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王の夜伽 2
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たまらずに唇を薄く開けば、歯列を割り、ぬるりと舌が潜り込む。
熱い舌は丁寧に歯列をなぞり、頬裏をくすぐって、怯える舌を誘うように突く。
王であるラシードとこんなことをしているなんて、信じられない。
夜伽ということなのかもしれないが、セナは王の相手を務められるような閨の作法は備えていない。性的な経験は奴隷市場で少々後孔を弄られたことがあるくらいだ。それも全く気持ち良くなどないし、発情期も来ないのでセックスをしたいという願望もなかった。
でも今は、ラシードに口づけられて気持ちが良いと思い始めていた。
同時に、オメガであり奴隷市場から買い上げられた卑しい自分に王が触れるなんていけないという背徳も湧いた。
ラシードの舌が絡もうとするたびに、狭い口腔内をセナは逃げ惑う。少し唇を離したラシードは、口端に笑みを刻んだ。その精悍な面立ちはしっとりとした雄の色香を纏わせている。
「舌を絡ませてくれ。そんなに逃げて私を焦らすとは、悪い子だ」
ねだるように、ちゅ、と頬に口づけられる。甘えるようなラシードの仕草に、絆されそうになってしまう。
「ラシードさま……いけません。僕はオメガです。奴隷です。僕に触れたら王の体が穢れてしまいます」
「心配はいらない。さあ、秘められたその肉体を開花させるのだ」
深く口づけられ、舌を搦め捕られる。熱く濡れた舌先を擦り合わされて、じゅるっと啜り上げられた。それだけでもう無垢な体は甘く引き絞られるような疼きを覚える。
きもちいい。人と粘膜を擦り合わせるのは、こんなにも気持ちの良いものだったのだ。
今までは性行為に対して抵抗があったが、ラシードになら体を委ねられるという安心感が芽生えた。口づけに快感を覚えた体から余分な力が抜けていく。
ちゅくちゅくと淫靡な水音を響かせながら、脳髄が蕩けるほどに舌を愛撫されて頭の芯がぼうっとする。
ちゅぷ……と微かな音が鼓膜を掠めたあと、離れた互いの唇を銀糸が伝う。濃厚な口づけの残り香に酔いしれていると、ラシードの濡れた唇は首筋を伝い下りていった。浮いた鎖骨を辿りながら大きな手に脇腹を撫で下ろされて、くすぐったさに身を捩る。
「んっ……」
こんな風に壊れ物のように触れられるのは初めてで、嬉しいのか恥ずかしいのか分からなくなり、涙が零れてしまう。
これまでは無遠慮に髪を引っ張られたり、体を叩かれたりすることが常だった。
自分はそういう矮小な存在なのだと思って諦めていた。
それなのにラシードは労るように触れてくれる。一方的に己のしたいように扱うのではなく、セナに話しかけて反応を見ながら導いてくれる。
まるで奇蹟が起こったようだ。
ラシードの優しい愛撫を、セナは悦びに唇を震わせながら受け入れた。セナの顔を窺ったラシードは、ふと手を止める。
「どうした。……嫌か?」
眦から零れ落ちた雫を舌先で拭われる。セナは首をゆるりと振った。
「いいえ、ラシードさま。僕、こんなふうに大切に扱われたことがないので、嬉しいんです。嬉しくて涙がこぼれるんです」
素直に打ち明けると、不安げに眉をひそめていたラシードは微笑を浮かべる。
ぎゅっとセナの体を抱きしめて、頭を撫でさすってくれた。
「そうか。これまでは不遇に耐えていたのだな。今後は誰よりも大切にする。そう……私なりに、大切にな」
ラシードの指先が胸に這い、淡い色をした乳暈を淫靡に撫でる。仄かな快感を得て陶然としていると、指の腹で突起にそっと触れられる。小さなそれは捏ねられて押し潰されると、ぷくりと膨らんだ。
「あ……、どうして、そこを……」
女の子じゃないのに、そんなところを弄られても感じるはずないのに、なぜかラシードに触れられるとむず痒いような感覚が生まれる。セナは頬を染めて無意識に膝を擦り合わせた。
「男に抱かれるのは初めてか?」
こくりと頷く。
ラシードは真摯な眼差しをして、セナの頬を両手で包み込んだ。
「今日は優しくする。そなたは何も考えず、感じていればいい」
「はい……分かりました」
今日はということは、明日以降もあるのだろうか。
まずは今、王の相手をさせていただくのだから言われたとおりにしよう。拙いなりに懸命に頑張ろうと心に決めて、セナは疑問を呑み込んだ。
膨らんだ淡い色の小さな乳首に、ラシードは唇を寄せる。
「んん……っ」
ぬろりと舐め上げられてから口腔に含まれ、ちゅう、と音を立てて吸われた。痺れるような快楽がじわりと体に広がる。なぜか腰奥が、熱を持ったように重苦しい。
「あ、あ……ラシードさま……なんだか体が……ヘンです……」
セナの花芯は男の愛撫に勃ち上がりかけていた。
今までこんな風に触られたこともないので、体がこのような反応を示すのも初めてだ。どうしたらいいのか分からなくなる。
