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11.スイート・キング5
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パズルが完成した。
「できた?」
「うん」
「じゃあ、いいかな」
なにが?と思ってる間に、礼慈さんが立って、わたしのところに来た。
わたしの横に座って、手をのばしてくる。
「なあ、に」
「キスしたい。いい?」
「はい……」
長いキスをした。息が苦しくなった。
深呼吸をした。はあ、と息をついた。
胸に、大きな手がふれてくる。びくっとしてしまった。
「ん、……ここじゃ、だめ」
「寝室だったら、いい?」
「いい、けど。先に、トイレとか……」
「ごめん。行ってきて」
「はあい」
抱かれてしまった。
べつに、いやじゃなかったけど。急に、そういうことになって、それでも、すごく感じて、気持ちよくなってしまった。
礼慈さんは、いとおしそうな目で、わたしを見ていた。うれしかった。
少しだけ、頭がぼうっとしていた。
「大丈夫?」
「うん。だいじょうぶ」
「よかった」
「れいじさんの、はつこいは?」
「俺のは、いいよ」
「ずるい。ずるーい……」
ぺちっと、裸の胸を叩いた。わりといい音がした。
「ごめんね。いたかった?」
「ぜんぜん」
「誰ですか?」
「あきらめてないんだな。
小学校の、音楽の先生」
「……わ、わあ。ませてますね」
「だから、言いたくなかった」
はずかしそうだった。
二人で、お風呂に入った。
おそろいの、薄手のルームウェアを着て、リビングに行った。
ルイボスティーをコップに入れた。二人分。
ラグマットに座って、一緒に飲むことになった。
「紘一と歌穂さんの話、してもいい?」
「いいですけど……。わたしが、聞いてもいいことなら」
「うん。大丈夫だと思う。
紘一が弱ってる。歌穂さんがかわいくって、気が狂いそうなんだって」
「……それは、いいことですね」
「どうかな。あの、つまり……セックスしたいけど、大事にもしたいんだって。
だから、デートが苦行な時があるって」
「えぇー?」
「『えぇー?』だよな。俺は、紘一の気持ちも、分かるんだけど」
「わかるんですかっ?」
「分かるよ。かわいいと思ってる女の子と、何もせずに密室にいるとか。修行みたいだなと思う」
「そう……?」
少し考えてみた。歌穂は、バージンだから、うまくできるかなって、セックスのことを心配していた。
つまり、沢野さんとすることを考えてたってこと、だよね。
「歌穂は、いやがってないと思いますよ。たぶん……」
「うん。知ってる」
「なんで? なんで、知ってるの?」
「一月末に、紘一の部屋に二人で泊まっただろ。
祐奈が寝てる時に、歌穂さんと話してたんだよ」
「えー? ずるい……。
やきもち、やいちゃいます」
「それは、どっちに対して?」
「わかんない。両方、かも」
「歌穂さんにだけ妬くんじゃなくて、俺に対しても妬くの? 歌穂さんのことで?」
「だって。歌穂のことを一番よく知ってるのは、わたしです。……そう、思ってたんですけど。
きっと、もう、ちがいますよね。礼慈さんや沢野さんの方が、わたしよりも、歌穂のことを知ってるみたい」
「そんなことは、ないと思うけど」
「あっ、でも……。わたしは、歌穂の裸を見たことあるけど。沢野さんは、まだですよね」
「うん。そうだろうけど。普通は、女性同士でも、裸は見ないはずなんだけどな」
「ですかね……。わたしから、誘ってばっかりじゃないです。歌穂から、一緒に入ろうって、言ってくる時だって、あります」
「あの時は、どっちから言ったの?」
「わたしです」
「……そう」
「え、なんで、そんな感じなんですか。だめでした?」
「いや、だめとか……。すごいな、と思って」
「知らないお風呂に、ひとりで入るのが、こわくて……。ちょっと、わらいすぎですよっ」
「ごめん。小学生みたいだなって」
「ひっ、ひどい……」
「俺と紘一は、その話を聞いてから、無駄にどきどきしてた」
「えっ。ほんと?」
「本当だよ」
「えー……。そう言われると、はずかしいですね。もう、一緒には、入らないようにします……」
「待って。それは、俺が歌穂さんに恨まれる可能性があるから。君が勝手に決めるのは、やめてほしい」
「そう?」
「そうだよ」
「ふうん……? じゃあ、歌穂に、今度会った時に聞いてみます」
「いいよ。聞かなくて」
空になったコップを、礼慈さんが流しに持っていってくれた。
水の音が聞こえて、洗われちゃったなと思った。
「どうして、すぐに洗っちゃうの?」
「いけなかった?」
「わたし、役に立ってますか?」
「立ってるよ。俺のこれは、ひとり暮らしが長かったせいだと思う」
わたしを見て、ほほえんでいる。かっこよかった。
どこからどう見ても、イケメンだった。
今でも、もてるんだろうなと思った。
でも、他の人たちは知らない……はず。
恐竜でタワーを作って、子供みたいに笑う礼慈さんのことは。
「あのタワーは、あのまま?」
「そうだな。しばらく放っておこうと思う。
