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幸せの形
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「くっ……子宮口が大きく開いていますよ、セナ様。わたくしたち全員の精を呑みたいのですね?」
「あ、あぁ……そんな……一度に全部の精を……?」
「おう。腹いっぱいに注いでやる。まだまだ呑めるだろ?」
「たっぷりと孕むがよい、セナ。いくぞ」
男たちは息を合わせて、どちゅどちゅと腰を送り込む。
激しい抽挿に、セナは快楽の頂点を超えていった。
めくるめく快感に揉まれ、押し上げられ、理性が焼き切れる。
「あぁあん、あぁ、ふぁ、あん、きもちい、いぃ、あふぁあん、あぅ、あぅん」
気持ちがよすぎてたまらない。
腰と共に、下腹の淫紋が軽やかに躍る。
くちゅっ、と口を開いた子宮口は、三つの亀頭を含んだ。
三本の楔が同時に爆ぜる。
どくどくと夥しい量の子種が、子宮に直接注ぎ込まれた。
「あぁあ……でてる……いっぱい……孕んじゃう……みんなの赤ちゃん、できちゃう……」
セナは恍惚として、受け止めた精液を体の奥深くで味わう。
ぎゅっと三人の男に抱きしめられ、身も心も愛されて、満たされる悦びに浸る。
皆が荒い呼吸を整えるなか、セナは情愛を込めて、三人の肩や背を撫でさすった。
砂漠の国、トルキアは新たな後継者の誕生に湧いている。
数年ほど懐妊しなかった永遠なる神の末裔のつがいが、ついに出産を果たしたのだ。
受胎の儀において三人のアルファたちから愛され、ひと月にわたり精を注がれ続けたセナは、やがて懐妊した。
それから十ヶ月ほど経過したのち、ついに子が生まれたのである。
ただし、王宮にゆりかごは三つある。
三つ子が誕生したのだ。
大変驚いたが、三人もの赤子が生まれてきてくれて、セナは感激に胸を震わせた。
初めの王子たちが双子なので、セナは五人の子の母となった。
アルとイスカは大喜びでゆりかごを揺らす。今はすやすやと眠っている赤ちゃんたちだけれど、一斉に泣き出すと乳母たちも巻き込んで大騒ぎになる。そんな日々に、セナは幸せを噛みしめながら子育てしていた。
「アルとイスカはお兄ちゃんですね。赤ちゃんたちが歩けるようになったら、一緒に遊べますよ」
「妹がいるから、ボクはおままごとして遊んであげる! 紫色の髪と目のお姫さまだよ。すごくキレイだね」
「おれは弟たちと竜騎士ごっこするんだ!」
はしゃぐ王子たちを、傍にいたハリルは小声で諫める。
「おい、おまえたち静かにしろ。赤ん坊はすぐに目を覚ますんだぞ」
「はぁい」
王子たちは素直にハリルの言うことを聞き、可愛らしい口を噤んでゆりかごの赤子たちを眺めた。これからは、ふたりが赤子だった頃よりもっと賑やかになりそうだ。
彼らの様子を傍から見ていたファルゼフは、困ったように額に手をやっている。
三つ子のうちのふたりは男子で、それぞれ黒髪と赤銅色の髪だ。もうひとりは紫の髪と目の色を持った女子である。
明らかに、王女はファルゼフの血を受け継いでいる。
トルキア国の慣例により父という扱いにはならないが、ファルゼフは功績を認められ、神の末裔に封じられた。セナとしては女の子も生まれてくれて嬉しいのだが、なぜかファルゼフは喜んでくれない。
「まさか三つ子とは……わたくしは安定的な王位継承のために、すべて計画通りに事を運んでまいりましたが、これだけは想定外でございました」
ハリルは呆れた顔をして、ファルゼフを肘で小突いた。
「ったく、何が不満なんだよ。三人目のお子さまを、だとか言ったのはおまえだろうが」
「三人目と言いましたのは、三つ子を産んでくださいという意味ではなくてですね……いえ、わたくしの言い方が悪かったのです。終わりよければすべてよし。母子ともに健康で、何よりでございます」
セナは微苦笑を零した。