「体が快楽を得ているのだ。感じるままに声を上げるがいい」
熱い舌は丁寧に歯列をなぞり、頬裏をくすぐって、怯える舌を誘うように突く。
王であるラシードとこんなことをしているなんて、信じられない。
夜伽ということなのかもしれないが、セナは王の相手を務められるような閨の作法は備えていない。性的な経験は奴隷市場で少々後孔を弄られたことがあるくらいだ。それも全く気持ち良くなどないし、発情期も来ないのでセックスをしたいという願望もなかった。
でも今は、ラシードに口づけられて気持ちが良いと思い始めていた。
同時に、オメガであり奴隷市場から買い上げられた卑しい自分に王が触れるなんていけないという背徳も湧いた。
ラシードの舌が絡もうとするたびに、狭い口腔内をセナは逃げ惑う。少し唇を離したラシードは、口端に笑みを刻んだ。その精悍な面立ちはしっとりとした雄の色香を纏わせている。
「舌を絡ませてくれ。そんなに逃げて私を焦らすとは、悪い子だ」
ねだるように、ちゅ、と頬に口づけられる。甘えるようなラシードの仕草に、絆されそうになってしまう。
「ラシードさま……いけません。僕はオメガです。奴隷です。僕に触れたら王の体が穢れてしまいます」
「心配はいらない。さあ、秘められたその肉体を開花させるのだ」
深く口づけられ、舌を搦め捕られる。熱く濡れた舌先を擦り合わされて、じゅるっと啜り上げられた。それだけでもう無垢な体は甘く引き絞られるような疼きを覚える。
きもちいい。人と粘膜を擦り合わせるのは、こんなにも気持ちの良いものだったのだ。
今までは性行為に対して抵抗があったが、ラシードになら体を委ねられるという安心感が芽生えた。口づけに快感を覚えた体から余分な力が抜けていく。
ちゅくちゅくと淫靡な水音を響かせながら、脳髄が蕩けるほどに舌を愛撫されて頭の芯がぼうっとする。
ちゅぷ……と微かな音が鼓膜を掠めたあと、離れた互いの唇を銀糸が伝う。濃厚な口づけの残り香に酔いしれていると、ラシードの濡れた唇は首筋を伝い下りていった。浮いた鎖骨を辿りながら大きな手に脇腹を撫で下ろされて、くすぐったさに身を捩る。
「んっ……」
こんな風に壊れ物のように触れられるのは初めてで、嬉しいのか恥ずかしいのか分からなくなり、涙が零れてしまう。
これまでは無遠慮に髪を引っ張られたり、体を叩かれたりすることが常だった。
自分はそういう矮小な存在なのだと思って諦めていた。
それなのにラシードは労るように触れてくれる。一方的に己のしたいように扱うのではなく、セナに話しかけて反応を見ながら導いてくれる。
まるで奇蹟が起こったようだ。
ラシードの優しい愛撫を、セナは悦びに唇を震わせながら受け入れた。セナの顔を窺ったラシードは、ふと手を止める。
「どうした。……嫌か?」
眦から零れ落ちた雫を舌先で拭われる。セナは首をゆるりと振った。
「いいえ、ラシードさま。僕、こんなふうに大切に扱われたことがないので、嬉しいんです。嬉しくて涙がこぼれるんです」
素直に打ち明けると、不安げに眉をひそめていたラシードは微笑を浮かべる。
ぎゅっとセナの体を抱きしめて、頭を撫でさすってくれた。
「そうか。これまでは不遇に耐えていたのだな。今後は誰よりも大切にする。そう……私なりに、大切にな」
ラシードの指先が胸に這い、淡い色をした乳暈を淫靡に撫でる。仄かな快感を得て陶然としていると、指の腹で突起にそっと触れられる。小さなそれは捏ねられて押し潰されると、ぷくりと膨らんだ。
「あ……、どうして、そこを……」
女の子じゃないのに、そんなところを弄られても感じるはずないのに、なぜかラシードに触れられるとむず痒いような感覚が生まれる。セナは頬を染めて無意識に膝を擦り合わせた。
「男に抱かれるのは初めてか?」
こくりと頷く。
ラシードは真摯な眼差しをして、セナの頬を両手で包み込んだ。
「今日は優しくする。そなたは何も考えず、感じていればいい」
「はい……分かりました」
今日はということは、明日以降もあるのだろうか。
まずは今、王の相手をさせていただくのだから言われたとおりにしよう。拙いなりに懸命に頑張ろうと心に決めて、セナは疑問を呑み込んだ。
膨らんだ淡い色の小さな乳首に、ラシードは唇を寄せる。
「んん……っ」
ぬろりと舐め上げられてから口腔に含まれ、ちゅう、と音を立てて吸われた。痺れるような快楽がじわりと体に広がる。なぜか腰奥が、熱を持ったように重苦しい。
「あ、あ……ラシードさま……なんだか体が……ヘンです……」
セナの花芯は男の愛撫に勃ち上がりかけていた。
今までこんな風に触られたこともないので、体がこのような反応を示すのも初めてだ。どうしたらいいのか分からなくなる。
「体が快楽を得ているのだ。感じるままに声を上げるがいい」
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