ヘビース「ト」ーカー

Yachiyo

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ハプニング

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いつもの日常が過ぎていた

そんなある日七海から凛に電話が来る

「凛?今度のバレンタインデーに船出せるよ。ドラマの撮影があるんだって。だから終わった後乗せて上げるってパピーが言ってる」

「マジ!大雅に言っとく。ありがとー!」


バレンタインデー

屋形船 早川丸

某TV局のドラマの撮影が終わるのを船着き場で待っている、凛と大雅とRyo。

「やっぱり本物の女優さんは綺麗だね」

撮影現場を目の当たりにして凛が感心する

「七海の方が綺麗だぜ。うわー、寒っ。早く撮影おわんねーかな」

大雅がコートのポッケに手を突っ込みながら足踏みして言う


撮影が終わり船が船着き場に着く。スタッフの一人がRyoに気付く

「キミ、YouTyuberのRyo君じゃない?」

「そうですけど」

Ryoが面倒臭そうに言う

「今度、うちの局でサウナ特集やるから連絡先教えてくれない?」

Ryoは一度は断ったもののスタッフの熱意に負けて連絡先を伝える

隣で耳をそばだてている凛

ロケ班は大型のロケバスに機材を積み込み帰って行った


早川丸 中

七海が船の上で揚げる天ぷら、活きの良い刺身に舌鼓を打ちながらカラオケで盛り上がる面々

大雅はまるで七海の彼氏にでもなったかの様に甲斐甲斐しく料理を運んだり洗い物をしていた

「楽しいね」

Ryoが言う

「う、うん」

実は凛は船酔いを起こしていた

酒にも弱いが船にも弱い

「どうしたの?凛?」

異変に気付いた七海が言う

「ちょっと気持ち悪い......」

「相変わらず弱いよね。外出て風に当たって来なよ。屋上あがれるし」

「そうする」

凛が立ち上がろうとすると

「屋形に屋上が有るの?」

Ryoが興味深げに聞いて来た

「うん。花火大会の時は良く見えるよ」

七海がRyoに言う

「ボクも屋上行きたい」

凛は耐え切れずに口元を押さえながら船の外に出る

Ryoもその後に続く

一人ずつはしごで屋上に上がる

夜風が気持ち良い

「大丈夫?凛ちゃん」

Ryoが気遣ってくれる

「うん......何とか......」

二人で屋上に膝を抱えて座り込む

すると、ガタンと船が大きく揺れた

凛はよろけてRyoの胸になだれ込んでしまった

その拍子に二人の唇が重なった

(エッ?ど、どうしよう)

慌てる凛

するとRyoが力強く凛を抱きしめて来たので凛も思わず抱きしめた

「Ryo君、ウチ、Ryo君の事......」

凛が言いかけるとRyoは黙ったまま凛の目を見て微笑んだ


「凛、大丈夫かな?」

七海が下で心配していた

「大丈夫だよ。ほっとけよ」

大雅が言う

「それより、七海、オレと付き合ってくれないか。中学の時からずーっと好きなんだ」

突然の告白

「あっ、うん......考えとく......」

何となく気まずい雰囲気になった、大雅と七海

そこへ、凛とRyoが戻ってきた

「大丈夫?凛」

七海が聞く

「風に当たったら良くなった」

さっき起きた出来事を隠すかの様に凛は答えていた

凛は夢心地だった

Ryoへの思いが強まる

船が船着き場に近づき屋形船の宴会の終了間近だった

船着き場に着き船から降りる4人

「今日は本当に有り難うございました」

七海のお父様に挨拶すると

「おぅっ!」

と右手を上げて答えてくれた

凛はさっきの余韻が覚めない

Ryoと連絡先を交換しようかどうしようかモジモジしていると

「凛っ、来てるよ!」

七海が船着き場の反対側を見て叫ぶ

シルバーのBMW

「龍一っ!何で!」











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