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新しい仲間
新しい仲間 ⑤
しおりを挟む話しているともう終わりの時間に近づいてきていた。マリヤはどうしても聞きたいことがあった。けれど、どう切り出せばいいのかわからない。
考えているだけでも時間は過ぎていく。もしかしたらもう話せないかもしれない。
「アイ!」
「ん?」
アイの顔は爽やかで笑顔だった。その顔を見て一度躊躇った。親友を疑うなんてあり得ない。わかっている、けれど確かめたかった。人殺しなんてしていないと。
「アイは…この世界で人を…殺めてなんか…いないよね…?」
なぜか声が震えていた。気づけばその震えは全身にまで広がっていた。なぜ震えているのか、自分にもわからない。今までアイに怯えることなんてなかった。
アイからの返答はいつになっても返ってこなかった。
恐る恐る顔を上げるとアイの顔はさっきまでとは裏腹に冷たい目をしていた。その瞬間背筋がゾッとした。言われなくてもわかった。カナリヤの言う通りだ。
アイは人を殺めている。肌で感じた。聞かなきゃ良かった。知りたくなかった。信じていたかった。今更後悔した。けれどもう後戻りはできない。
今のアイは前のアイじゃない。別人だ。
「そんなわけないじゃん!やめてよもう!」
ショックをうけ青ざめていると、アイは急に笑顔になった。
「怖いこと言わないでよね!あ、そろそろ時間だね。私は用事があるからこれでいくね」
そう言ってアイは言ってしまった。
マリヤはそこから動こうとしなかった。
「昨日あの後サンザリカのところに行ったのか?」
午後の練習時カナリヤが聞いてきた。
「うん。けれど誰かと話してて話しかけれなかった」
「誰かって誰だよ!」
「え…えっと…女の子だっけな」
「まさか…」
すぐに察した。アイだ。アイがここにきてたんだ。
「その時のサンザリカさ。なんて言うんだろ。子供みたいだった」
「子供見たいって何だよ…」
「そう見えただけだよ。気のせいかもしれないけど…ってどこに行こうとしてるんだ?」
「どこでもいいだろ」
さっさとカナリヤは行ってしまった。
もしかしたらまだここにいるのかもしれない。どんな奴なのか知っておきたい。向こうもきっと私のことは知っているだろう。サンザリカが言わないわけがない。
カナリヤが来たのはサンザリカの部屋の前だった。その時奥の廊下から誰かの足音がした。すぐに近くにあった部屋に入り様子を伺った。歩いてきたのはサンザリカと女の子だった。女の子の顔を見た瞬間カナリヤは呆然とした。
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