淫神の孕み贄

沖田弥子

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宰相の懐妊指導 3

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 ファルゼフは眉間を指先で押し上げた。そこに眼鏡はないのだが。

「愛されているということで良いではありませんか」
「良くないですよ……。それに、僕はぼんやりしているかもしれませんけども、そんなに下手じゃないです。ファルゼフは決めつけすぎです。口淫されないと下手かどうかわからないと、さっき言ったじゃありませんか」

 そう口にした途端、ずい、とファルゼフは真摯な双眸で迫ってきた。セナの肩が大きな掌で、ぐいと引き寄せられる。

「そう仰るのならば、試してみましょう」
「え……口淫させてくれて、精を飲ませてくれるんですか……?」

 ごくりと男の喉仏が大きく動いた。ファルゼフの双眸から怜悧な色が消え、肉食獣のごとく獰猛な光を帯びる。

「もちろんです。わたくしで練習すればよろしい。それもまた、懐妊指導の一環ですから」
「そ、そうですか。それじゃあ……」

 話の流れで、ファルゼフを口淫させてもらえることになった。
 けれど、いざとなると、どうやればよいのかきっかけが掴めない。
 セナからローブを脱がせてあげたほうがよいのだろうか。そして、男根を取り出して……
 手順を考えただけで、頬が朱に染まる。セナは差し出した両手を、ファルゼフの腰の辺りでうろうろと彷徨わせた。
 くすりと微笑んだファルゼフは、自らの手で潔くローブを脱ぎ捨てる。
 名匠が手がけた彫刻のような裸身が突如曝されて、セナは目を見開く。

「どうしました? 男の裸は見慣れているでしょう?」
「あ……あの、すごく鍛えていらっしゃるんだなと驚きました」
「体力をつけるのは基本ですからね。騎士ほどの腕前ではありませんが、剣も扱えますよ」

 セナのローブの合わせに、そっと男の手がかけられる。
 会話していたセナはそれに気づかず、ふと目線を下げたときには、ばさりとローブが床に落とされていた。

「あっ……」

 湯上がりで桜色に染まった肌が外気に曝される。
 ぶるりと身を震わせると、すぐに強靱な胸の中に、ぎゅっと抱き込まれた。
 男の腕はひどく熱い。セナが思わず背に縋りつくと、抱き合ったままふたりの体は寝台に転がる。このまま組み伏せられて抱かれる予感が走り、焦ったセナは紫色の瞳を見上げた。

「あ、あの、口淫は……?」 
「それでは、していただきましょうか。ただし、わたくしなりの教え方というものがありますので、指導には従ってくださいね」
「はい、わかりました」

 素直に返事をすると、するりと尻を撫でられて、腰を抱かれる。

「こちらに腰を持ってきてください。わたくしの体を跨いで、頭を向こう側に……そう、そうです」

 ファルゼフの体を跨ぎ、四つん這いの格好になる。セナの眼前には、隆々と天を衝いた雄芯が存在を示していた。

「あのう……この体勢で、口淫するのですか?」
「そうです。好きなだけ口淫してくださいね。何があっても、口腔から男根を離してはいけませんよ」
「はい……わかりました」

 そっと熱い楔に両手を添えて、先端に舌を這わせる。
 すると、硬い肉棒はびくりと脈打った。
 気持ちいいのかな……?
 先端の孔を、ぬるぬると舌で舐めしゃぶる。括れや裏筋など、あちらこちらを舐めていると、ファルゼフが吐息混じりに指示を出してきた。

「口に含んで、しゃぶってみてください」
「ん……んくっ……んふ……」

 言われたとおり、口腔に呑み込んでいく。
 ゆっくりと咥えれば、弾力に満ちた熱い肉棒が口蓋を犯していく。

「んん……おいひぃ……」

 口いっぱいに楔を含むだけで、セナの体は熱を帯びる。先端が喉奥を突いたが、まだすべては呑み込みきれていない。雄芯が大きすぎるので、セナの口には棹の半分も入らなかった。 けれど、口腔から男根を離してはいけないそうなので、一旦口から出して舐め上げるわけにもいかない。
 セナは根元を両手で擦り上げながら、頬張った男根を懸命にしゃぶる。
 上手だと言われたい……
 下手だから口淫しなくても良いのだという結論は、とても切ないから。
 口を窄めて、じゅぷじゅぷと熱い楔を出し挿れする。
 相手への愛撫を施しているだけで、セナの体は淫らに疼いた。
 セナからは見えていないのだが、ファルゼフの眼前に晒された淡い色をした蕾は、物欲しげにひくひくと蠢いている。

「なんと……淫らなんでしょう」
「……んく?」

 そのとき、熱い掌がするりと腿を撫で上げた。
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