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1.バージン・クイーン1
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次の日は、朝からセックスがしたいと思っていた。
我ながらどうかと思ったが、一応、だめもとで誘ってみようと決めた。
朝食は俺が作った。
寝室に見にいくと、祐奈はまだ寝ていた。珍しいなと思った。
昨日の夜、俺が遅く帰ってきた後で、セックスをしたせいかもしれない。
趣味の部屋で、大阪で買った雑誌を読んでいると、ねぼけたような顔の祐奈が、ふらっと現れた。
「おはよう」
「おはよう……」
「朝ごはん、食べた?」
「いただきました。おいしかったです。スクランブルエッグ……」
「よかった」
「少し、ここにいてもいいですか」
「うん」
まだ、ぼうっとしている様子だった。ふらつきながら、俺のすぐ横に腰を下ろした。
「昨日の、しんどかった?」
「ううん……。ちがうの。
たぶん、あの……」
「うん?」
「もうすぐ、生理になるだけです。明日か、明後日くらいに」
「分かるの?」
「なんとなくですけど。数日前から、ぼうっとしはじめるから。
生理中は、だるいんです。なんにもしたくなくて、家事を放棄したりします」
「それが、祐奈が言ってた『ずぼら』の正体か」
「……うん。そうです」
「分かった。全然違う話をしていい?」
「いいですよ。いま、ものすごく、はずかしいから。話題を変えてください」
「このパジャマ、すごくかわいいな。もともと、持ってたの?」
「ううん……。買ったの。
礼慈さん、好きでしょ。こういうの……」
「分かってたのか」
「わかりますよ。ひらひらっとしたの、好きですよね」
「まあ、うん。俺は着られないから」
「着たいんですかっ?」
「そこに食いつかれても。……なんだろうな。俺の好みは別にしても、こういうのを着てる祐奈は、すごくかわいいと思う」
「好きです。好きだったの。でも……」
「着るのがこわくなった?」
「ううん。わからない……。仕事の時は、ちゃんとした格好をしてました。
会社の人たちと行ったパーティーの時に、あの……礼慈さんと、海に行った時の服を着たの。その時から、です。社長が、おかしくなってしまったのは」
「なるほど」
「何度も、捨てようと思った。でも、できなかった。
まるで、わたし自身を捨てるような気がして……。くやしかった」
「捨てなくてよかった。あれは、本当によく似合ってたよ」
「……うん。また、着ます。きっと」
「嬉しい」
「わたしも、うれしいです」
「いい話の後で、がっかりさせるようで、悪いんだけど」
「いいですよ。言ってください。あと、それほどいい話じゃなかったと思います」
「そうかな。
寝室に行きたい。いい?」
「……えっ」
「いい?」
「いい、ですけど」
顔が赤くなっている。察してくれてはいるらしかった。
ベッドの上に、二人で寝そべっている。
もう何度もキスをした。だっこもした。
祐奈の目が、とろんと蕩けているのが見えた。
「するの……?」
「いや?」
「ううん。し、したい」
「どもってる」
「そういうのは、言っちゃ、だめなの」
「ごめんなさい」
「ふふっ」
祐奈の上に覆いかぶさった。
パジャマに手をかけると、恥ずかしそうに顔を背けた。
「脱がしていい?」
「あのね、あの……」
「気分が変わった?」
「ううん。……あたってる。あなたの、が」
「分かってる。当ててる」
「えぇ……」
真っ赤な顔をしていた。
初めて俺の前に現れた時は、バージンだった。
セックスを経験した今でも、あの頃の純真さは、少しも損なわれてはいない。
「……すりへったりするものじゃ、ないんだろうな」
「なあ、に……?」
「何でもない」
「すき。れいじさん……」
「うん。俺も好きだよ」
「うれしい」
「ごめん。間違えた」
「……えっ?」
「愛してるよ」
不安げに揺れていた目が、笑みの形を作る。美しいなと思った。