どうやら辣腕の宰相でも、三つ子とまでは予想していなかったようである。
これも神の末裔たちに愛された結果だ。
そこへ、王宮の一室に現れたラシードまでが苦い表情を浮かべていた。彼の手には書状が握られている。
「またアポロニオス王よりの書状だ。懲りない王だな」
リガラ城砦での一件以来、ベルーシャ国とは友好条約を結ぶことができた。
アポロニオス王は約束通り、金鉱山をトルキア国に返還してくれたのだ。国境線は金鉱山までがトルキア国の領土となり、地図は書き換えられた。
数百年前に巨人王から奪われた金鉱山を取り戻せたのは、喜ばしい限りなのだが。
困ったことに、それから頻繁にアポロニオスからセナ宛てに書状が届くのである。
内容は、神の贄のことが忘れられない、ベルーシャ国の王都に招待する、貴妃の椅子と宮殿はすでに用意している……など、つまり恋文である。
王であるラシードが事実上の夫であるとアポロニオスは知っているはずなのだが、彼は一切遠慮するそぶりを見せない。怒り心頭のラシードは、アポロニオスがトルキア国を訪問したいという申し出を何度も突き返している。アポロニオスがセナの前に現れたら、今度こそ連れ去られてしまいかねないからだ。
「アポロニオスさまは、いつになったら諦めてくれるんですかね……。僕はもう五人の子持ちですよ」
「まったく……我が弟の魅力に隣国の王が気づいてしまうとはな。これだけは誤算であった」
ファルゼフと同じようなことを吐いたラシードに、セナは笑いを零す。
王子たちも笑い出し、王宮は明るい声に包まれた。
雲より高い巨人の王がやってきて、金の山を奪っていった――という吟遊詩人の歌には続きができた。
『神の贄に惚れた巨人の王は、金の山を返してくれた。けれど神の贄は妻にはならず、砂漠の王を愛したのだとさ――』
その歌は永劫に、トルキア国に語り継がれたのだった。
「あ、あぁ……そんな……一度に全部の精を……?」
「おう。腹いっぱいに注いでやる。まだまだ呑めるだろ?」
「たっぷりと孕むがよい、セナ。いくぞ」
男たちは息を合わせて、どちゅどちゅと腰を送り込む。
激しい抽挿に、セナは快楽の頂点を超えていった。
めくるめく快感に揉まれ、押し上げられ、理性が焼き切れる。
「あぁあん、あぁ、ふぁ、あん、きもちい、いぃ、あふぁあん、あぅ、あぅん」
気持ちがよすぎてたまらない。
腰と共に、下腹の淫紋が軽やかに躍る。
くちゅっ、と口を開いた子宮口は、三つの亀頭を含んだ。
三本の楔が同時に爆ぜる。
どくどくと夥しい量の子種が、子宮に直接注ぎ込まれた。
「あぁあ……でてる……いっぱい……孕んじゃう……みんなの赤ちゃん、できちゃう……」
セナは恍惚として、受け止めた精液を体の奥深くで味わう。
ぎゅっと三人の男に抱きしめられ、身も心も愛されて、満たされる悦びに浸る。
皆が荒い呼吸を整えるなか、セナは情愛を込めて、三人の肩や背を撫でさすった。
砂漠の国、トルキアは新たな後継者の誕生に湧いている。
数年ほど懐妊しなかった永遠なる神の末裔のつがいが、ついに出産を果たしたのだ。
受胎の儀において三人のアルファたちから愛され、ひと月にわたり精を注がれ続けたセナは、やがて懐妊した。
それから十ヶ月ほど経過したのち、ついに子が生まれたのである。
ただし、王宮にゆりかごは三つある。
三つ子が誕生したのだ。
大変驚いたが、三人もの赤子が生まれてきてくれて、セナは感激に胸を震わせた。
初めの王子たちが双子なので、セナは五人の子の母となった。
アルとイスカは大喜びでゆりかごを揺らす。今はすやすやと眠っている赤ちゃんたちだけれど、一斉に泣き出すと乳母たちも巻き込んで大騒ぎになる。そんな日々に、セナは幸せを噛みしめながら子育てしていた。
「アルとイスカはお兄ちゃんですね。赤ちゃんたちが歩けるようになったら、一緒に遊べますよ」
