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10話
しおりを挟む皆が驚きを隠せない中、クスッと笑ったグリンデルバルト帝国の宰相様である、セルジオ様が言った。
「カレブ皇太子殿下の発言は我がグリンデルバルト帝国の言葉ととっていただいて構いません」
「そ、そうか!」
明らかに動揺している国王陛下が答えた。
「さて、ここでひとつショータイムをしましょう!」
突然言い出すセルジオ宰相様。
「ああ、そうだな」
楽しそうなカレブ様。その様子に戸惑いを隠せない。周囲も置いておきぼりだ……。
「皆も知っていると思うが我が国の後継者になる者には力が宿った瞳を持って生まれる。私の瞳には真実を見れる力が宿っている。だから、私にはどんな嘘をついていようが、容姿を偽っていようが見分けることが出来る」
「それが、一体……」
「不思議なことでね、アーリアは私にはとびきり美しく見えるからさ」
「!!」
わたくしが美しく見える?そんなことって……。
「嘘じゃないよ。アーリア」
「ですが、わたくしは……」
鏡で見たけど自分ことを美しいと思ったことは一度も無い……。見たこともない。
「アーリア、私は真実の瞳を持っているんだよ? 僕には美しく見えるんだ」
真剣に見つめられてドキッとする。それと、もう一つ。カレブ様だけはわたくしが美しく見える、真実の瞳を持っている……。カレブ様はどんなに偽っていようが見抜く瞳を持っている。
それじゃあ、わたくしは……。
「嘘よ! そんなことないわ!」
突然大きなヒステリックな声を出して騒ぎ始めたのはカリスタ第二夫人。
「突然どうした?」
デラクール公爵もそう声をかける。
「カリスタ夫人、何故そんなに声を荒立てる? まるで、アーリアが本来美しいのがバレるのを恐る様だ」
ニヤリと笑うカレブ様。
カリスタ第二夫人はその顔を歪めた。
「その子が醜いのは産まれた時からよ! 美しいなんて嘘よ!」
「さて、それはどうかな?」
クスリと笑い、カレブ様はセルジオ宰相様についてきた魔導士らしき人に話し掛ける。
「アーク」
「はい殿下」
アークと呼ばれた魔導士は呪文のような言葉をボソボソと唱えた。
するとわたくしの足元に魔法陣の様な模様が浮かび始めた。
「きゃー! 辞めさせて! あなた! あんなこと辞めさせてよ!」
カリスタ第二夫人が狂った様に叫び出した。
しかし、旦那であるデラクール公爵は唖然とこちらを見ているばかり。
「ちょっと! あなた! 聞いているの!?」
さらにカリスタ第二夫人はギャーギャーと騒いでいるが皆の関心はわたくしへ向いている。
すると、カリスタ第二夫人とは違う声が聞こえ始めた。
「きゃっ! 何よこれ!」
言葉を発したのはカミーラ。カミーラの方へ視線を向けると、わたくしと同じように足元に魔法陣の様な模様が浮かんでいる。
「さて、ショータイムだよ……」
カレブ様は不敵に笑った……。
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