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ルワーネ王国:フラマルテにて
闘いの行方(2)
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ロイスがル―べを斬りつけた後、二人とも地面に倒れこんだ。
「ロイス!!」
王子が駆け寄ってロイスの身体を支え呼び掛けるが、ロイスは倒れたまま動こうとしない。残りの3人は呆然とその様子を眺めていた。
目を開けると、そこには自分を支えながら名前を呼ぶ王子の姿が見えた。
「王子、俺はここにいますよ?」
そう言うが、王子には俺の声は聞こえないらしくこちらを振り向きもしなかった。
「おい、小僧」
振り向くとそこには依然として女神に取りつかれたままのル―べの姿があった。
「お前、もしや創造の神の血族のものか?」
「はい、そうです。ロイスと言います。」
女神は俺の方をまじまじと見て、
「あの方とよく似ておる。」
と呟いた。
「なあ、ロイスよ。なぜあの方は私を選んではくれなかったのか。」
そう問うた目にはうっすらと涙の膜がはっていた。
「私に魅力がなかったのであろうか?」
俺は創造の神ではないのでわからない。その問いに答えることは出来なかった。
「あの方もそうやって黙ったままだった…。本当はわかっていた。私たち三人の女神は醜くかった。一時の嫉妬にかられ、死の神を責め立てた…。その心こそが何よりも醜かった。」
そう言って彼女は深く息をはいた。
「そんな風に思っているんだったら、何で人間に取り憑いて俺たちを襲ったんです?」
率直に疑問だったことをぶつけると、
「なぜ…。わからない。だが、数日前何者かが私の元を訪れてから…何だかそれから調子がおかしくて…」
そう言って悩ましげに彼女は頭をおさえた。そして、思い付いたように、
「誰が訪ねてきたのかは思い出せないが…そなたの剣が祓ってくれたのかもしれないな。」
と微笑んだ。
「あの…?」
「そなたのもつその剣は祓いの剣と言って、邪を帯びるもの全て祓うことの出来る剣だから…。この先、お前は他の女神の元も訪れるつもりか?」
「はい、そうです。」
俺はそう言って女神の目を見た。それを見て女神は満足げに微笑む。すると彼女の姿がキラキラと光を放ちながら霞んできた。
「そろそろ時間のようだ。会えて良かった、ロイス。死の神に悪かったと伝えてくれ。」
彼女はそう言うと光の粒となって空中に消えていった。
「ロイス!!」
王子が駆け寄ってロイスの身体を支え呼び掛けるが、ロイスは倒れたまま動こうとしない。残りの3人は呆然とその様子を眺めていた。
目を開けると、そこには自分を支えながら名前を呼ぶ王子の姿が見えた。
「王子、俺はここにいますよ?」
そう言うが、王子には俺の声は聞こえないらしくこちらを振り向きもしなかった。
「おい、小僧」
振り向くとそこには依然として女神に取りつかれたままのル―べの姿があった。
「お前、もしや創造の神の血族のものか?」
「はい、そうです。ロイスと言います。」
女神は俺の方をまじまじと見て、
「あの方とよく似ておる。」
と呟いた。
「なあ、ロイスよ。なぜあの方は私を選んではくれなかったのか。」
そう問うた目にはうっすらと涙の膜がはっていた。
「私に魅力がなかったのであろうか?」
俺は創造の神ではないのでわからない。その問いに答えることは出来なかった。
「あの方もそうやって黙ったままだった…。本当はわかっていた。私たち三人の女神は醜くかった。一時の嫉妬にかられ、死の神を責め立てた…。その心こそが何よりも醜かった。」
そう言って彼女は深く息をはいた。
「そんな風に思っているんだったら、何で人間に取り憑いて俺たちを襲ったんです?」
率直に疑問だったことをぶつけると、
「なぜ…。わからない。だが、数日前何者かが私の元を訪れてから…何だかそれから調子がおかしくて…」
そう言って悩ましげに彼女は頭をおさえた。そして、思い付いたように、
「誰が訪ねてきたのかは思い出せないが…そなたの剣が祓ってくれたのかもしれないな。」
と微笑んだ。
「あの…?」
「そなたのもつその剣は祓いの剣と言って、邪を帯びるもの全て祓うことの出来る剣だから…。この先、お前は他の女神の元も訪れるつもりか?」
「はい、そうです。」
俺はそう言って女神の目を見た。それを見て女神は満足げに微笑む。すると彼女の姿がキラキラと光を放ちながら霞んできた。
「そろそろ時間のようだ。会えて良かった、ロイス。死の神に悪かったと伝えてくれ。」
彼女はそう言うと光の粒となって空中に消えていった。
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