38 / 50
第一期
それぞれの過去と思い 十六話
しおりを挟む
今の時刻は四時。誰も起きていない部屋に、一人ワクワクと気持ちを弾ませている。パーティーは夜なのに朝から支度をしている。しかし、誰も起きていないので暇である。少し気晴らしに旅館の外に出る。いつも賑やかな道もシーンと静まり返っている。所々、ひとが通るくらいだ。
するとどこからともなく美味しそうなパンのにおいがする。この世界に来てから思った。ここの世界のパンはとっても美味しいということに。煙突から黙々とでる煙。そこから漂うパンの匂い。最高すぎる!
匂いに釣られ、一軒のパン屋の前に立つ。まだ開店はしていないようだ。開店の準備をしているのか、窓から覗くと中では男の人と女の人がせっせと働いている。
「美味しそう…」
ルーミがパンに見惚れているとどこからかドサっという音がした。音のする方へ向かうと、路地に男の子が倒れていた。身長はルーミよりあるが、同い年くらいの顔立ちをしている。その子は傷だらけで、右腕はなにかに噛まれた跡があった。おでこに手を当てると熱があった。
「だ、大丈夫ですか?!」
男の子は熱があって息苦しそうにしている。ルーミはすぐにスキルを使って男の子の熱と傷を治した。男の子の顔は少し和らいだ。そして薄く目を開けルーミを見た。
「だ、れ?」
「気がついた?よかった。あなたの傷は完治したからもう大丈夫よ」
「あ、ありがとう」
「いいえ。お役に立ててうれしいです」
「シグレス様!」
ルーミの後ろにいつの間にか一人の男が立っていた。この子のお父さんだろうか。それなら安心だ。
「それではこれで」
ルーミはそそくさと帰った。そろそろライ達が起きる時間だ。早く帰らなきゃ心配してるかもしれない。しかしそんなルーミ心配は水の泡となった。二人ともまだぐっすりと眠っていた。
「なーんだ。まだゆっくりしててよかったじゃん」
呆れて椅子に座る。部屋に戻ってきたところで暇だ。ルーミは二度寝した。
「ルーミ!ルーミったら!」
ライの声が聞こえる。ハッとしベッドから起き上がる。窓の外を見ると夕方になっている。あれからルーミはずっと寝ていた。
「ええ!?そんなに時間経ってたの?!」
「起こそうとしたらイリスが放っておけって言ってて」
「昨日の恨みだな」
イリスはフンッと鼻息を鳴らす。ルーミはピキっときてベッドからたちあがる。
「へぇ、そうですか。じゃあ今度から私も同じようにしてあげるわよ!」
「俺はお前みたいにぐうたらしてないでしっかりと自分で起きれるからむりだな」
「言ったな?じゃあもし寝てても私は起こさないからな」
イリスとルーミは互いにバチバチと敵意をむき出していた。そんな二人を見てライは微笑んでいた。
「仲良しな二人だね」
するとどこからともなく美味しそうなパンのにおいがする。この世界に来てから思った。ここの世界のパンはとっても美味しいということに。煙突から黙々とでる煙。そこから漂うパンの匂い。最高すぎる!
匂いに釣られ、一軒のパン屋の前に立つ。まだ開店はしていないようだ。開店の準備をしているのか、窓から覗くと中では男の人と女の人がせっせと働いている。
「美味しそう…」
ルーミがパンに見惚れているとどこからかドサっという音がした。音のする方へ向かうと、路地に男の子が倒れていた。身長はルーミよりあるが、同い年くらいの顔立ちをしている。その子は傷だらけで、右腕はなにかに噛まれた跡があった。おでこに手を当てると熱があった。
「だ、大丈夫ですか?!」
男の子は熱があって息苦しそうにしている。ルーミはすぐにスキルを使って男の子の熱と傷を治した。男の子の顔は少し和らいだ。そして薄く目を開けルーミを見た。
「だ、れ?」
「気がついた?よかった。あなたの傷は完治したからもう大丈夫よ」
「あ、ありがとう」
「いいえ。お役に立ててうれしいです」
「シグレス様!」
ルーミの後ろにいつの間にか一人の男が立っていた。この子のお父さんだろうか。それなら安心だ。
「それではこれで」
ルーミはそそくさと帰った。そろそろライ達が起きる時間だ。早く帰らなきゃ心配してるかもしれない。しかしそんなルーミ心配は水の泡となった。二人ともまだぐっすりと眠っていた。
「なーんだ。まだゆっくりしててよかったじゃん」
呆れて椅子に座る。部屋に戻ってきたところで暇だ。ルーミは二度寝した。
「ルーミ!ルーミったら!」
ライの声が聞こえる。ハッとしベッドから起き上がる。窓の外を見ると夕方になっている。あれからルーミはずっと寝ていた。
「ええ!?そんなに時間経ってたの?!」
「起こそうとしたらイリスが放っておけって言ってて」
「昨日の恨みだな」
イリスはフンッと鼻息を鳴らす。ルーミはピキっときてベッドからたちあがる。
「へぇ、そうですか。じゃあ今度から私も同じようにしてあげるわよ!」
「俺はお前みたいにぐうたらしてないでしっかりと自分で起きれるからむりだな」
「言ったな?じゃあもし寝てても私は起こさないからな」
イリスとルーミは互いにバチバチと敵意をむき出していた。そんな二人を見てライは微笑んでいた。
「仲良しな二人だね」
0
お気に入りに追加
11
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる