93 / 112
秘密のレッスン 1
しおりを挟む
傾きかけていた公爵家の財政はひとまず持ち直したようだった。
鴇と晃久は度々事業のための打ち合わせを行い、物件の視察に出かけているようだ。なぜか鴇は安珠を晃久に会わせようとしないので詳細は分からない。
目に見える変化としては、数多くいた使用人を解雇したので屋敷内は閑散とした。残っているのは山崎やキユなど勤めた年月が長く、転職を考えていない者ばかりである。
父が存命だった頃は当主の靴を履かせるための使用人や毎朝髪を整えるための理容師を雇い、大勢の執事たちを抱えていたのだが、鴇はそれらすべてを経費の無駄だと人員削減した。
鴇は自分で着替えを行い、自ら屈んで靴を履く。しかも安珠の着替えまで鴇が手ずから行うので、そのための使用人は必要なくなった。掃除や調理は使用人が行うので不便はないが、老齢の下男が腰を痛めたときには鴇が薪を割っていた。
庶子の下男が公爵に出世すれば偉ぶるものだろうと想像に易いのだが、鴇は公爵家を立て直そうという使命に燃えているのか、常に謙虚な姿勢を崩さない。
彼が安珠を見下そうものなら庶子めと罵ってやるのに、人前では安珠を立て、甲斐甲斐しく世話を焼くものだから文句を吐く気も失せてしまう。資金繰りは順調で、使用人たちの評判も良いので、鴇は申し分ない当主といえた。母や史子への支援金も滞りなく支払われている。
ただしそのための契約は、口淫から体をつなげることに移行したらしい。
安珠としては鴇の雄芯を口で銜えるか、肉筒で受け止めるかの違いでしかないので、鴇の望むとおりで構わない。驚いたのは彼の執拗さだ。
初めて体をつなげて以来、鴇は箍が外れたように安珠を求めだした。まるで、これまでの分を取り戻そうとするかのように雄々しい肉棒と甘い言葉を駆使して一晩に幾度も挑んでくる。日中は執務があるが、それが終われば安珠を抱き上げてすぐさま寝室に連れ込む。
鴇から快楽を教え込まされた体は、瞬く間に淫らな雌に変貌していく。後ろから貫かれる体勢で揺さぶられ、安珠は高い嬌声を上げた。
「あっ、あん、あぁっ、いく、い……っ、あっあ……!」
また達してしまい、びくびくと腰を震わせながら枕に突っ伏す。花筒にはたっぷり白濁が注がれて、ぐちゅりと中を濡らしていた。そこを全く力を失っていない楔で掻き回され、新たな愉悦を生み出す。
「もう……やだ……」
絶倫の鴇は何度放出しても満足することを知らない。初めてのときに一回で済んだのは、実は彼が手加減してくれたからなのだと今さら思い知った。
「まだだよ。安珠の中は食い締めてきて俺の肉棒を離さないじゃないか。また奥で出してあげるね」
体を返されて、足を高く抱え上げられる。ずんずんと腰を推し進められて快楽をねじ込まれ、絶頂の余韻が残る体は瞬く間に火が点る。
「ひあぁああ、あぁん、あっ、あっ、らめぇ、んぁ、あっん」
甘い喘ぎ声で泣き喚く安珠は、凄絶に乱れて快楽を貪る。男の抽挿に合わせて腰を振り立て、接吻をせがんで逞しい首根に腕を回す。
「んん……ふ、ぅん……」
濡れた舌を擦り合わせ、ちゅるりと吸い上げる。目を合わせただけで、互いが求めているものを察するほどふたりは情交を重ねていた。
絡めた舌の感触を堪能している間にも、逞しい腰は小刻みに奥を穿つ。感じるところを硬い先端で突かれ、びくりと体が跳ね上がった。
「んっ……はぁっ、そこ、……あ、あっ、かんじる……」
「ここはね、子種を呑む口だよ。たくさん注いであげようね」
「えっ? 子種を……」
オメガは男でも妊娠可能な体だという。
その事実を知らなかったわけではないが、これまであえて見ないふりをしてきた。男に生まれた自分が妊娠するなんて、全く想像がつかない。つい先日までは、妊娠するための具体的な方法すら知らなかったくらいだ。
けれど、今まさに最奥に押し込まれた男根から迸る子種が、安珠を孕ませようとしている。急速に現実を認識した安珠は怯えた。
「だ、だめだ。妊娠する……」
鴇の肩を押し戻そうとしたが、強靱な体はびくともしない。いっそう華奢な体をきつく抱き返された。そして鴇は怖ろしいひとことを吐く。
「俺の子を孕ませるよ」
最奥をずくずくと穿たれて絶頂へと導かれていく。連日の快楽に蕩かされ、雄の味を覚え込まされた体は為す術もなかった。
「あっ、あう、あんん、らめ、鴇……あ、いく、あぁんん」
ぐうっと沈められた砲身の先端から、欲の飛沫が迸る。
絶頂に達した体をきつく抱き留められながら、奥の口に夥しい量の子種が注ぎ込まれていった。
「あ……あ……、孕んじゃう……」
つう、と眦から雫が零れ落ちる。鴇は愛おしそうにそれを舐め取った。
「大丈夫。何も心配いらない」
鴇がどういうつもりなのか分からない。
けれどひとたび熱が冷めてしまえば、閨での睦言なので考えても詮無いことだと思い直す。行為の最中は安珠もわけがわからなくなって、自分でも何を口走ったのか理解していないことも多々ある。
だから孕ませるだとかいったことは即ち、戯れ言なのだと解釈した。現に鴇は行為が終わると、安珠に口移しで水を飲ませた後は腕枕をしながら違う話をする。
鴇と晃久は度々事業のための打ち合わせを行い、物件の視察に出かけているようだ。なぜか鴇は安珠を晃久に会わせようとしないので詳細は分からない。
