BlueRose

雨衣

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彩乃side 2

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「まだ来ていないようですね?そろそろ提示していた時間なのですが…?」

それから10分、20分…なかなか来ませんね?
もしかしてすれ違いました?そんなことありますかね…?

「でっけー門だな!
この学園は全部でっかいんだな!!」

何やら声が聞こえてきました。

はっきりと、ええ、はっきりと!

どれだけ声張り上げてるのですか??

転校生が来たようですね。
随分遅れてきたようですが…
まあ、入れ違いでなくて良かったです。

「ん?開かないな?」

そう言って門を無理やりこじ開けようとしているではありませんか!!
鍵が壊れてしまいます。

「す、すいません!今開けますので、手を離してください!」

「あ!迎えに来てくれた奴か?!
早く開けてくれ!!」

転校生はそう言って門をドンドンと叩く。
ギシギシと悲鳴を上げている門を開け、転校生を招き入れる。
破損していないといいのですが…

「ありがとうな!!俺は櫻谷  珠樹って言うんだ!!お前の名前はなんて言うんだ?!」

鼓膜が破れるのでは無いかという音量で話す転校生。

普通、初対面の人にこのような態度で話しますかね…?
私、この方とは一生気が合わない気がします。

「え、ええ。私の名前は伊集院 彩乃と申します。この学園では生徒会の副会長をやっています。」

「彩乃だな!副会長なんてすげーな!
もう、俺たちは友達だよな!これからよろしくな!!」

友達認定されました。
まだ、出会って5分も経っていませんけど…?

「よろしくお願い致します。
では、櫻谷さん職員室まで案内しますので着いてきてください。」

「彩乃!俺たちもう友達なんだから珠樹って呼べよ!!
それに、お前無理に笑わなくていいんだぞ!ずっとそんな笑顔でいたら疲れるだろ?!」

私の作り笑顔に気づくとは、気に入りました。とでも言えばいいのですか??

正直、初対面でこのような態度を取られたら苦笑いにでもなりますよ?
貴方の相手をする事の方が余程疲れます。

「そうですか…不快な思いをさせてしまった様ですね、すいませんでした。
さあ、先生を待たせているので早く行きましょう。」

「これから気をつけろよ!俺は優しいから許してやるぞ!!
って!置いていくなよ!!」

話すと疲れるのでさっさと職員室へと押し付けて生徒会室へ帰りましょう。

転校生とはもう、関わりたくもないです。

それに…、

「完全にアンチ王道ですね……。」

と、転校生には聞こえない声で呟いたのだった。


それから何度か話しかけてきたが曖昧な返事だけして、転校生をなんとか職員室へと引き渡し、生徒会室へと戻ってきた。

「随分と遅かったな?」

純也が書類を眺めていた目線を此方へ向けた。

「ええ、すいません。
転校生が随分と遅れて来たので遅くなりました。」

「そりゃあ災難だったな…」

「出来れば二度と会いたくないです。」

「へー!彩乃がそんなに言うなんて珍しいー!」

「へー!彩乃がそんなに言うなんて気になるー!」

「「ねえねえ!皆で見に行こうよ!!」」

この双子は…
会いたくないと言ったばかりなのに…

「そうだな…?
彩乃がそこまで言うなんて気になるな、昼にでも生徒会メンバーで行くか。強制な。」

おい、バ会長。
後で、大量の書類を押し付けてやりましょう。拒否権なんて与えません。

「そういえば光希さんは居ないのですか?」

「ふうき…い…の…とこ。」

「ああ、さっきの書類を押し付けてやった。そろそろ帰ってくるだろ。」

「やっぱり自分で行かなかったのですか。」

風紀委員とは気が会わないようで会う度に睨み合ってますよね。
そんなことだから生徒達に犬猿の仲なんて言われるんですよ。

ガチャと、扉の開く音がした。
光希さんが帰ってきた様です。

「ただいま戻りました~!
あ、副会長さんお疲れ様です~」

「すいません、光希さん。書類ありがとうございました。」

「いえいえ~
おやすい御用ですよ~?」

「光希ちゃん!お昼食堂行くよ!!」

「光希ちゃん!転校生を見に行くよ!!」

「「皆で!!」」

「そうなんですか~?
じゃあお昼に生徒会室行きますね~!」

はあ、やはり行くのですね…。
憂鬱です。
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