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第二章 エウクラトア聖王国
13話 エウクラトア聖王国について①
しおりを挟むまず、そもそもこのエウクラトア聖王国の歴史について。
このエウクラトア聖王国はウーラノスを信仰する信徒の数人から建国された国。建国当時、この中央大陸では干ばつが起こり食べるものが無くなり大変な危機に迫られた。干ばつが起きても深淵の森は枯れることなく緑豊かだった為に人々は食べ物を求めて深淵の森に入った。
だけど、深淵の森に入ったところで帰って来たものは数える程度。その内食べ物巡ってこの中央大陸で争いが起こるほどになってしまった。
その時にウーラノス様を信教するウーラ教の信徒数人は恵みの雨、そして食べる物を与えて下さいと命懸けで三日三晩飲まず食べずでウーラノスに祈った。
すると三日後、天から光が降り注ぎ数人の大精霊が現れた。大精霊はウーラノス様から貴方達を助けるようにと言われこの中央大陸に来たのだと言った。
それから、大精霊達は雨を降らし光を注ぎ、大地を豊かにし、あっという間に食べる物を実らせた。
それは人々が争わなくても十分にお腹いっぱい食べれるくらいに食べる物に困らなくなった。人々はそれを奇跡と呼び、ウーラノス様、大精霊達、そして奇跡を命懸けで起こしてくれた信徒達に大変感謝した。
英雄になった数人の信徒はこの奇跡を後世忘れないように、ウーラノス様、大精霊達への感謝を込めてこのエウクラトア聖王国を建国し、国民はウーラノス様への信仰が厚い国になっていった……。
これが本当の建国された歴史。
「本当はウーラノス様や、助けてくれた大精霊達への感謝を込めて作った国なのね?」
「そうなのです。 それがいつの間にか自分達はウーラノス様から選ばれた国、それからあろうことが数代前の教皇は自分達は神の血を引く神の子孫だなどと言う始末……」
「うわー……」
「ふん! 傲慢にも程があるわよ」
イーセスが忌々しそうに言う。対して、ギエルは楽しそうに言う。
「その当時、助けた大精霊が今でもこの国にいるのにねっ!」
「えっ! この中の誰かがその当時助けた大精霊?」
私がそう問いかけると、みんなの視線はある精霊の所に集まる。
「なぁに? みんなでわたくしを見て」
うふふっとナレスは朗らかに笑った。
「ナレスがその当時、この国というか中央大陸を助けた大精霊なの!?」
「ええ、そうですわ。 ただし、自分から助けたというよりはアリーシア様を通してウーラノス様から助けてやって欲しいとお願いされたからですわ」
「へぇ~、そうなんだ」
「それから、アリーシア様からしばらくの間この国を監視していてくれないかと言われましたので、人間に紛れ込んでこの国の上層部に入り込んだのですわ!」
簡単にナレスは言っているけど、いくら建国当時だとしても国の上層部に入り込めるなんて凄すぎ……。
「まあ、最初に紛れ込んだのは旦那様ですけどね」
ナレスはマーエルに微笑む。マーエルも愛おしそうにナレスを見ている。
……あれ?これは本物夫婦か?
私は甘い雰囲気を出しているナレスとマーエルを見ていた。すると、イーセスが補足してくれた。
「アマネ様、あの2人はこの国でも夫婦ですが、本来の精霊でも番でありますわ」
「なるほど……。 つまり、ラブラブカップルね!」
はい、ごちそうさま~。
「アマネ様ったら! もう恥ずかしいですわ!」
ナレスが照れているけど顔はゆるゆる。
マーエルは照れているのを誤魔化すようにわざとらしく咳をし、話を元へと戻す。
「ゴホンッ! えーと、それで私が人間に変身し、大精霊であるナレスと恋に落ち、結ばれ、大精霊との間に子が生まれた。 それがこのリュミエール公爵家の成り立ちです」
「だからか! さっきイーセスが言っていた人の世には精霊の血を引く一族だと認識されているってそういうことね!」
やっと納得!リュミエール公爵家初代が大精霊と結ばれたストーリーなら今も精霊の血が流れているから精霊に変身できることが不自然じゃなく、説明できるからね!
てか、先を見てのこの潜入方法すごっ!誰が考えたのかな……?やっぱりアリーシア?
「この潜入方法考えたのは誰?」
一応聞いておこ!
「アリーシア様でございます」
やっぱり!!アリーシアって影で暗躍するタイプでもあるのね!
「それから、我々は姿形を変えてずっとこの国を監視しています」
ずっと建国時から見てきたならそれこそ何百年だろう……。その間この国に縛られているって事なんだからきっと大変だったに違いない……。
「ずっと大きな仕事をしていてくれてありがとう。 マーエル達がいたから、これから私がするお仕事も安心してできるよ」
私の言葉にリュミエール公爵家の大精霊達は嬉しそうに笑った。
「アマネ様からのその御言葉がとても嬉しいです……! これからもこの国を見守り、時には監視することを続けられそうです。 ただ、今はこのエウクラトア聖王国にとって審判の時のようですがね……」
そう、この国がどうなるかは彼方がどんな行動を取るかによって決まってくるところがあるだろうと思う。
これ以上、愚かなことはせずにちゃんと反省するか、しないかによって私はそれ相応の罰を決める。
その罰が国がなくならないことを祈るばかりだ……。
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