淫神の孕み贄

沖田弥子

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淫蕩な水際 4

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「あ、あ……でてる……いっぱい……。おいしい……。ハリルさまの、せーえき、おいしぃ……」
「……最高だな。好きだぞ、セナ。おまえは?」
「ん……すき、すき……」

感嘆の声を漏らしたハリルに、唇を塞がれた。濃厚な口づけを交わしながら熱い体を重ね合わせ、つながれたままソファに倒れ込む。
快楽に溺れた体は心のままに言葉を紡ぎ出す。
この男が愛しい。心も体も、もっと深く重なりたいという貪欲な望みが溢れていく。
セナの片足が高く掲げられる。結合部から、ちゅくりと男が放った精が溢れて内股を濡らした。
引き抜くのかと思ったが、ハリルは一向に硬さを失っていない雄芯で、ずちゅずちゅと律動を刻み始める。極めたばかりの体に逞しい抽挿が送り込まれて、たまらない悦楽が波のように押し寄せた。

「あっ、あっ、ハリルさ、ま、話の続きを……」
「なんだったかな」
「あっ、ぁん、いじわるぅ……あぁあ」
「おまえが可愛すぎるのが悪い」

強引に抱かれて、水際に甘い嬌声が響き渡る。陽が傾いて暮れなずむまで、セナの体の奥に熱い精が滔々と注ぎ込まれた。



昼はテラスで抱き潰されたというのに、夜の儀式でもハリルはきっちりセナを抱いて、たっぷりと精を呑み込ませた。
さすがに疲弊したセナだが、ラシードの前で疲れた姿は見せたくない。彼は気にしないかもしれないが、他の男に抱かれてもうお腹いっぱいですなんて恥知らずのように思えるからだ。けれどセナの体を味わえば、どれだけハリルに精を注がれたのか一目瞭然だろう。
それでもラシードは平然として優しくセナを抱いてくれる。決して無理をさせず、快楽を与えて濃い精を体の奥に注いだあとは、きつく抱きしめてくれた。
腕枕をして眠るラシードの端正な面立ちを間近に見て、ふいに触れたいという衝動が込み上げる。セナは手を動かそうとして、あれと首を捻った。
手元を見れば、いつの間にかラシードの大きな手につながれていた。互いの足は絡められている。まろやかな拘束で密着した裸の体は、とても温かい。
この手を振りほどきたくない。セナは男らしいラシードの唇にそっと口づけた。

「……どうした。眠れないのか」

ゆるりと瞼を開けたラシードは低い呟きを漏らす。起こしてしまったようだ。

「申し訳ありません。ラシードさまのお顔に触れたいと思ってしまったのです」
「謝ることはない。セナに口づけられて嬉しい。できるだけ触れていたいからな」

ラシードは鷹揚に許してくれる。しかもセナに触れたいとまで言ってくれる。
セナの胸にある、柔らかい核のような新芽が芽吹いた。

「ラシードさま……。お慕いしています」

気持ちを込めてつないだ手を握り返す。指を絡めてつながれた手は、しっとりと互いの熱に馴染む。
好きという言葉は言えない。昼間はハリルに抱かれて、つい好きなんて口走ってしまったが、その言葉に偽りはなかった。ハリルにも惹かれている自分がいる。
でも今はラシードのことだけを考えて、彼の姿を眸に映していたい。
たとえ儀式の間だけでもいい。ラシードに抱かれて、ほんの少しでも情をもらえることに至上の喜びを見出せた。
セナの額や瞼に口づけを落としていたラシードは、ふいに双眸を眇める。

「昼間、ハリルに抱かれていたな」
「あ……あれは、神の末裔についてハリルさまとお話していたら、いつのまにか……すみません」

ラシードが見ていたとは思えないが、召使いには当然知られている。王に報告することは召使いとしての義務でもある。

「よい。私に咎める権利はないからな。そもそも私が神の子であったなら、ハリルは儀式に不要だった。奴が神の末裔であると己の存在を誇示するのも理に適ったことなのだから」
「どういうことですか?」

ラシードは王なのになぜ神の子ではなく、ハリルと同様の末裔なのかという話は結局ハリルの口からは語られなかった。
ラシードはセナの額に落ちかかる髪を優しく掻き上げながら言葉を紡いだ。

「王族ならば誰でも知っていることだ。いずれセナの耳にも入るだろうから、私から言っておく。私は先代の儀式により産まれた神の子ではない。私の母は隣国から嫁いできた妃なのだ」
「えっ!?」

他国では王と妃の間に子が産まれるのが一般的だ。
けれどトルキア国の王家の場合は、妃の子は神の子と認められない。神の子の、そのまた子であるので神の末裔という位置づけになるとラシードは淡々と語った。

「淫神の儀式は行われたが、贄は子を孕まなかった。それゆえ父王は妃を娶り、私を成したのだ。私はイルハーム神の加護を受けていない王という烙印を生まれながらに背負っている」
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