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蹂躙のオークション 1

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 ようやく目が慣れてくる。そこは小さな劇場のようなところだった。座席にはスーツを着用した紳士たちが数十人はおり、舞台に立つ澪を瞬きもせずに見つめている。
 好奇、下卑、冷徹に商品を見定める視線。
 様々な目が、照明に晒された澪の肢体を舐めるようにしていく。
 特に彼らの目線は、澪の下腹に集中した。

「あ……」

 紐だけを絡ませた淫猥な下着の間から、花芯は照明の光を受けて輝くように屹立している。人々の視線を受けてなぜか花芯は、ぷくりと先端に蜜を滲ませた。
 おお、と驚嘆の声が上がる。羞恥に見舞われた澪は思わず両手で花芯を覆い隠した。途端に紳士たちから不平が零れる。

「お願いです……許してください……」

 小さな訴えは会場の不満の声に掻き消された。
 見られるほどに体の奥から熱と疼きが湧き上がってくる。隠してはいけないと分かってはいるが、これ以上人目に晒されたら、きっと我慢ができない。あられもない痴態を晒してしまう。
 司会者は卒のない笑顔で紳士たちを宥める。

「こちらの花は恥ずかしがりのようですが、感度は抜群です。では皆様の期待にお応えして、花瓶に挿してご覧にいれましょう」

 澪の仕草に怒っていた紳士たちだが、司会者の言葉に相好を崩した。
 花瓶に挿すとはどういうことだろう。
 訳が分からず棒立ちでいると、舞台袖から覆面をした黒子がやってきた。台座から降りるよう促される。黒子は次に、何に使うのか不思議に思っていた奇妙な椅子を舞台の中央に移した。
  椅子は上等なビロードが張られているのだが、背もたれが高くて座席も長い。どこかで見たような形だと思ったが、歯科の診療台に似ている。簡単な装置が付いているので、背もたれを倒せるのかもしれない。
 黒子に軽く背を押されて、椅子に座らされる。
 腰掛けた状態で正面から場内の紳士たちに向き合う。彼らは微笑ましい笑顔で見守っていた。

「えっ」

 がちゃり、と硬質な金属音が鳴った。
 澪の手首に、黒子が器具を嵌める。続いて足首にも。
 両手両足は鉄製の金属で拘束されてしまい、身動きが取れなくなる。
 作業を終えた黒子が椅子の後ろに控えると、司会者は高らかな声を発した。

「それでは、花瓶に生けられた美しい花をたっぷりとご鑑賞ください」

 椅子の背もたれが倒れていく。
 それと同時に足下の座席は浮き上がり、澪の体と拘束された手足も動く椅子のいいなりになった。やがて完全に寝るような体勢になる。ただし背もたれは水平に保たれているが、足下は高く上がっていた。この状態では、会場からは澪の足裏しか見えない。

「え……」

 無機質な機械音と共に、椅子の足下がふたつに割れた。澪の膝も、椅子の動きに合わせて徐々に開いていく。
 場内からは驚喜で迎えられる。
 元々ふたつに割れるように造られていた椅子の足下は、やがていっぱいに開かれた。足首が固定されている澪の足も、限界まで開脚する。そうすると、開いた脚の間から喜ぶ紳士たちの顔が見えた。彼らの眼前に、勃ち上がった花芯が晒される。蕾はかろうじて紐に遮られているが、布が細いので隙間から見えてしまいそうだ。

「あっ……ああ……」

 花を花瓶に挿すというのは、淫らな椅子に座らせた澪を愛でるという意味だったのだ。
 椅子の仕掛けに驚愕した澪は体を震わせて羞恥に耐えることしかできない。拘束された手足では覆い隠すことも叶わなかった。

「いやあ……見ないで……」

 人々の好奇の視線と興奮したような息遣いが、嫌なのに澪の体を昂ぶらせる。
 花芯は見られていることを喜ぶかのように、ぴくりぴくりと震えて、そのたびに淫靡な蜜を滴らせた。その奥の蕾はまるで刺激を欲しがるように、ひくりと綻んでいる。
 最前列の紳士が澪の秘部を指さしながら焦れたように言った。

「蕾が見えそうで見えない。もどかしいな。おい、蕾がどうなっているのか確かめたい。味見はあるのだろうな?」

 蕾を味見という言葉に、澪は背筋を凍らせる。
 まさか衆人環視の中で、最後までの行為をさせられてしまうのだろうか。
 紳士に呼びつけられた司会者は苦笑しながら手のひらを掲げた。

「この花は行為に慣れていないので壊してしまうといけませんから、本番はご勘弁ください。ただ皆様に吟味していただけますように、触って反応を確かめてみましょう」

 ぎくりと体を強張らせる。
 どこを触られるのだろうか。敏感になっている秘所は撫でられただけで暴発してしまうかもしれない。それほどに体の疼きは高まっていた。かろうじて緊張により理性を保っているだけに過ぎない。
 司会者の采配により、三人の紳士が指名されて舞台に上がってきた。
 先ほど味見はあるのかと申し立てた最前列の紳士もいる。紳士たちは一様に下卑た笑いを口元に浮かべていた。
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