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10話
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精霊士が帰り、後回しにしていた朝食をとった。久々に家で食べたバターの香りが芳ばしいパンも、私好みの甘すぎないイチゴジャムも、何も変わっていないことに安心し、やっと冷静になれた気がする。
役目とか約束とか、そんな身に覚えのないものをいくら考えたって答えなんて出るはずがない。ただ、思い当たることといえばフィリングリス家の天女の話だ。恐らく、それと関係があるのだろう。
「ジエル、この後の予定は?」
「特にございませんが、何かご用事ですか?」
「別宮の図書館に行きたいの。少し調べたいことがあってね。」
「かしこまりました。馬車を用意させておきます。」
「ありがとう。」
もちろんこの本宮にも図書館はあるが、そこには新しいものばかり。以前使われていた別宮の図書館には昔の本や、歴史書や日記などの貴重なものが保管されている。それを見れば何か分かるかもしれない。
スープを流し込み、朝食を終えて自室に戻ろうと扉を開けるとそこにいたのはお母様だった。
「あら、イリシス。精霊士様とのお話は終わっていたの?」
「そうなの。忙しそうだったから少しお話をしたら帰って行ってしまって……。」
「そうなのね。私も久しぶりに顔が見たかったわ。もうしばらく会っていないし。」
「精霊士様と仲がいいの?」
「先代と少し交流があったのよ。今の精霊士様は少しひねくれた性格だけれど、先代は優しく暖かい方だったわ。」
「意外だわ。あ、それより私、今日は図書館に行くから準備をしなくちゃ。」
「なにか気になることでもあるの?」
「うん、少しね。じゃあ、また夕食の時に。」
「いってらっしゃい。」
そのまま少し急ぎ足で自室に向かい支度をし、別宮の図書館に向かった。
「久しぶり、イリシス。」
「叔母様!お久しぶりです。」
「ふふふっ。元気そうでなによりだわ。」
「叔母様こそ。今日はいつにも増して元気そうです。」
「イリシスが来てくれると聞いて嬉しかったからかしらね。」
私を優しく迎えてくれたのは別宮に住み、管理人のような役割をしているジス叔母様だ。幼い時からよく遊んでくれる私の大切な家族の1人。
「今日は図書館に来たのでしょう?掃除はしてあるから調べておいで。」
「ありがとうございます。」
軽く会釈をして、長い廊下を突き進んだ先の大きな扉を開いた。壁のどこを見ても大量の本や資料。久しぶりに見た別遇の図書館はあまりの本の多さについ目眩がしそうな程だ。
「これは、大変そうね……。」
ふう、と一息付き気合を入れて図書館に1歩踏み入れた。そして、本を探して30分程だった頃だろうか。一冊の本が私の目に入った。
「天女記、?」
青を基調とし、金色の装飾がなされたその美しい本は初めて見るはずなのに何故か見た事があるもする。不思議に思いながらその本を開くと、そこには天女の日記が記されていた。
そこには確かに「私は、約束した。あの愛おしい人のもとに戻ることを。それこそが私の役目で生きる意味なのだ。」と書かれている。約束、役目、その言葉が頭の中に駆け巡る。そして、忘れてはいけないと誰かが私に訴えかけてくる。
あなたは、一体誰なの____?
役目とか約束とか、そんな身に覚えのないものをいくら考えたって答えなんて出るはずがない。ただ、思い当たることといえばフィリングリス家の天女の話だ。恐らく、それと関係があるのだろう。
「ジエル、この後の予定は?」
「特にございませんが、何かご用事ですか?」
「別宮の図書館に行きたいの。少し調べたいことがあってね。」
「かしこまりました。馬車を用意させておきます。」
「ありがとう。」
もちろんこの本宮にも図書館はあるが、そこには新しいものばかり。以前使われていた別宮の図書館には昔の本や、歴史書や日記などの貴重なものが保管されている。それを見れば何か分かるかもしれない。
スープを流し込み、朝食を終えて自室に戻ろうと扉を開けるとそこにいたのはお母様だった。
「あら、イリシス。精霊士様とのお話は終わっていたの?」
「そうなの。忙しそうだったから少しお話をしたら帰って行ってしまって……。」
「そうなのね。私も久しぶりに顔が見たかったわ。もうしばらく会っていないし。」
「精霊士様と仲がいいの?」
「先代と少し交流があったのよ。今の精霊士様は少しひねくれた性格だけれど、先代は優しく暖かい方だったわ。」
「意外だわ。あ、それより私、今日は図書館に行くから準備をしなくちゃ。」
「なにか気になることでもあるの?」
「うん、少しね。じゃあ、また夕食の時に。」
「いってらっしゃい。」
そのまま少し急ぎ足で自室に向かい支度をし、別宮の図書館に向かった。
「久しぶり、イリシス。」
「叔母様!お久しぶりです。」
「ふふふっ。元気そうでなによりだわ。」
「叔母様こそ。今日はいつにも増して元気そうです。」
「イリシスが来てくれると聞いて嬉しかったからかしらね。」
私を優しく迎えてくれたのは別宮に住み、管理人のような役割をしているジス叔母様だ。幼い時からよく遊んでくれる私の大切な家族の1人。
「今日は図書館に来たのでしょう?掃除はしてあるから調べておいで。」
「ありがとうございます。」
軽く会釈をして、長い廊下を突き進んだ先の大きな扉を開いた。壁のどこを見ても大量の本や資料。久しぶりに見た別遇の図書館はあまりの本の多さについ目眩がしそうな程だ。
「これは、大変そうね……。」
ふう、と一息付き気合を入れて図書館に1歩踏み入れた。そして、本を探して30分程だった頃だろうか。一冊の本が私の目に入った。
「天女記、?」
青を基調とし、金色の装飾がなされたその美しい本は初めて見るはずなのに何故か見た事があるもする。不思議に思いながらその本を開くと、そこには天女の日記が記されていた。
そこには確かに「私は、約束した。あの愛おしい人のもとに戻ることを。それこそが私の役目で生きる意味なのだ。」と書かれている。約束、役目、その言葉が頭の中に駆け巡る。そして、忘れてはいけないと誰かが私に訴えかけてくる。
あなたは、一体誰なの____?
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