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見習い騎士

見習い騎士 ⑨

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「…これでよし」

手紙を封筒に入れ外に出る。もうみんな集まっているようだ。そんなのも無視してカナリヤは裏に向かった。

「ミーシャ、いる?」

カナリヤが小さな声で言う。まあそんな簡単に来てくれるわけ‥と思っているとニャ~とどこからか鳴き声がした。

「あ、ミーシャ。これ、ハーネストに渡せる?」

「ニャ~」

「ありがとう。いい子ね」

頭を撫でたあとミーシャは森へと向かった。みんなが集まっているところへ行こうとするとそこにはサンザリカがいた。

「おや、そこにいたのか。何をしてるんだい?みんな待ってるよ」

優しく言っているようだが明らかに疑っているようだ。

「…サイルスに遅れると団長に伝えておいてとお願いしたのですが」

「ああ、聞いたよ。けど、あまりにも遅かったからね」

「すいません。今すぐに行きます」

カナリヤが横を通りすがろうとするとサンザリカが

「君は僕に復讐をしに来たのか?」

地味にその声は笑っている。

「…」

「まあ、別にいいけど。君には僕を倒せないよ。だって、国一番の騎士団長の僕に比べて君は平民。平民に負けるわけないよ」

「…それがいいんじゃない…」

カナリヤは怒ると思ったが、逆に顔は笑顔だった。

「‥私みたいな平民があんたみたいな、上の者を落とせないとか言うけど、もし落とせたときの快楽感が半端ないよ。不利な状況だというのに勝つってのが一番楽しい。あんたの絶望の顔を見るのが楽しみでたまらないよ」

その顔は怒り狂ったような顔だった。怒りと嬉しさ、楽しさがごちゃまぜになっている。

「‥へぇ、そうか…俺も楽しみだよ。君が俺を倒すのをね」

カナリヤはスタスタと歩いていった。


「ふーん、カナリヤだということは認めたのか‥まあ、確かに気づかれてんだから隠したところで意味ないか‥」

大したやつだ。そんなにまで俺を憎んでるなんて。今まで俺を憎んできたやつはたくさんいた。

けれど、そんな奴らは圧をかければすぐにへこたれた。自分の身に危険が迫ると分かるとすぐに俺の下についた。

なのにあいつは何年経っても俺を恨んで、そしてとうとうここまで来た。

ここまで根に持たれたのは初めてだな。

「面白そうだな‥」

あいつがどう仕掛けてくるか楽しみだ。



みんなが集まっているところへ行くとシャリングがカナリヤにすぐに気づき走ってきた。

「リオンネ!何してたんだよ。みんな待ちくたびれているぞ」

何も言わないカナリヤを見るとカナリヤは近くにあった柱を思い切り殴った。

「ハッ、お前は私が潰してやるよ」
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