目に見える変化としては、数多くいた使用人を解雇したので屋敷内は閑散とした。残っているのは山崎やキユなど勤めた年月が長く、転職を考えていない者ばかりである。
父が存命だった頃は当主の靴を履かせるための使用人や毎朝髪を整えるための理容師を雇い、大勢の執事たちを抱えていたのだが、鴇はそれらすべてを経費の無駄だと人員削減した。
鴇は自分で着替えを行い、自ら屈んで靴を履く。しかも安珠の着替えまで鴇が手ずから行うので、そのための使用人は必要なくなった。掃除や調理は使用人が行うので不便はないが、老齢の下男が腰を痛めたときには鴇が薪を割っていた。
庶子の下男が公爵に出世すれば偉ぶるものだろうと想像に易いのだが、鴇は公爵家を立て直そうという使命に燃えているのか、常に謙虚な姿勢を崩さない。
彼が安珠を見下そうものなら庶子めと罵ってやるのに、人前では安珠を立て、甲斐甲斐しく世話を焼くものだから文句を吐く気も失せてしまう。資金繰りは順調で、使用人たちの評判も良いので、鴇は申し分ない当主といえた。母や史子への支援金も滞りなく支払われている。
ただしそのための契約は、口淫から体をつなげることに移行したらしい。
安珠としては鴇の雄芯を口で銜えるか、肉筒で受け止めるかの違いでしかないので、鴇の望むとおりで構わない。驚いたのは彼の執拗さだ。
初めて体をつなげて以来、鴇は箍が外れたように安珠を求めだした。まるで、これまでの分を取り戻そうとするかのように雄々しい肉棒と甘い言葉を駆使して一晩に幾度も挑んでくる。日中は執務があるが、それが終われば安珠を抱き上げてすぐさま寝室に連れ込む。
鴇から快楽を教え込まされた体は、瞬く間に淫らな雌に変貌していく。後ろから貫かれる体勢で揺さぶられ、安珠は高い嬌声を上げた。
「あっ、あん、あぁっ、いく、い……っ、あっあ……!」
また達してしまい、びくびくと腰を震わせながら枕に突っ伏す。花筒にはたっぷり白濁が注がれて、ぐちゅりと中を濡らしていた。そこを全く力を失っていない楔で掻き回され、新たな愉悦を生み出す。
「もう……やだ……」
絶倫の鴇は何度放出しても満足することを知らない。初めてのときに一回で済んだのは、実は彼が手加減してくれたからなのだと今さら思い知った。
「まだだよ。安珠の中は食い締めてきて俺の肉棒を離さないじゃないか。また奥で出してあげるね」
体を返されて、足を高く抱え上げられる。ずんずんと腰を推し進められて快楽をねじ込まれ、絶頂の余韻が残る体は瞬く間に火が点る。
「ひあぁああ、あぁん、あっ、あっ、らめぇ、んぁ、あっん」
甘い喘ぎ声で泣き喚く安珠は、凄絶に乱れて快楽を貪る。男の抽挿に合わせて腰を振り立て、接吻をせがんで逞しい首根に腕を回す。
「んん……ふ、ぅん……」
濡れた舌を擦り合わせ、ちゅるりと吸い上げる。目を合わせただけで、互いが求めているものを察するほどふたりは情交を重ねていた。
絡めた舌の感触を堪能している間にも、逞しい腰は小刻みに奥を穿つ。感じるところを硬い先端で突かれ、びくりと体が跳ね上がった。
「んっ……はぁっ、そこ、……あ、あっ、かんじる……」
「ここはね、子種を呑む口だよ。たくさん注いであげようね」
「えっ? 子種を……」
オメガは男でも妊娠可能な体だという。
その事実を知らなかったわけではないが、これまであえて見ないふりをしてきた。男に生まれた自分が妊娠するなんて、全く想像がつかない。つい先日までは、妊娠するための具体的な方法すら知らなかったくらいだ。
けれど、今まさに最奥に押し込まれた男根から迸る子種が、安珠を孕ませようとしている。急速に現実を認識した安珠は怯えた。
「だ、だめだ。妊娠する……」
鴇の肩を押し戻そうとしたが、強靱な体はびくともしない。いっそう華奢な体をきつく抱き返された。そして鴇は怖ろしいひとことを吐く。
「俺の子を孕ませるよ」
最奥をずくずくと穿たれて絶頂へと導かれていく。連日の快楽に蕩かされ、雄の味を覚え込まされた体は為す術もなかった。
「あっ、あう、あんん、らめ、鴇……あ、いく、あぁんん」
ぐうっと沈められた砲身の先端から、欲の飛沫が迸る。
絶頂に達した体をきつく抱き留められながら、奥の口に夥しい量の子種が注ぎ込まれていった。
「あ……あ……、孕んじゃう……」
つう、と眦から雫が零れ落ちる。鴇は愛おしそうにそれを舐め取った。
「大丈夫。何も心配いらない」
鴇がどういうつもりなのか分からない。
けれどひとたび熱が冷めてしまえば、閨での睦言なので考えても詮無いことだと思い直す。行為の最中は安珠もわけがわからなくなって、自分でも何を口走ったのか理解していないことも多々ある。
だから孕ませるだとかいったことは即ち、戯れ言なのだと解釈した。現に鴇は行為が終わると、安珠に口移しで水を飲ませた後は腕枕をしながら違う話をする。
0
お気に入りに追加
1,130
あなたにおすすめの小説
完結・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら、激甘ボイスのイケメン王に味見されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる