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プライベートアイズ
しおりを挟む凛は密かにRyoの身辺を探り始めた
彼女が居ると聞いても諦め切れなかったからだ
MADAM
午後7時
「おやおや、最近宅急便さん来ませんねー」
店主が奥からおちょくる様に笑いながら言った
「暫くお休み貰えませんか?」
凛は店主にそう言うと店を出た
山梨県
山中湖村
「ととのうスパ」看板
露天サウナから最高のロケーションで富士山を眺める事が出来る混浴スパ
水着を着たRyoとHITOMI(18歳)が露天サウナを楽しんでいる
「Ryo君、SPAってなんの略?」
HITOMIがRyoにすり寄って甘ったるい声で聞く
「ラテン語の Salute Per Acqua。水の力で治療するって意味なんだ。その頭文字をとってSPA。でも語源になったのは、昔から温泉地とリゾート地で知られているベルギーのリエージュ州にある『スパ』って言う都市の名前なんだ」
「へぇー、流石Ryo君、詳しいね」
「当たり前」
RyoはHITOMIの頭をポンポンと叩きながら誇らしげに言う
そこへ、スイムスーツを着た女が現れた
「凛ちゃん?!」
驚くRyo
「だぁーれ?このオバサーン」
HITOMIがかったるそうな声で言う
「凛ちゃん何でここに!
HITOMI、ちょっと待ってて」
Ryoは凛の腕を掴みサウナ室から外に出る
「来ちゃった」
凛がペロッと舌を出して言う
「来ちゃったって。何でここが分かったの?」
「Ryo君のお気に入りのスパだってインスタで見たから」
「オーマイガッ」
Ryoが天を仰ぐ
「困るんだよ。分からない?」
「だってRyo君、冷たいんだもん」
凛がむくれて言う
「冷たいって、ボク達付き合ってる訳でもないし、それに2回しか会ってないでしょ?」
「......」
うつ向いて泣き出す凛
「とにかく今日は帰って」
「うん......分かった」
凛はすごすごとスパを後にした
都心
地下3階地上28階建てのタワーマンション
Ryoの新居だ
マンション入口
オートロックを開けて中に入って来るRyo
ポストの中を見る
宛名のない封筒
「何だこれ?」
封筒を開ける
中からRyoと凛が山中湖のスパで話している写真
「うわー、何だこれ!」
Ryoはその場で写真を投げ捨てる
「一体誰が......」
数日後
Amico
大雅と七海がカウンター席に座って居る
真司が二人にビールを持って来る
「カンパーイ」
二人は言ってビールを飲む
そこへ凛が入って来て七海の隣に座る
「あら?どういう事?」
「俺ら付き合う事になった」
大雅が大威張りで言う
「マジッ?」
七海を見る凛
「今まで嫌なヤツだと思ってたんだけど、こないだの屋形で見直しちゃって......」
七海が照れ臭そうに言う
「って事だ。自見(じげん)君、今までご苦労さん」
「おめでとう!!」
凛は心から喜んだ
「所で、お前山中湖まで行ったんだってな」
「バレてた?」
「当たり前だろ。お前もストーカー気質だったとはな」
「止めてよー、そんなんじゃないってば」
「自覚症状無しか。最悪だな」
「ほっといてよ」
Ryoのマンション
地下駐車場に凛の姿
高級外車が近付いてきて止まる
助手席のドアが開きHITOMIが降りて来る
その後にRyo
凛を見つける
「何やってんの!」
「待ってた」
「何で知ってるの!」
「山中湖の帰りにつけて来た」
あっけらかんと凛が言う
「オーマイガッ」
「それより、Ryo君何で連絡くれないの?」
凛が追い討ちをかける
Ryoが思い余って
「しつこいんだよ!それにこの前、ポストにこれ入れたでしょ!」
と怒鳴ってバックから写真を取り出し凛に見せる
「何これ?ウチとRyo君じゃん!ウチ知らないよ」
「マジかよ!じゃあ誰が撮ってボクん家のポストに入れたわけ?」
「どーでもいいけど、ウザ過ぎこのオバサン」
HITOMIが言った
凛はまたもやすごすごとその場を後にした
思い当たるのはアイツしかいない
家に着き部屋に入るなり電話する
「凛ちゃん?久しぶり、元気だった?」
「何よ!わざとらしい!」
凛は完全に怒っていた
「あんた山中湖まで来たでしょ!」
自分の事は棚に上げて龍一を責める凛
「山中湖?知らないよー」
龍一が半べそをかきながら言う
「このウソつきストーカーヤロー!」
またもや罵声を浴びせて電話を切った
Amico
凛と大雅がカウンター席に座って居る
真司がビールとアイスコーヒーを持って来る
「いい加減、諦めろってRyoの事」
「だよね......」
「あれに落ち着いた方が良いぜ」
窓の外に目をやる大雅
「ウチにはやっぱ、龍一がお似合いって事か。良い夢見させてもらったわ」
「そうそう。それが一番」
大雅が凛の肩を叩きながら言う
「何よ、自分は上手く行ったからって」
呟く様に言う凛
「大雅、ありがとう。先帰るわ」
肩を落として大雅を残したまま真司に手を振って店を出ていく凛
シルバーのBMWに乗り込む
「凛ちゃん、戻って来てくれたんだね」
満面の笑みで言う龍一
「ハー、何だかんだ言って、あんたが一番落ち着くわ。写真の事も許して上げるよ」
「写真て何?」
龍一があたふたしていると、凛が龍一の顔をクイッとこっちに向けてKissをする
ハグする二人
全く持って自分勝手な女である
すると、BMWの影に黒ずくめの男の姿
凛と龍一がKissをしている姿を一眼レフで撮るとサッと消えた
Amico
取り残されていた大雅が帰ろうとして席を立つ
レジにいくが真司がいない
「あれ?真司は?」
店内をキョロキョロと見回す大雅
「ワリーワリー」
と言いながら出入口から真司が入ってきた
手には一眼レフ
「何そのカメラ?」
大雅が言うと
「プライベートアイズさ
凛ちゃんは永遠に僕の物さ」
真司がほくそ笑みながら言った
完
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