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第一章 はじまり
15話 そろそろ出番のようです
しおりを挟む「さて、アマネ様。 近々ウーラノス様からお仕事の依頼がある様ですよ」
「!!」
私はアリーシアの言葉に自然に背筋が伸びる感じがした。ついにこの聖域以外の場所を見れるのかというワクワク感と、どんなお仕事なのか上手くできるのであろうかなどの不安もある……。
そんな私の思いが伝わってしまったのだろうか、アリーシアはクスリと笑って私に言った。
「アマネ様、そんなに不安に思わなくても大丈夫ですよ。 色々サポートできる様その為に精霊王達に集まってもらったのですから」
そうか、私の為に精霊王達を呼んでくれたのね。なのにさっき説教してしまったけど……。まあ、それはそれ、これはこれ。だよね……?
思わず苦笑いしてしまった私だが話を進めることにする。
「そっか! それでみんなのこと呼んだのね!」
「そうです。 まあ、表立って精霊王達が関与する訳ではございませんが助っ人となるべく者を紹介して欲しくて呼んだのです」
ああ、そっか。確かに精霊王達に協力してもらったら別に私じゃなくてもいいわけだしね。それにアリーシアが言いたいのは精霊王達はこの世界じゃ有名だもん。そりゃあ精霊王達がいるだけで目立つ存在になってしまうわな!
と一人で私は納得していた。私が理解したことをアリーシアも分かったようで笑みを見せてくれる。
「さすがアマネ様です」
お褒めの言葉いただきました。
私が褒め言葉をアリーシアからもらっていると不満に思った二人の精霊王達が文句を言った。
「なんで俺たちじゃダメなんだよー!!」
「そうだ! そうだ! 私はアマネ様とずっと一緒にいたいぞー!」
「「……」」
不満をあげたのはプロメテウスとシルフィーネ。ネレウスとイナンナは黙っていた。
アリーシアはそんな二人にはぁ……とため息をついていた。
ため息を頻繁にしているの私だけじゃなかったかも……。
そんなアリーシアの代わりにネレウスが説明する。
「二人ともよく考えてください。 私達精霊王がアマネ様の近くにいたらそれだけで大事になってしまうではありませんか。 私もアマネ様と一緒に居たいのは山々ですがここは我慢して裏方に回ることにします」
最後の方本音みたいなのが漏れていたけどアリーシアの言っていることをちゃんと理解している。
「そうよ~。わたくしだってアマネ様の力になりたいけどわたくし達って結構有名だしね~。 ここはわたくしが選んだ者に託すわ~」
イナンナも続いて言った。
「ネレウスとイナンナが言う通り、君たち精霊王はお伽話に登場するくらい有名でしょ? それにある国では教会に石像だってあるじゃないか。ああ、今は人の世とは関わりが少ないにしろその存在は知らぬ者はいない。いずれ必然的にアマネ様も有名になると思うけどそれは今ではないということ。 今回は使徒様がどんな人物なのか不明ということが何かと都合が良くなるんだ。 勘がいい人達は君たち精霊王が守っている人物が使徒様だと気付いてしまうかも知れないしね。 要するに用心しておくに越したことは無いからね」
アリーシアは二人に言い聞かせるように話した。
二人は一応納得はしたようだった。だけど悔しそうだ。
「俺たちがアマネ様の近くで守れないことは分かった……。 だけど、悔しいじゃないか!! せっかく初仕事をするアマネ様の役にたてると思ったのに!!」
プロメテウスは悔しそうに拳を作る。
プロメテウス、その気持ちだけでありがたいよ。
「あーあー、アマネ様と楽しく遊びたかったのになー。 残念……」
シルフィーネはプーと頬を若干膨らませ拗ねている。
シルフィーネ、お仕事だよ。遊びじゃないんだよ……。
「シルフィーネ、お遊びではありませんよ」
ネレウスがシルフィーネを軽く注意した。
「ええ? だってアマネ様と一緒にいる=遊びでしょ! だから仕事もお遊びよ!!」
「「「「「??」」」」」
シルフィーネの言い分にシルフィーネ以外の人の頭にはてなマークが上がった気がした。
要するにシルフィーネにとっては私と一緒にいるだけで楽しい気分になるようで、一緒にいる=楽しい=遊び。楽しい気分になるのは遊ぶ時。だから、お仕事=一緒にいる=楽しい=遊び。という感じで一緒にいればなんでも楽しいからお仕事も遊びになるということ。
まあ、子供っぽいシルフィーネだからこその思考回路。けど、そんなに一緒にいて楽しい気分になってくれるなら私としては嬉しい。
シルフィーネが言っていることを理解したところで本題に戻すアリーシア。
「話は元へ戻しますが、君たち精霊王にはアマネ様のお供を選んで紹介して欲しいのです。 それぞれの属性の精霊達ならアマネ様のサポートも出来ますし、何よりアマネ様の安全が第一ですから全属性の精霊達をお供にした方が安心です」
アリーシアも過保護だよね……。まあ、一人よりは誰かいた方が寂しくはないけどさ。
「それなら俺の次に強い奴がいいよな!」
「知識も必要ですよ。なら私は賢いあの子がいいでしょうか……」
「やっぱり明るくて頼もしい感じがいいよね~」
「あら、可愛い子で癒しも必要よ~」
精霊王達はそれぞれ思いの馳せる子がいるらしい。アリーシアもニコニコしている。
だけど、なんかみんな変に気合い入ってない?変な方向へいかないといいんだけど……。
私は期待半分、不安半分な気持ちになった。
「さて、それぞれ思う子がいるみたいなので明日またその子達を連れて来てもらえますか?」
アリーシアは精霊王四人に問いかけた。
「分かった!」
「承知致しました」
「おっけー!!」
「分かりましたわ」
それぞれが答え、一度精霊王四人で目を合わせた。その時にバチバチッと音が聞こえたのは私だけだろうか……?
すると精霊王達は競うように自分の住処へと帰って行った。
「どんな子を連れてくるのでしょうね」
「明日が楽しみですね、アマネ様!」
楽しみそうにしているアリーシアとエメ。
やっぱり四人が競っているように見えたのは私だけだった……?
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