4 / 45
第一章
蟲公主 3
しおりを挟む
「どうして?」
「今まで奥様が許してきたから惰性になっていたが、俺は結蘭の近侍だ。主と近侍が食卓を共にしていたらまずいだろう」
「何がまずいの? 食事は美味しいよ?」
「おまえな」
眉根を寄せて黒狼は匙を置いた。
黒狼は正しくは、結蘭公主の近侍という位置づけになる。けれど後宮で暮らしていたのは五歳までだったので、皇帝である父の思い出はほとんどなく、女官に傅かれていた記憶もおぼろげだ。公主としての自覚などまったくない。
「食卓を別々にしたら欣恵が大変じゃないの。ねえ、欣恵」
一緒に食べてくれないと寂しい。
それを上手く口にできなくて欣恵に助けを求めると、何故か欣恵は緊張した様子でびくりと肩を震わせた。
「え、ええ。そうでございますね」
「欣恵。次から俺は自室で食べる。支度が大変なら俺が自分で運ぶ」
「でも、黒狼さま……」
欣恵は黒狼の母ではなく、乳母である。そのせいか黒狼は主のように振る舞い、欣恵は敬う態度を崩さない。良家の子息なのかもしれないが、詳しいことは結蘭は知らない。
「けじめだ。公主を軽んじるわけにはいかない。欣恵も娘のように接するのはやめろ」
「承知いたしました」
欣恵は深く頭を下げた。
むっとした結蘭は口中の甘い黒蜜を苦々しい思いで飲み下す。
というか、黒狼が公主扱いしてくれたことなんてあったの? 蓑虫だとか軽々しく言ってたよね?
どうして突然そんなことを言い出すのか理解できない。結蘭は猛然と抗議した。
「けじめってなによ? 黒狼の口から公主なんて単語が出ると思わなかったわ。私は欣恵に娘みたいに思ってくれるの嬉しいもの。ずっとそうしてほしい。黒狼こそ、いつも私や欣恵に偉そうじゃない。……食事だって、一人じゃ食べたくないもの」
声が大きかったのは始めだけで、最後の台詞はぼそぼそと呟いただけだった。
黒狼は憮然として眺めているだけで、考えを変える気はないのだろう。欣恵が気遣わしげに声をかける。
「結蘭さまのお心、感謝いたします。黒狼さまが尊大なこと、どうかお許し下さい。黒狼さまは、実は――」
「やめろ」
鋭い一喝に、欣恵は身を縮める。
食卓に重い沈黙が降りた。
黒狼は手の付けていない豆乳花の器を、結蘭の前に押しやる。
「食べろ」
「いらない」
つい意固地になってしまう。虫たちとは和やかに会話ができるのに、黒狼とは上手く意思の疎通ができないことがもどかしい。子どもの頃は言いたいことを言って、楽しく遊んでいたはずなのに、どうしてだろう。
沈黙を破るように、窓越しに蹄の音が響いた。屋敷の前で止まり、訪いを入れる野太い男性の声が聞こえる。
来客とは珍しい。慌てて玄関へ向かった欣恵の後をふたりは追いかけた。
「結蘭公主のお住まいはこちらでございますか」
男性は王都の役人が身につける旅装束を着用していた。金城の使者だ。手に携えた竹簡には、皇帝の印である龍が蝋で封印されている。
「私が結蘭です。何か御用ですか?」
公主自ら玄関に赴き名乗りを上げたので、使者は眉をひそめたが、厳かに礼をして竹簡を広げた。
「皇帝陛下よりの勅命であります。結蘭公主におかれましては、直ちに王都へお越し下さいますよう。虫と話せるという特殊な力を生かし、悩み多き弟を助けてほしいとの、陛下のお言葉でございます」
「ええ~⁉」
驚きが一巡すると、黒狼は感心したように呟いた。
「虫だけでなく、ついに皇帝からも悩み相談を持ちかけられたか」
結蘭の父である皇帝は数年前に亡くなり、正妃の長子が新しい皇帝として即位した。結蘭とは母の違う弟ということになる。幼い頃に赤子をあやした記憶があるが、結蘭が十六歳になったように彼も十三歳と立派になっているだろう。
