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ガイル編

6.いよいよ、温泉!

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6.いよいよ、温泉!

一通り食べ物を楽しんだセシルたちは旅館に泊まることにした。いつの間にか消えたジェームズは戻って来ていて近くのそれなりにいい旅館を探してきたからそこで泊まろうと提案してきた。
「温泉!入りたい!」
「旅館に温泉あるから落ち着けって」
「そうなの?」
「セシル、温泉楽しみだね」
「お前自分で体洗えるか?」
ライアンがイタズラっぽくセシルに言う。
「当然だよ!この前やっと自分の髪の毛洗えたんだよ!」
堂々と胸を張りドヤるセシル。
「は?」
その言葉に全員が固まる。
「セシル、それ本当?」
「うん!まだ泡とか洗い流すの苦手だけどいつもアレンと一緒に入って………」
この子は本当に13歳なのか。怪しく思えた。
「ど、どうしよう!リリー!アレンいないから体洗ってくれる人いない!」
「お前、13にもなってなんで自分で体洗えないんだよ!俺はもっと小さい時に自分で体洗えるようになったぞ!」
「えっ、そうなの!?」
「なんで驚いてんだよっっ」
「ありえません、セシル」
「ルーナまでそんなこと言うのぉ?」
泣きそうな声でセシルはリリーを見つめる。その目は助けを求めている目だ。ジェームズは呆れてモノも言えなくなっていた。
「セシル…今日から練習しよう!」
フォローしてくれると思っていたセシルは絶望に打ちのめされていた。
「なんでぇ」

5人は旅館に入りジェームズがチェックインをする。部屋は2つ。
「じゃ、男と女でわかれるぞ」
ジェームズはひとつの鍵をリリーに渡した。
「え…」
セシルは1人は戸惑う。
「セシルは私たちと一緒だよ」
リリーは戸惑うセシルの手をギュッと握る。
「……うん」
部屋に入りセシルたちは感嘆を漏らす。
「すごいね」
「奥に温泉もあります」
「……」
こういう時1番にテンションが上がりそうなセシルは黙っていた。
「どうしたの?温泉だよ?」
「ほんとだ…」
しかし、暗い雰囲気もほんの一瞬。楽しみにしていた温泉が目の前にある。それだけでセシルを元気を取り戻した。
「らしくないですね。いつものあなたなら一目散に温泉に飛び込みそうなものなのに」
クスリと笑いながらセシルをからかうルーナ。
「むっ、僕そんなに馬鹿じゃないもん」
すっかり元気になったセシルは頬を膨らませ文句を言う。
「じゃあ、まず温泉に入ろっか」
「入る入る!」


「おお!広いな」
「すげぇ!」
隣の部屋でもジェームズとライアンも楽しんでいた。
「はぁ~やっと体が洗える。ずっと船旅で大変だったからな」
「お前はずっと酒飲んでただろ」
「年上に向かって『お前は』はないだろ『お前』は。」
「じゃあ、ジェームズさん」
「なんだそれ。気持ち悪い」
「はぁ!?敬意をはらって言ったのに『気持ち悪い』ってなんだよ!お前が言ったんだろ!」
「ああ、さすがに気持ち悪かった。やっぱいつも通りでいいよ」
ヒラヒラと手を振りジェームズは温泉に入る準備をした。
「えっ気持ち悪いの…?」
ライアンはショックを受けながらジェームズに続いて温泉に入る。
「にしてもいい温泉だなぁ、来てよかったぜ」
「まぁ、トラブルもあったけどな」
温泉はにごり湯だった。扉を開けると湯気がたっていて温泉独特の匂いを感じる。
「ひゃっほーい!」
ライアンは素っ裸で温泉に飛び込んだ。初めて見るものなのだから興奮しないわけにはいかない。
「おいおい、セシルと変わんねぇじゃねぇか…俺も飛び込んでやる!」
「えぇっ待って待って俺がいる!」
ライアンの時よりとズボンっと大きな音がしお湯が大量に溢れた。
「くぅ~!コレは気持ちぃー!」
「どっちもセシルじゃねぇかよ!」
そんなことをやりながらライアンとジェームズは大きな声で笑いあった。

「そういえばよ。お前あの二人どう思うよ」
隣の部屋の温泉から聞こえてくるセシルたちの声を聞きながらジェームズはライアンに恋バナをし始めた。
「は?どうって…」
ライアン自信今までそういうことを考えたことはない。実際ルーナとリリーは家が近所で小さい頃はよく遊んでいた。大きくなってからは自分たちの夢に向かっていったから関わりが少なくなったがそれでも2人のことは友達として大事に思っている。セシルはものごころ着いた時にはそばにいたしよく森に行って遊んでいた。最近は俺もずっと家の事で寂しがっていたようだが。
「んじゃ、リリー。リリーはどうだ」
真剣に悩むライアンにジェームズは面白いものを見つけたと言わんばかりに聞く。
「んー、リリーは優しいしおしとやかで可愛いよな。医学とかには詳しいし頼り甲斐がある。でも、そういう風には見れないかな」
ライアンは自分でも恋愛をあまりわかっていなかった。
「ルーナ。どうだ?あいつはお前に気があるようだが」
「えっ、まじで?」
「気づかねぇのかよ。ルーナ可哀想だな」
「それ本気で言ってんのか?」
「見たらわかるってリリーは気づいてるしセシルはなんとなく感じてんじゃねぇの?」
「はぁ!?あいつがそういうことに気づくわけねぇだろ!思考レベルが低いし!」
「まぁまぁ、で、どうなんだ?」
「たくっ、ルーナは料理上手いしいいお嫁さんになるのかなって思ってるよ。でも怒らせると怖そう」
「はっはっはっ、そうかそうか!確かにそうだな!」
「なんだよ!急に大声で笑いやがって!」
「まだまだガキだなぁ」
「うるせぇ!」
ライアンがブツブツと文句を垂れ流すがジェームズは構わずガシガシとライアンの頭を撫でた。ライアンは鬱陶しそうだ。
「そうだなぁ。セシルはどう思う」
「……」
すると、ライアンは黙った。ジェームズは心の中でまさか?と呟く。
「…あいつは、よくわかんねぇよ。どう見ればいいかわかんねぇし……。中性の顔立ちだし」
それを聞いてジェームズも考える。確かにセシルは無性だ。顔は綺麗だし美少年にも美少女にも見える。だが、どちらでもない。いったいあいつの将来はどうなるのか。ジェームズは不安だった。






・人物紹介コーナー

【名前】セシル・シー(Cecil=Sea)
【年齢】13
【性別】無性
【備考】3つの性の中でも数の少ない無性。無性は何かしら能力を持っているがセシルは覚醒してないのでまだ普通の人間である。実際、島の人達に見つけられた時はセシルという名前だけしかわからなかったがセシルは海や山が好きで何より海の向こう側に行きたいという夢があったためばあやにシー(Sea)という名前をつけてもらった。
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