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受胎の儀 5
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ラシードの咎めるような眼差しが痛い。上半身が自由になったセナはどうにか身を起こし、両手で胸元を覆う。
儀式のためとはいえ、他の男に抱かれたばかりの体を晒すのは居たたまれない。
「あ……見ないでください」
消え入りそうな小さな声を出せば、ラシードの大きな手で頤を掬い上げられた。
「んっ、ぁ、ん……」
荒々しく唇を塞がれる。濡れた舌が挿し入れられて唇を割られると、冷たい水を流し込まれていく。
心地良い液体が、するりと喉を流れた。セナは口うつしで呑まされる水を夢中で嚥下する。
最後に、口端に零れた雫を舌で舐め取られて、ほうと淡い息を継いだ。
「美味しい……」
うっとりとして呟くと、その様子を凝視していたラシードの喉仏がごくりと上下する。
男に抱かれて何度も達したセナは芳醇な色香を纏っている。
翡翠色の眸は快感の残滓を映してとろりと蕩かされ、幾度も吸われた唇は紅く濡れている。華奢な肢体からは雄を誘う香りが匂い立っていた。
アルファを誘う、オメガの発情期の香りだ。
ラシードはセナを覆っていた布をすべて取り払う。隠されていた下半身が露わになり、その凄艶なさまにセナは息を呑んだ。
真紅の淫紋には己の放った白蜜が撒き散らされ、後孔からは幾筋もの白濁が零れ落ちて腿を伝っている。下半身に巻きついた神具は金の棒とリングは外されているが、淫液を纏いながら鎖の一端につながれていた。閨の中で何が行われたのか、セナの体が如実に物語っていた。
「セナ。私はそなたがいかに疲弊していようとも、休ませてやることはできない。この身に私の精を受ける覚悟はできているか?」
痛ましい色を浮かべた漆黒の眸で見つめてくるラシードに微笑みかける。
疲れてなんかいない。神の末裔の精がほしい。もっと。
淫紋は妖しく蠢き出す。セナは細い腕を伸ばすと、ラシードの首に巻きつかせた。
「覚悟はできています。ラシードさまの精を僕にください。体の奥深くに、たくさん注いでください」
さらりと淫らな願いが口から零れ出る。
こんなに大胆な台詞が言えるなんて、自分でも信じられなかった。
淫紋に支配された体は精を求め、オメガの本能はアルファを誘惑する。
華奢な背中をきつく抱きしめたラシードは紫色の寝台にセナの体を横たえた。
ラシードがガウンを脱ぎ去ると逞しい体躯が露わにされて、セナは驚きに眸を見開く。
王は閨でも衣服を纏い、局部だけを出して結合するのが作法なのだと思っていた。以前、淫紋の儀においてラシードに抱かれたときも、そのようにしていたのだから。
けれど一糸纏わぬ裸体を晒して寝台に伸し上がり、セナに覆い被さるラシードに迷いはない。王の衣服を纏っているときは溢れる気品と端正な顔立ちのためか華奢にも見えるのに、裸身になると彫刻のように雄々しい筋肉を纏うラシードを目にして、どきりと心臓が跳ねる。
逞しい腕に、ぎゅっと抱きしめられて悦びが胸に込み上げた。
恋人のように大切に扱ってくれて、嬉しい。
儀式なのだから、義務的に精を放って終わりかもしれないと危惧していたから。
もちろんそういった扱いでも、セナに文句を言う資格などないのだけれど。
「ラシードさま……うれしい」
肩口に頬を擦り寄せると、耳朶を軽く啄まれる。髪を撫でられたり、瞼や頬に口づけられたりして、恋人のような戯れに陶然とした。
ふいに人影が過ぎり、驚いたセナは天井を仰ぐ。
「あ……天井に……」
なんと寝台の天井には鏡が設置されていた。人影かと思ったのは、抱き合う自分たちだ。
このようなところに、なぜ鏡があるのだろう。
ラシードは薄く笑う。
「この鏡は贄が孕まされていることを自覚するためにある。より快感を増幅させる効果もあるゆえ、私に抱かれている最中にずっと眺めているといい」
「そんな……見ながらだなんて、恥ずかしいです」
「言うほど嫌ではないようだが? 試してみよう」
身を起こしたラシードはセナの細腰を掴む。既に硬く勃立している雄芯の先端が、濡れている後孔に宛がわれた。
「あっ……あ、あぁん」
ぐちゅん、と淫らな水音を立てて、新たな楔を蕾は美味そうに呑み込んでいく。
沼のようにぐずぐずに蕩けている肉筒は迎え入れるように蠕動した。
「あっ、あ、あ、どうしよう……きもちいい……」
「天井を仰げ。楔を呑み込んでいる己の姿はどうだ?」
仰いでみれば天井の鏡には、豪奢な紫色の寝台の上に、金の鎖に巻かれている華奢な肢体が大きく足を広げて雄を銜えている姿が鮮明に映っていた。しかも男に貫かれている者は、自分の顔をしているのだ。鏡なのだから当然のことなのだが、あるがままの姿を俯瞰して見せつけられることにより、たまらない羞恥が湧き起こる。