祐奈は、まるで女王のように、俺の心に君臨している。
今後も、その座から下りることはないだろう。
我ながらどうかと思ったが、一応、だめもとで誘ってみようと決めた。
朝食は俺が作った。
寝室に見にいくと、祐奈はまだ寝ていた。珍しいなと思った。
昨日の夜、俺が遅く帰ってきた後で、セックスをしたせいかもしれない。
趣味の部屋で、大阪で買った雑誌を読んでいると、ねぼけたような顔の祐奈が、ふらっと現れた。
「おはよう」
「おはよう……」
「朝ごはん、食べた?」
「いただきました。おいしかったです。スクランブルエッグ……」
「よかった」
「少し、ここにいてもいいですか」
「うん」
まだ、ぼうっとしている様子だった。ふらつきながら、俺のすぐ横に腰を下ろした。
「昨日の、しんどかった?」
「ううん……。ちがうの。
たぶん、あの……」
「うん?」
「もうすぐ、生理になるだけです。明日か、明後日くらいに」
「分かるの?」
「なんとなくですけど。数日前から、ぼうっとしはじめるから。
生理中は、だるいんです。なんにもしたくなくて、家事を放棄したりします」
「それが、祐奈が言ってた『ずぼら』の正体か」
「……うん。そうです」
「分かった。全然違う話をしていい?」
「いいですよ。いま、ものすごく、はずかしいから。話題を変えてください」
「このパジャマ、すごくかわいいな。もともと、持ってたの?」
「ううん……。買ったの。
礼慈さん、好きでしょ。こういうの……」
「分かってたのか」
「わかりますよ。ひらひらっとしたの、好きですよね」
「まあ、うん。俺は着られないから」
「着たいんですかっ?」
「そこに食いつかれても。……なんだろうな。俺の好みは別にしても、こういうのを着てる祐奈は、すごくかわいいと思う」
「好きです。好きだったの。でも……」
「着るのがこわくなった?」
「ううん。わからない……。仕事の時は、ちゃんとした格好をしてました。
会社の人たちと行ったパーティーの時に、あの……礼慈さんと、海に行った時の服を着たの。その時から、です。社長が、おかしくなってしまったのは」
「なるほど」
「何度も、捨てようと思った。でも、できなかった。
まるで、わたし自身を捨てるような気がして……。くやしかった」
「捨てなくてよかった。あれは、本当によく似合ってたよ」
「……うん。また、着ます。きっと」
「嬉しい」
「わたしも、うれしいです」
「いい話の後で、がっかりさせるようで、悪いんだけど」
「いいですよ。言ってください。あと、それほどいい話じゃなかったと思います」
「そうかな。
寝室に行きたい。いい?」
「……えっ」
「いい?」
「いい、ですけど」
顔が赤くなっている。察してくれてはいるらしかった。
ベッドの上に、二人で寝そべっている。
もう何度もキスをした。だっこもした。
祐奈の目が、とろんと蕩けているのが見えた。
「するの……?」
「いや?」
「ううん。し、したい」
「どもってる」
「そういうのは、言っちゃ、だめなの」
「ごめんなさい」
「ふふっ」
祐奈の上に覆いかぶさった。
パジャマに手をかけると、恥ずかしそうに顔を背けた。
「脱がしていい?」
「あのね、あの……」
「気分が変わった?」
「ううん。……あたってる。あなたの、が」
「分かってる。当ててる」
「えぇ……」
真っ赤な顔をしていた。
初めて俺の前に現れた時は、バージンだった。
セックスを経験した今でも、あの頃の純真さは、少しも損なわれてはいない。
「……すりへったりするものじゃ、ないんだろうな」
「なあ、に……?」
「何でもない」
「すき。れいじさん……」
「うん。俺も好きだよ」
「うれしい」
「ごめん。間違えた」
「……えっ?」
「愛してるよ」
不安げに揺れていた目が、笑みの形を作る。美しいなと思った。
祐奈は、まるで女王のように、俺の心に君臨している。
今後も、その座から下りることはないだろう。
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