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自転車とメイド
しおりを挟むそれからいろいろあったものの、ロイドの手を借り、俺とペンシルはベルファがいる異世界へいくことが出来ることを可能にした。純白の真っ白な空と草原。平野上等といわんばかりの何もない平野。凹凸のような凸凹など何一つありはしなかった。眼前に埋もれている地平線。いかにも人工的に作られたかのような何にも特徴がない平野だ。
「ご主人様、君が悪いですね。まるで出来損ないの安い3Dゲームの世界観みたいです。いや、どんなゲームでも真っ白な空に何もない平原っていうのは見たこともないですよ」
ペンシルは、この平原の様子を的を射ており確かに表現した。異世界に3Dゲームがあることに驚いたかもしれない。しかし、俺がミツマタで以前の世界に存在したすべての家庭用ゲーム機とゲームソフトを作ったので、ペンシルはゲーム事情をよく知っているのだ。
「ベルファを絶望の断崖絶壁に陥れようとしたからね。このような何にもなく不気味さだけが広がる世界にしたんだよ」
「さすがはご主人様です」
ペンシルは、俺の腕にペンシルの腕を絡ませ縛る。あと、メイド服で露わになった横胸を押し付ける。普段の屋敷ではペンシルはおとなしいので、このようなことはしなかったので、どうして急にやってきたのかわからないので、不思議に感じた。まあこれは何というかちょっと感銘を受けさせられるのだが。
このように何もない平原からベルファを探すなんてことは、雪山の中に隠した塩バニラアイスを探すような難易度で、千里眼なんぞ持たない俺やベルファにとって、それは修行でしかなく、どうしようもならないため、俺はミツマタで、ベルファを探すための道具を作ろうと頭の中で考え始め、それを実行しようと考慮している。
「ペンシル、ベルファを探すための道具をミツマタでつくろうと思うんだけど何かいいアイデアはないかな」
するとペンシルは息がかかるほどに近く顔を近づけて、
「そうですねぇ……、ご主人様が作ってくださったゲームのモンスターを狩るゲームでは地図に敵があるかわかるようなものが表示されて便利なんですけど」
相手の位置を地図上に示すことができることができればそれはそれはとても便利だ……そうだ!ベルファを探すことに特化したレーダーをつくれば!
おれは上着の上半身の胸ポケットの財布の入った袋から財布取り出しそこから1万円札を取りだし、
「ベルファを探すためのレーダー!」
そう叫ぶと、1万円札から白い眩い光がはなたれ、白夜のような光り輝く白い光に包まれ、白い光が草舟を探すためのレーダーに変化した。
パラボラアンテナのようなものと、ブラウン管テレビのようなモニター。スイッチを入れると2時の方向にベルファがいることが示された。
「おっ、見えたぞペンシル!」
「さすがはご主人様です!」
「いや、今回のはペンシルのおかげだよ」
するとペンシルは顔を赤くし、
「私の……おかげ……」
「そう、ペンシルのおかげ」
「ごっ、ご主人様ぁ……」
するとペンシルは、俺が抱き寄せられた。
ペンシルは非常に華奢であり、時たま小学生と間違えられるほどだ。抱いていてそのことがよくわかった。しかし、華奢でいるのにもかかわらず、柔らかく暖かい。
屋敷では寄りかかったりはするのだが、さすがに抱くのは初めてであった。
「そういえば、ペンシル。屋敷ではあまりこのようなことはしないね」
「あ、ごめんなさい。嫌でしたか?」
ペンシルは不安げそうな目でこちらの目を見る。
「いや、まったくそんなことはないんだけど」
ペンシルは両肩と背中をなで下ろし、
「その……屋敷の中だとみんなの目がありますからなかなかこのようなことはできなくて」
今まで気づかなかったが、三人のことをあまり満足感を満たされていなかったようだ。三人いることから均等的に扱わなければいけないことから、俺は特に何もしてこなかったのだが、このようにペンシルに切ない思いをさせていたのだ。
「ごめんね、切ない思いをさせてしまって。そういえば、ペンシルはこっちの世界にきて初めて出会った人だったんだよね。メイドになったのも君が原初。現在までペンシルと話せなかった分、今この世界で話して、もっと仲は良く深めようね」
「ありがとうございます」
ペンシルは今回は初回だが、一番の微笑を見せてくれた。とてもかわいい。
「さて、ベルファがいる方向が分かったことだしとっとと向かってみよう。徒歩で行くのもちょっとめんどくさいから、自転車で行くか」
「自転車?」
一万円札を自転車に変化を促しさせた。
「ご主人様、これはどうやって使用するんですか?」
「そうだね、僕が操作して動かさせるからペンシルはその後部座席に座ってちょうだい。」
「こうですか」
ペンシルは後ろの荷台にまたがる。
「そうそう!あっ、このままじゃ座り心地が良くないね。『座布団!』これを後部座席の下に敷くといいよ」
自転車をこぎ始めると、ペンシルは俺にギュッとしがみつくのであった。
「自転車に乗るのは初めてなんだよね。はじめは怖いかもしれないけど風が体をなでおろすのは気持ちいい感じだと思うぞ」
しかし、ペンシルにとって自転車が怖かったのか、ひょっとして違うかもしれないが、応えることはなく、強く俺にしがみついているのであった。
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