儀式のためとはいえ、他の男に抱かれたばかりの体を晒すのは居たたまれない。
「あ……見ないでください」
消え入りそうな小さな声を出せば、ラシードの大きな手で頤を掬い上げられた。
「んっ、ぁ、ん……」
荒々しく唇を塞がれる。濡れた舌が挿し入れられて唇を割られると、冷たい水を流し込まれていく。
心地良い液体が、するりと喉を流れた。セナは口うつしで呑まされる水を夢中で嚥下する。
最後に、口端に零れた雫を舌で舐め取られて、ほうと淡い息を継いだ。
「美味しい……」
うっとりとして呟くと、その様子を凝視していたラシードの喉仏がごくりと上下する。
男に抱かれて何度も達したセナは芳醇な色香を纏っている。
翡翠色の眸は快感の残滓を映してとろりと蕩かされ、幾度も吸われた唇は紅く濡れている。華奢な肢体からは雄を誘う香りが匂い立っていた。
アルファを誘う、オメガの発情期の香りだ。
ラシードはセナを覆っていた布をすべて取り払う。隠されていた下半身が露わになり、その凄艶なさまにセナは息を呑んだ。
真紅の淫紋には己の放った白蜜が撒き散らされ、後孔からは幾筋もの白濁が零れ落ちて腿を伝っている。下半身に巻きついた神具は金の棒とリングは外されているが、淫液を纏いながら鎖の一端につながれていた。閨の中で何が行われたのか、セナの体が如実に物語っていた。
「セナ。私はそなたがいかに疲弊していようとも、休ませてやることはできない。この身に私の精を受ける覚悟はできているか?」
痛ましい色を浮かべた漆黒の眸で見つめてくるラシードに微笑みかける。
疲れてなんかいない。神の末裔の精がほしい。もっと。
淫紋は妖しく蠢き出す。セナは細い腕を伸ばすと、ラシードの首に巻きつかせた。
「覚悟はできています。ラシードさまの精を僕にください。体の奥深くに、たくさん注いでください」
さらりと淫らな願いが口から零れ出る。
こんなに大胆な台詞が言えるなんて、自分でも信じられなかった。
淫紋に支配された体は精を求め、オメガの本能はアルファを誘惑する。
華奢な背中をきつく抱きしめたラシードは紫色の寝台にセナの体を横たえた。
ラシードがガウンを脱ぎ去ると逞しい体躯が露わにされて、セナは驚きに眸を見開く。
王は閨でも衣服を纏い、局部だけを出して結合するのが作法なのだと思っていた。以前、淫紋の儀においてラシードに抱かれたときも、そのようにしていたのだから。
けれど一糸纏わぬ裸体を晒して寝台に伸し上がり、セナに覆い被さるラシードに迷いはない。王の衣服を纏っているときは溢れる気品と端正な顔立ちのためか華奢にも見えるのに、裸身になると彫刻のように雄々しい筋肉を纏うラシードを目にして、どきりと心臓が跳ねる。
逞しい腕に、ぎゅっと抱きしめられて悦びが胸に込み上げた。
恋人のように大切に扱ってくれて、嬉しい。
儀式なのだから、義務的に精を放って終わりかもしれないと危惧していたから。
もちろんそういった扱いでも、セナに文句を言う資格などないのだけれど。
「ラシードさま……うれしい」
肩口に頬を擦り寄せると、耳朶を軽く啄まれる。髪を撫でられたり、瞼や頬に口づけられたりして、恋人のような戯れに陶然とした。
ふいに人影が過ぎり、驚いたセナは天井を仰ぐ。
「あ……天井に……」
なんと寝台の天井には鏡が設置されていた。人影かと思ったのは、抱き合う自分たちだ。
このようなところに、なぜ鏡があるのだろう。
ラシードは薄く笑う。
「この鏡は贄が孕まされていることを自覚するためにある。より快感を増幅させる効果もあるゆえ、私に抱かれている最中にずっと眺めているといい」
「そんな……見ながらだなんて、恥ずかしいです」
「言うほど嫌ではないようだが? 試してみよう」
身を起こしたラシードはセナの細腰を掴む。既に硬く勃立している雄芯の先端が、濡れている後孔に宛がわれた。
「あっ……あ、あぁん」
ぐちゅん、と淫らな水音を立てて、新たな楔を蕾は美味そうに呑み込んでいく。
沼のようにぐずぐずに蕩けている肉筒は迎え入れるように蠕動した。
「あっ、あ、あ、どうしよう……きもちいい……」
「天井を仰げ。楔を呑み込んでいる己の姿はどうだ?」
仰いでみれば天井の鏡には、豪奢な紫色の寝台の上に、金の鎖に巻かれている華奢な肢体が大きく足を広げて雄を銜えている姿が鮮明に映っていた。しかも男に貫かれている者は、自分の顔をしているのだ。鏡なのだから当然のことなのだが、あるがままの姿を俯瞰して見せつけられることにより、たまらない羞恥が湧き起こる。
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