「妹がいるから、ボクはおままごとして遊んであげる! 紫色の髪と目のお姫さまだよ。すごくキレイだね」
「おれは弟たちと竜騎士ごっこするんだ!」
はしゃぐ王子たちを、傍にいたハリルは小声で諫める。
「おい、おまえたち静かにしろ。赤ん坊はすぐに目を覚ますんだぞ」
「はぁい」
王子たちは素直にハリルの言うことを聞き、可愛らしい口を噤んでゆりかごの赤子たちを眺めた。これからは、ふたりが赤子だった頃よりもっと賑やかになりそうだ。
彼らの様子を傍から見ていたファルゼフは、困ったように額に手をやっている。
三つ子のうちのふたりは男子で、それぞれ黒髪と赤銅色の髪だ。もうひとりは紫の髪と目の色を持った女子である。
明らかに、王女はファルゼフの血を受け継いでいる。
トルキア国の慣例により父という扱いにはならないが、ファルゼフは功績を認められ、神の末裔に封じられた。セナとしては女の子も生まれてくれて嬉しいのだが、なぜかファルゼフは喜んでくれない。
「まさか三つ子とは……わたくしは安定的な王位継承のために、すべて計画通りに事を運んでまいりましたが、これだけは想定外でございました」
ハリルは呆れた顔をして、ファルゼフを肘で小突いた。
「ったく、何が不満なんだよ。三人目のお子さまを、だとか言ったのはおまえだろうが」
「三人目と言いましたのは、三つ子を産んでくださいという意味ではなくてですね……いえ、わたくしの言い方が悪かったのです。終わりよければすべてよし。母子ともに健康で、何よりでございます」
セナは微苦笑を零した。
どうやら辣腕の宰相でも、三つ子とまでは予想していなかったようである。
これも神の末裔たちに愛された結果だ。
そこへ、王宮の一室に現れたラシードまでが苦い表情を浮かべていた。彼の手には書状が握られている。
「またアポロニオス王よりの書状だ。懲りない王だな」
リガラ城砦での一件以来、ベルーシャ国とは友好条約を結ぶことができた。
アポロニオス王は約束通り、金鉱山をトルキア国に返還してくれたのだ。国境線は金鉱山までがトルキア国の領土となり、地図は書き換えられた。
数百年前に巨人王から奪われた金鉱山を取り戻せたのは、喜ばしい限りなのだが。
困ったことに、それから頻繁にアポロニオスからセナ宛てに書状が届くのである。
内容は、神の贄のことが忘れられない、ベルーシャ国の王都に招待する、貴妃の椅子と宮殿はすでに用意している……など、つまり恋文である。
王であるラシードが事実上の夫であるとアポロニオスは知っているはずなのだが、彼は一切遠慮するそぶりを見せない。怒り心頭のラシードは、アポロニオスがトルキア国を訪問したいという申し出を何度も突き返している。アポロニオスがセナの前に現れたら、今度こそ連れ去られてしまいかねないからだ。
「アポロニオスさまは、いつになったら諦めてくれるんですかね……。僕はもう五人の子持ちですよ」
「まったく……我が弟の魅力に隣国の王が気づいてしまうとはな。これだけは誤算であった」
ファルゼフと同じようなことを吐いたラシードに、セナは笑いを零す。
王子たちも笑い出し、王宮は明るい声に包まれた。
雲より高い巨人の王がやってきて、金の山を奪っていった――という吟遊詩人の歌には続きができた。
『神の贄に惚れた巨人の王は、金の山を返してくれた。けれど神の贄は妻にはならず、砂漠の王を愛したのだとさ――』
その歌は永劫に、トルキア国に語り継がれたのだった。
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今更読みました!とても素敵な話でした…。゚(゚∩´﹏`∩゚)゚。
ハッピーエンドが大好きなので、兄弟の裏切りがあった時はどうなる事かと思いましたが、最後はファルゼフも神の末裔となって良かったです(*´ω`*)
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