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第二章 エウクラトア聖王国

12話 瞳の色について

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「さて、そろそろ本題に入ろうか……」

 自己紹介も大体終わったと思うし、そろそろ本題に入ろうと思う。

 私はそう言ってマーエルを見た。マーエルがこの大精霊一家のリーダーだと思うんだよね。

「そうですね。 ですが、その前に……。 アマネ様、お手数をおかけしますが変身魔法をお願いいたします」

「? 分かったわ」

 ちょっと疑問に思ったけど変身魔法を使って人間の姿になる。

 私が変身魔法を使い人間になったことを確認すると、パチンと再び指を鳴らしたマーエル。すると扉をノックする音が聞こえた。

「入れ……」

「失礼いたします……」

 入ってきたのはどことなくナディアに似てる女性。私はきっとこの女性がウォリー達の母、ロリーナだと推測する。

「遅れてしまい申し訳ありません……」

 そう言いながらティーセットを持って来た。キッチンワゴン?の様なものに載せている。

 ロリーナらしき女性がちゃんと部屋の中へと入るとマーエルは再びパチンと指を鳴らし、結界を張り直した。

「お手数をおかけしまして申し訳ございません。 旦那様」

「いや、いい。 何かあったのだろう?」

「ええ、ご報告したいことが……」

「分かった。 これから話す事に関連していることか?」

 マーエルの言ったことに無言で肯定したロリーナらしき女性。

「なら、アマネ様に説明した後にその報告を聞こうとしよう。 それで大丈夫か?」

「ええ、大丈夫でございます」

 そしてロリーナらしき女性は私に向き直り、跪いた。

 また、結界を張り直したから私は本来の姿に戻る。

 そして、最初にマーエルが私に紹介する。

「アマネ様、先程紹介しましたセスクの妻でウォリー達の母、そしてこの屋敷の侍女長であるロリーナ・レイリスです」

 ロリーナはそのまま跪き、頭を下げたまま。

「ロリーナ、頭を上げて?」

「はい、ありがとうございます」

 そう言ってロリーナは頭を上げた。そして、そのまま私に挨拶をしてくれた。

「お初にお目にかかります、使徒様。 天上人であらせられる使徒様に出会えましたこと、奇跡のようでございます。 わたくしはロリーナ・レイリスと申します。 何かご用意際はどうぞお声がけください」

 ロリーナはそう言ってニッコリと笑って言った。

 ロリーナのその笑みは母親を感じさせる笑みでほっこりする。

「ロリーナこれからよろしくね! 私ことはアマネって呼んで!」

「アマネ様でございますね。 こちらこそどうぞよろしくお願いいたします」

 改めてセスク達を見ると血の繋がりを感じる。家族だから当たり前だけど。

 セスクはグレーの髪色に青い瞳をしている。ちょび髭がとても似合うおじ様だ。

 ロリーナは茶髪にオレンジの瞳をしている。ややぽっちゃり気味の体型で、やはり母親の雰囲気を醸し出している。

 ウォリーは茶髪に青い瞳をしている。真面目そうに眼鏡をしているのが特徴。

 エセルは赤茶の髪色に赤い瞳をしている。こちらは鋭い目が特徴的。

 ハインは茶髪にオレンジの瞳をしている。母親であるロリーナさんに似ていて優しい雰囲気をしている。

 ナディアは明るい茶髪にピンク色の瞳をしている。可愛いらしい顔立ちをしている。

 皆顔立ちは家族の繋がりを感じるけど、瞳の色だけバラバラだ。

 これはアリーシアから学んだことだけど、この世界の人達は瞳の色が属性によって影響するらしい。

 例えば火属性だと赤色、水属性だと水色や青色などなど……。

 そして、魔力が強かったり多かったりすると髪色までに影響する時もある。

 セスク達家族に言わせるとエセルとナディアが魔力が強いみたい。きっとエセルは火属性の魔力が強いのだろうし、ナディアはピンクの瞳だから光属性が強いのだろう。

 ロリーナとハインはオレンジの瞳だから火属性と土属性の二つ持ちかな?

 人は精霊と違って属性を複数持てることができる。だから、それぞれの属性がどちらも同じくらいの強さなら瞳の色が混ざった色になる場合があるともアリーシアから聞いたことがある。

 結構レイリス一族は優秀な一族ではなのでは?と私は思った。まあ、大精霊に仕えているだけあって優秀な一族じゃないと務まらないか!

 ふむふむと1人で納得しているとマーエルが言う。

「アマネ様、そろそろ本題へと参りましょうか」

「そうだね、まずこの国の現状を聞いてもいいかな?」

「はい。 まず、つい数日前に神の使徒様がこのエウクラトア聖王国に来たと通知が教皇からきました」

 マーエルは憤りを見せながら言う。マーエル以外の大精霊達も怒りを隠していない。ルフスやリド、マリンも……。シストだけは相変わらず私の膝の上でリラックス。

「そして、神の使徒様を歓迎するパーティーを開くとも書いてありました。 そのパーティーこそが偽者使徒のお披露目パーティーといったところでしょうか……」

「本当最近の教皇達は愚かだと思っていましたが、ここまで愚かな者は最早救いようがありませんわ」

 神の使徒を偽るなんて……嘆かわしいと言うようにナレスは言った。

「まあ、私がこの世界に来たことが信じられないんだろうね」

 私は苦笑い気味に言った。

 まあ、普通に考えて現実味がないよね。神の使徒って……。

 目の前で降臨(笑)した場面を目撃したら別だけどさ。人間、遠い存在や目に見えない存在、未知の存在には信じない人も一定数いる訳で……。

 教皇は信じないといけないと思うけどね……。

 まあ、私の場合はここに存在しているし、私のふりをして好き勝手されるのも嫌だからそれなりに対処するけどね!


 


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 いつも読んでいただきありがとうございます!! そしてエールをしてくれた皆様ありがとうございます!

 これからもどうぞよろしくお願いします!




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