朝になったら、何体か、位置が変わってるかもしれないし」
「……えっ」
「冗談だよ」
「こわいです……」
「できた?」
「うん」
「じゃあ、いいかな」
なにが?と思ってる間に、礼慈さんが立って、わたしのところに来た。
わたしの横に座って、手をのばしてくる。
「なあ、に」
「キスしたい。いい?」
「はい……」
長いキスをした。息が苦しくなった。
深呼吸をした。はあ、と息をついた。
胸に、大きな手がふれてくる。びくっとしてしまった。
「ん、……ここじゃ、だめ」
「寝室だったら、いい?」
「いい、けど。先に、トイレとか……」
「ごめん。行ってきて」
「はあい」
抱かれてしまった。
べつに、いやじゃなかったけど。急に、そういうことになって、それでも、すごく感じて、気持ちよくなってしまった。
礼慈さんは、いとおしそうな目で、わたしを見ていた。うれしかった。
少しだけ、頭がぼうっとしていた。
「大丈夫?」
「うん。だいじょうぶ」
「よかった」
「れいじさんの、はつこいは?」
「俺のは、いいよ」
「ずるい。ずるーい……」
ぺちっと、裸の胸を叩いた。わりといい音がした。
「ごめんね。いたかった?」
「ぜんぜん」
「誰ですか?」
「あきらめてないんだな。
小学校の、音楽の先生」
「……わ、わあ。ませてますね」
「だから、言いたくなかった」
はずかしそうだった。
二人で、お風呂に入った。
おそろいの、薄手のルームウェアを着て、リビングに行った。
ルイボスティーをコップに入れた。二人分。
ラグマットに座って、一緒に飲むことになった。
「紘一と歌穂さんの話、してもいい?」
「いいですけど……。わたしが、聞いてもいいことなら」
「うん。大丈夫だと思う。
紘一が弱ってる。歌穂さんがかわいくって、気が狂いそうなんだって」
「……それは、いいことですね」
「どうかな。あの、つまり……セックスしたいけど、大事にもしたいんだって。
だから、デートが苦行な時があるって」
「えぇー?」
「『えぇー?』だよな。俺は、紘一の気持ちも、分かるんだけど」
「わかるんですかっ?」
「分かるよ。かわいいと思ってる女の子と、何もせずに密室にいるとか。修行みたいだなと思う」
「そう……?」
少し考えてみた。歌穂は、バージンだから、うまくできるかなって、セックスのことを心配していた。
つまり、沢野さんとすることを考えてたってこと、だよね。
「歌穂は、いやがってないと思いますよ。たぶん……」
「うん。知ってる」
「なんで? なんで、知ってるの?」
「一月末に、紘一の部屋に二人で泊まっただろ。
祐奈が寝てる時に、歌穂さんと話してたんだよ」
「えー? ずるい……。
やきもち、やいちゃいます」
「それは、どっちに対して?」
「わかんない。両方、かも」
「歌穂さんにだけ妬くんじゃなくて、俺に対しても妬くの? 歌穂さんのことで?」
「だって。歌穂のことを一番よく知ってるのは、わたしです。……そう、思ってたんですけど。
きっと、もう、ちがいますよね。礼慈さんや沢野さんの方が、わたしよりも、歌穂のことを知ってるみたい」
「そんなことは、ないと思うけど」
「あっ、でも……。わたしは、歌穂の裸を見たことあるけど。沢野さんは、まだですよね」
「うん。そうだろうけど。普通は、女性同士でも、裸は見ないはずなんだけどな」
「ですかね……。わたしから、誘ってばっかりじゃないです。歌穂から、一緒に入ろうって、言ってくる時だって、あります」
「あの時は、どっちから言ったの?」
「わたしです」
「……そう」
「え、なんで、そんな感じなんですか。だめでした?」
「いや、だめとか……。すごいな、と思って」
「知らないお風呂に、ひとりで入るのが、こわくて……。ちょっと、わらいすぎですよっ」
「ごめん。小学生みたいだなって」
「ひっ、ひどい……」
「俺と紘一は、その話を聞いてから、無駄にどきどきしてた」
「えっ。ほんと?」
「本当だよ」
「えー……。そう言われると、はずかしいですね。もう、一緒には、入らないようにします……」
「待って。それは、俺が歌穂さんに恨まれる可能性があるから。君が勝手に決めるのは、やめてほしい」
「そう?」
「そうだよ」
「ふうん……? じゃあ、歌穂に、今度会った時に聞いてみます」
「いいよ。聞かなくて」
空になったコップを、礼慈さんが流しに持っていってくれた。
水の音が聞こえて、洗われちゃったなと思った。
「どうして、すぐに洗っちゃうの?」
「いけなかった?」
「わたし、役に立ってますか?」
「立ってるよ。俺のこれは、ひとり暮らしが長かったせいだと思う」
わたしを見て、ほほえんでいる。かっこよかった。
どこからどう見ても、イケメンだった。
今でも、もてるんだろうなと思った。
でも、他の人たちは知らない……はず。
恐竜でタワーを作って、子供みたいに笑う礼慈さんのことは。
「あのタワーは、あのまま?」
「そうだな。しばらく放っておこうと思う。
朝になったら、何体か、位置が変わってるかもしれないし」
「……えっ」
「冗談だよ」
「こわいです……」
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