
それを聞いてしばし考え込むフリードリヒ。
ローザの脳裏を暗い想像がかすめる。
フリードリヒはおもむろに口を開いた。
「なに。簡単なことだ。村の方からナンツィヒに来ればいいのだ」
「しかし、闇の者が人族と一緒に暮らすなど…」
「今やナンツィヒには闇の者が珍しくない。私の配下だということをきちんと知らしめれば大丈夫だろう」
ローザは開いた口が塞がらない。
闇の者は上の命令には絶対服従だから、フリードリヒ配下の闇の者が住民に危害を加えることは一切ない。
ナンツィヒの住民はそういうものだと理解し、闇の者を恐れなくなってきている。
むしろ人族のゴロツキの方がよっぽど危険だ。
「本当にそれでいいのですか?」
「ああ。構わない」
「しかし、どこに住まわせるのです?」
「最初は普通に郊外に隠れ里でも作ろうかと思ったが、それでは進歩がない。新街区にヴァンパイアの居住区を作って、そこに住まわせよう」
「町の中にですか!?」
「何か問題でも?」
ヴァンパイアにしてみれば、町の中に住めれば文化的で豊かな生活を送ることができる。うまくいけば言うことはないのだが…
「本当にうまくいくか不安で…」
「ダメなら次善の策を考えるまでだ。とにかく前へ進まないと」
「それもそうですね」
◆
翌日。
ライマーは重い足取りで城の門へ向かっていた。
──今日も門前払いなのだろうな…
しかし、門へ着くと今日の対応は違っていた。
「おまえがライマーだな」
「はい」
「ローザ様がお待ちだ。入れ」
意外な展開にあっけにとられるライマー。
程なくしてローザ付きのメイドがローザの部屋に案内してくれた。
「ローザ様。ライナーめにございます」
「ああ。よく来たな。今日は朗報がある」
「では、村にお戻りいただけるのでしょうか」
「いや。違う」
「それのどこが朗報で?」
「話は最後まで聞け。村人の方がナンツィヒに来るのだ」
「なんと…」
意表をついた提案にライナーはあっけにとられた。
「ロートリンゲン公はそれをお許しになられたのですか?」
「これは閣下からの提案だ」
「しかし、うまくいきますかな?」
「絶対にとまでは言えないが、ナンツィヒには既に闇の者は珍しくない。案外うまくいくのではないかな」
「もし上手くいかなかったら…」
「その場合は次善の策を考えるとおっしゃっていた。とにかく前へ進まないことには何も変わらない。
これは新しい長たる私の命令だ。村人を連れてナンツィヒに来い」
「かしこまりました」
ライナーは感動に打ち震えていた。
◆
そして数か月後。
ナンツィヒの新街区ではしゃぎ回る子供たちの姿があった。
皆、ヴァンパイアの子供である。
結局、人族による迫害などは一切起こらなかった。
人族にしてみれば、異形の闇の者よりも、見た目が人族と変わらないヴァンパイアの方がよほど付き合いやすいようだった。
ヴァンパイアの居住区に様子を見に来たローザは、ほっと胸をなで下ろした。
そして今更ながらにフリードリヒの懐の深さに思いをはせるのだった。
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