ただ年若い皇帝が国を収めるのは並大抵の気苦労ではないと察せられる。
それにしても蟲公主と呼ばれる結蘭の力を借りなくても良さそうなものだ。
「私は虫と話すのは大好きなんだけど、天子さまのお悩みはちょっと……」
気後れしてやんわりと断ると、役人は平伏して地面に額を擦りつけた。
「なにとぞ。姉君でなければ解決できない問題であると、陛下は仰せです。お話を聞くだけでも結構でございます。どうか、お力をお貸し下さい」
「頭を上げて下さい、蟻が痛いって叫んでます‼」
「なにとぞ! 結蘭公主」
「わかりました、行きます。行けばいいんでしょ、頭を上げて~」
額で押し潰されそうになっていた蟻をどうにか救出した結蘭は、こうして王都へと旅立つことになった。
王都へ向かう日、屋敷の門前には数名の役人と馬車が遣わされた。結蘭が王都へ返り咲くという噂は瞬く間に村中を巡り、集まった村人から盛大な声援が送られる。
「良かったな、蟲公主さま。後宮で出世しろよ」
甲虫と蝉を肩に止まらせた皓が手を振って見送っている。
馬車に乗り込んだ結蘭は御簾を開けて、皆に手を振り返した。
「ありがとう、みんな~。って、戻ってくるんだからね! ちょっと遊びにいくだけだからね⁉」
祝うように白鷺の群れが川縁から飛び立ち、悠々と空の彼方へ飛翔していく。
黒狼は馬の手綱を取りながら溜息を零した。
「妃嬪じゃあるまいし、公主が後宮で出世できないだろ」
結蘭に付き従うのは黒狼と、可愛がっている白馬の子翼だ。動物とは話せないが、子翼は聡明なので人の心の機微を理解している。主を慕う余り、結蘭以外の人を背中に乗せたがらず、別の馬に跨がる黒狼の隣で揚々と尻尾を振っていた。
屋敷の前で心配そうに見送る欣恵の姿が次第に遠ざかる。
留守を頼んだ欣恵は黒狼の同行を止めたが、結蘭をひとりでは行かせられないと説得されて承知した。
もう子どもじゃないから平気なのに。黒狼もきっと、王都を見たいのね。
王都にはどんな虫たちがいるのだろう。もしかしたら、伝説の金色蝶に出会えるかもしれない。
結蘭は胸を弾ませて、これから出会うであろう虫たちに思いを馳せた。
「今まで奥様が許してきたから惰性になっていたが、俺は結蘭の近侍だ。主と近侍が食卓を共にしていたらまずいだろう」
「何がまずいの? 食事は美味しいよ?」
「おまえな」
眉根を寄せて黒狼は匙を置いた。
黒狼は正しくは、結蘭公主の近侍という位置づけになる。けれど後宮で暮らしていたのは五歳までだったので、皇帝である父の思い出はほとんどなく、女官に傅かれていた記憶もおぼろげだ。公主としての自覚などまったくない。
「食卓を別々にしたら欣恵が大変じゃないの。ねえ、欣恵」
一緒に食べてくれないと寂しい。
それを上手く口にできなくて欣恵に助けを求めると、何故か欣恵は緊張した様子でびくりと肩を震わせた。
「え、ええ。そうでございますね」
「欣恵。次から俺は自室で食べる。支度が大変なら俺が自分で運ぶ」
「でも、黒狼さま……」
欣恵は黒狼の母ではなく、乳母である。そのせいか黒狼は主のように振る舞い、欣恵は敬う態度を崩さない。良家の子息なのかもしれないが、詳しいことは結蘭は知らない。
「けじめだ。公主を軽んじるわけにはいかない。欣恵も娘のように接するのはやめろ」
「承知いたしました」
欣恵は深く頭を下げた。
むっとした結蘭は口中の甘い黒蜜を苦々しい思いで飲み下す。
というか、黒狼が公主扱いしてくれたことなんてあったの? 蓑虫だとか軽々しく言ってたよね?
