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第一章 はじまり

22話 名付け完了

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 ルフスの光が徐々に落ち着いていく。光が落ち着いた後、ルフスはさらに凛々しく私に誓った。

「アマネ様、名を与えて下さりありがとうございます……! この名にかけてあなた様に一生の忠誠を!!」

 そう言ってルフスは頭を下げた。

 少し重く堅い感じがするが、忠誠を誓ってくれるなんて嬉しい気もする……。

「ありがとう、ルフス。 これからよろしくね」

「はい! アマネ様!」

 ルフスは嬉しそうにしゆっくりと尻尾をゆらゆら揺らしていた。

 カッコかわいいとはこのことではないだろうか?と私は思った。

 さてさてお次はと……。

「次はあなたね!」

 私はそう言ってずっと私の膝の上にいたトラの赤ちゃんを見た。

 トラの赤ちゃんは上目遣いで私を見ていて、その瞳はワクワクしていた。

「やったぁ! ぼく、たのしみ♪」

 そう言ってトラの赤ちゃんは私の手に頭を擦り付ける。その行動に私は心を打たれた。

 うん、無邪気で大変可愛らしい……!

 私はメロメロな心を押さえつけ、名前を考える。

 この子の特徴はオッドアイの目よね……。片方が琥珀色、もう片方が黒紫色……。そのまんまコハク? うーん……。私的には黒紫色方が目につくけど、それならアメジスト? ジスト? うーん……。

 ……アメジストって確かアメシストって言うのが本当なんだったけ? なら……。

「決めた、あなたの名前はこれからシストよ!」

「ぼくのなまえは、シスト!!」

 先程の二人の精霊同様、光り輝き出したトラの赤ちゃん。私の膝の上にいるだけあってかなり眩しい……。ここはサングラスが欲しいところ……。

 まあ、そんなものは無いから光が落ち着くまで目を閉じることにする。

 こんなに光輝いているけどしっかり膝の上にはトラの赤ちゃんがいることがわかる。けど、名付けをする前に一度私の膝の上から下ろせばよかったとちょっと思った。

 そんなことを思っていると次第に光が落ち着いていくのが分かり、静かに目を開けた。

 目の前にはキラキラの目で私を見るトラの赤ちゃん。そして言った。

「アマネさま、ありがとう!! ぼくのなまえはシスト! シストだよ!!」

 尻尾をピーンと立てながら私に嬉しさを爆発させている。それに滑舌が良くなったね。

「そんなに喜んでもらえて私も嬉しいよ!」

 私も喜んでもらえて安心した。そしてシストの頭を撫でた。

 シストは嬉しそうに目を細め、私の膝の上にまた居座る。

 とりあえずシストが落ち着いたところで次だ。

「さて、最後は……あなたね! 待たせてしまってごめんなさいね……」

 私は狼さんを見ながら言った。

「いえ! わたくしが最後に来たので当然でございます」

 だけど、やっと名付けだということが楽しみなようで尻尾は正直に動いている。

 可愛いと思いつつ名前を考える。

 えっと……狼さんは緑色の瞳。だけどエメラルドはエメの名前の由来だからな~。同じにする訳にもいかないし……。

 うーん、よく見ると狼さんの方がエメの瞳より薄い緑色かな?緑の宝石で他に何があったかな……?

 そうだ!ペリドットがあった!!ただ……ペリ?ドット?なんかなぁ……。それなら……。

「よし! 決めた! あなた名前はリドよ!」

 狼さんは嬉しそうにするとみんなと同じように光り輝き出した。

 みんなの名前を決めたことにちょっとホッとした。

 そして光が落ち着き狼さんは私に頭を下げた。

「アマネ様、ありがとうございますわ! この名はわたくしの宝物です……。 この恩返しができるよう精一杯あなた様に仕えさせていただきますわ……!」

「良かった、気に入ってもらえて! これからよろしくね!」

「こちらこそどうぞよろしくお願いしますわ」

 ふーう、無事名付け完了!!名前を考えるのは簡単じゃないね……。

 一気に力が抜けた感じになった。そんな私にアリーシアが労う。

「アマネ様、お疲れ様でした」

 そして、今度は精霊王達が私にお礼を言ってくる。

「アマネ様、水の精霊王として水の精霊に名を与えて下さりありがとうございます。 マリンも嬉しそうです」
 ネレウスはそう言って軽く頭を下げた。

「アマネ様! 俺からも礼を言う。 こいつに名前をくれてありがとな!! ルフス、いい名だせ!」

 プロメテウスはニカッと笑いながら言った。

「アマネ様、この子に名前をつけてくれてありがとうございますわ! シストも嬉しすぎてアマネ様から離れませんわ」

 イナンナはふふっと微笑みながら言った。

「アマネ様~、ありがとう♪ リド良かったね~! これからは名前で呼んであげられるよー!」

 シルフィーネも嬉しそうに言った。

「みんな喜んでくれて良かったよ!」

 本当、みんな喜んでくれて良かったとすっごく安心した……。

 だってこんな名前嫌だとか言われたらどうしようかと思っていたもん!

 だけど無事に終わって良かった!!これからこの子達と一緒に行動するんだよね……。

 ――そしてふと思った。

 人の世に行くにあたってこの子達の姿はこのままで大丈夫?と……。精霊使いみたいな人いたりする?

 私の様子に気づいたのはやっぱりアリーシア。

「アマネ様、どうしました?」

「アリーシア、ひとつ聞きたいんだけど……」

「はい、なんでしょうか?」

 アリーシアもどうしたのだろうか?と言うような表情。

「この子達をお供にっていうことだけど、人の世って精霊は身近な存在なの?」

「いいえ、精霊はそんな身近な存在ではありませんね」

「なら、この子達はどう説明したらいいの?」

「ああ、それはですね……」

 アリーシアはそういうとルフスとリドを見た。ルフスとリドは心得たと言わんばかりに頷いた。

 私はどうしてルフスとリドの方を見たのかなと思っていた。

 だけどその私の思いはすぐに解消された。

 だってルフスとリドは光に包まれたと思ったら次の瞬間には人になっていた。私はその状況に目をぱちくりさせた。

「アマネ様、この通り大精霊であるものは人化できますゆえに大丈夫でございます。 ただ、マリンとシストについてはまだ人化できませんので成長するまでの間、当分はアマネ様の従魔ということにしましょう」

「ああ、そっか。 分かった……」

 うん、理解はした。ただ今は驚きが勝っているだけで……。

 ひとつだけ言いたいこと、人化したルフスとリドは大変イケメンで美人だったと言っておこう……。


 
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