最強九尾は異世界を満喫する。

ラキレスト

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第一章 はじまり

14話 仲良くです

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「そんなん言われてもアマネ様の隣は譲らないよ!」

 こっちはこっちでシルフィーネもピリついた雰囲気になった。

 何であんたが怒ってんのよ……と私はシルフィーネに言いたくなったけどグッと我慢した。

 精霊王四人でピリつくのはやめて欲しい。しかも毎回同じくだりとかもう飽きたから……。それに精霊王四人でマジ喧嘩したらガチで世界がヤバいから!ホントやめて欲しい!

 そんな思いを込めて私は盛大にため息をついた。

「はあぁぁぁ……」

「「「「!!」」」」

 私の盛大なため息に精霊王四人が面白いくらいにビクッとする。四人の雰囲気は先程のピリついた空気ではなく、ヤバいやってしまった!とバツの悪い雰囲気になった。シルフィーネも私に抱きついていたけど私の雰囲気にヤバいと思ったのか大人しくイナンナの横へ並んだ。

 そして四人の視線が恐る恐る私に向かってきた。そんな視線を受け止めつつ私は目を細めて少し呆れたような怒っているような雰囲気で言う。

「毎回その争いはやらないと気が済まないの? いい加減私は飽きたけど? それに来て早々喧嘩を始めるとか私に会いに来ない方がいいんじゃないの? アリーシアに言って聖域に来れないようにしてもらおうか??」

 私の言葉を聞き分かりやすく顔を青褪める精霊王四人。

「す、すまん!! アマネ様の近くにいるシルフィーネが羨ましくて……」

「申し訳ございません、アマネ様。 以後気をつけますので何卒、何卒許して下さい」

「アマネ様ごめんなさいですわ……」

「アマネ様ごめん……。 許して……」

 あからさまにシュンっとする四人の精霊王。

 私はしばし沈黙してから言った。

「反省したならいいけどね、毎回私の側に座るのが誰かとかで争わないでね? ルーティンにするって前に決めたじゃん。 それにね、ここが聖域だから精霊王の力が世界に影響していないだけでここ以外の場所でそんな争いをちょっとでもしてみ? ウーラノス様に迷惑をかけるのは間違いないから……」

 これはたまたま前の争いに出くわしたアリーシアから聞いこと。ていうかその時にアリーシアにこっ酷く怒られてなかったっけ?この四人……。アリーシアが怒っている姿をその時にはじめて見たよ……。怒られてない私も怖ったくらいにすごく怖った。

 アリーシアの怒り方はニッコリ笑いながらずっと淡々と話していくタイプだった。目が笑っていない笑顔ね……。ホント怖い……。

 聖域以外で精霊王が争った後に世界に出る影響をこんこんと四人に聞かせていた。精霊王に正座をさせて……。

 その時私はアリーシアを怒らせないようにしようと心に決めた。

 そんなことを思い出していると四人もアリーシアに言われたことがフラッシュバックしたのだろう。とても顔色が悪い。

 精霊王達はホントに反省したようで改めて大きな声で謝って来た。

「「「「本当にすみませんでした!!」」」」

「反省したらいいよ。 今度こそは仲良くして現れてね!!」

「「「「はい!」」」」

 いやー、やっとこのくだりが終わったわ……。まさか私が異世界に来てまで精霊王達に説教じみたことするとは思わなかったよ……。

 またまた、ため息が出そうになるのを我慢する。

 喧嘩が一応落ち着いて精霊王達はそれぞれソファに座った。私の目の前のソファにはプロメテウスとネレウスが座り右側のソファにはシルフィーネとイナンナが座った。

 するといつの間にか戻ってきていたエメがシルフィーネ以外の精霊王達にもお茶を出した。

「精霊王様方、お茶をどうぞ」

 ……。

 いつの間に戻って来たの、エメ? さっきヤバめの時、しれっといなくなっていたよね? それが精霊王達の喧嘩が終わったタイミングで戻るとか……。

 私は思わずエメをジト目で見てしまった。

 すると私の視線に気づいたエメだったが、さほど気にせずニッコリ笑ってきたよ。

 確信犯だな!エメ!!

 意外とちゃっかりしているエメにもため息をつきたい所だかまた我慢。ため息我慢ばかりしてない? 私……。

 いつまでも引きずっていても仕方がないからそろそろ切り替えることにする。

「で、 四大元素の精霊王勢揃いでどうしたの?」

 シルフィーネは何の用事もないと言っていたけどネレウスが来たあたり何もないことは無いだろうと思う。

「アリーシア様からアマネ様のところへ集合がかかったんだ」

「私も同じくです」

「わたくしも」

「そういえばそうだった!」

 シルフィーネだけ忘れていた様だが気まぐれに来たのは正解だったみたいだね……。

 しかし、何故アリーシアは精霊王達を呼んだのか謎だ。

「アリーシアが呼んだの? 何だろう……?」

 私がそう呟いた瞬間に噂の人物が来た。トントントンと私の部屋をノックする音が聞こえ声がする。

「アマネ様、アリーシアでございます」

「入っていいよー!」

「失礼致します……」

 そういうとアリーシアは私の部屋に入り、私の側へ近づいてくる。

 アリーシアは精霊王達と違い突然目の前に現れたりはしない。ちゃんと律儀に部屋の外から私にお伺いしてくれるのだ。

 まあ、緊急の時は突然現れるかもしれないと言われたけど今のところ緊急に要することはないから突然現れたことは無い。

 精霊王達はアリーシアのことを見習って欲しいとつくづく思う。まあ言ってもきっと直らないでしょうけどね……!

 アリーシアは私の左側のソファへと座った。

 そして、今日みんなことを集めた理由について早速話し始めた……。


 
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