どうして突然そんなことを言い出すのか理解できない。結蘭は猛然と抗議した。
「けじめってなによ? 黒狼の口から公主なんて単語が出ると思わなかったわ。私は欣恵に娘みたいに思ってくれるの嬉しいもの。ずっとそうしてほしい。黒狼こそ、いつも私や欣恵に偉そうじゃない。……食事だって、一人じゃ食べたくないもの」
声が大きかったのは始めだけで、最後の台詞はぼそぼそと呟いただけだった。
黒狼は憮然として眺めているだけで、考えを変える気はないのだろう。欣恵が気遣わしげに声をかける。
「結蘭さまのお心、感謝いたします。黒狼さまが尊大なこと、どうかお許し下さい。黒狼さまは、実は――」
「やめろ」
鋭い一喝に、欣恵は身を縮める。
食卓に重い沈黙が降りた。
黒狼は手の付けていない豆乳花の器を、結蘭の前に押しやる。
「食べろ」
「いらない」
つい意固地になってしまう。虫たちとは和やかに会話ができるのに、黒狼とは上手く意思の疎通ができないことがもどかしい。子どもの頃は言いたいことを言って、楽しく遊んでいたはずなのに、どうしてだろう。
沈黙を破るように、窓越しに蹄の音が響いた。屋敷の前で止まり、訪いを入れる野太い男性の声が聞こえる。
来客とは珍しい。慌てて玄関へ向かった欣恵の後をふたりは追いかけた。
「結蘭公主のお住まいはこちらでございますか」
男性は王都の役人が身につける旅装束を着用していた。金城の使者だ。手に携えた竹簡には、皇帝の印である龍が蝋で封印されている。
「私が結蘭です。何か御用ですか?」
公主自ら玄関に赴き名乗りを上げたので、使者は眉をひそめたが、厳かに礼をして竹簡を広げた。
「皇帝陛下よりの勅命であります。結蘭公主におかれましては、直ちに王都へお越し下さいますよう。虫と話せるという特殊な力を生かし、悩み多き弟を助けてほしいとの、陛下のお言葉でございます」
「ええ~⁉」
驚きが一巡すると、黒狼は感心したように呟いた。
「虫だけでなく、ついに皇帝からも悩み相談を持ちかけられたか」
結蘭の父である皇帝は数年前に亡くなり、正妃の長子が新しい皇帝として即位した。結蘭とは母の違う弟ということになる。幼い頃に赤子をあやした記憶があるが、結蘭が十六歳になったように彼も十三歳と立派になっているだろう。
ただ年若い皇帝が国を収めるのは並大抵の気苦労ではないと察せられる。
それにしても蟲公主と呼ばれる結蘭の力を借りなくても良さそうなものだ。
「私は虫と話すのは大好きなんだけど、天子さまのお悩みはちょっと……」
気後れしてやんわりと断ると、役人は平伏して地面に額を擦りつけた。
「なにとぞ。姉君でなければ解決できない問題であると、陛下は仰せです。お話を聞くだけでも結構でございます。どうか、お力をお貸し下さい」
「頭を上げて下さい、蟻が痛いって叫んでます‼」
「なにとぞ! 結蘭公主」
「わかりました、行きます。行けばいいんでしょ、頭を上げて~」
額で押し潰されそうになっていた蟻をどうにか救出した結蘭は、こうして王都へと旅立つことになった。
王都へ向かう日、屋敷の門前には数名の役人と馬車が遣わされた。結蘭が王都へ返り咲くという噂は瞬く間に村中を巡り、集まった村人から盛大な声援が送られる。
「良かったな、蟲公主さま。後宮で出世しろよ」
甲虫と蝉を肩に止まらせた皓が手を振って見送っている。
馬車に乗り込んだ結蘭は御簾を開けて、皆に手を振り返した。
「ありがとう、みんな~。って、戻ってくるんだからね! ちょっと遊びにいくだけだからね⁉」
祝うように白鷺の群れが川縁から飛び立ち、悠々と空の彼方へ飛翔していく。
黒狼は馬の手綱を取りながら溜息を零した。
「妃嬪じゃあるまいし、公主が後宮で出世できないだろ」
結蘭に付き従うのは黒狼と、可愛がっている白馬の子翼だ。動物とは話せないが、子翼は聡明なので人の心の機微を理解している。主を慕う余り、結蘭以外の人を背中に乗せたがらず、別の馬に跨がる黒狼の隣で揚々と尻尾を振っていた。
屋敷の前で心配そうに見送る欣恵の姿が次第に遠ざかる。
留守を頼んだ欣恵は黒狼の同行を止めたが、結蘭をひとりでは行かせられないと説得されて承知した。
もう子どもじゃないから平気なのに。黒狼もきっと、王都を見たいのね。
王都にはどんな虫たちがいるのだろう。もしかしたら、伝説の金色蝶に出会えるかもしれない。
結蘭は胸を弾ませて、これから出会うであろう虫たちに思いを馳せた。
0
お気に入りに追加
92
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
王子殿下の慕う人
夕香里
恋愛
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。
しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──?
「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」
好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。
※小説家になろうでも投稿してます
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる