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異世界少女
異世界少女ー④
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「誰だろう。あの子」
「シャリング」
低い声でシャリングを呼んだ。
「あの女には気をつけな」
鋭い目で言った。何故?と聞こうとしたが言われた通りにしようと思った。
「行くよ」
少女を無視してカナリヤは城へ入った。すると城でもなにか騒いでいた。
「何かあったんですか?」
「あ!カナリヤ様!今皇太子様が倒れてしまい。すぐ来てもらえませんか!」
「分かりました。すぐ向かいます」
(思ったよりも早かったな)
すぐに皇太子がいる部屋に行った。部屋の周りには人が沢山集まっている。
その間を通って部屋へ入った。
「国王陛下!」
「おお!カナリヤ」
「事情は聞いております。よろしいでしょうか?」
「ああ」
王はその場を離れた。カナリヤは皇太子を見た。自分がやったことなのだからどういう状態かもわかる。
適当に言っておけば信じるだろう。
「熱ありますね。一度安静にしてください。私が薬を持ってきます。それを一日二回。朝と夜に飲んでください」
「息子は…大丈夫なのか?」
「はい、今は様子を見ましょ。そこからまたこれに合う薬を作ります」
「本当にありがとうな」
国王にお礼を言われるのはこれで二回目。まだ、本当に治るのか分からないのに信じるなんてバカね。
部屋を出て人がいなくなったところでシャリングが話しかけてきた。
「その薬は本当に効くのか?」
「効くわけないでしょ」
あっさりと答えた。
「それで、これからどうするんだ?皇太子は倒れたがその後はどうするんだ?」
「私が居なくてもあいつが治すわよ」
「あいつ?」
「さっき居たでしょ?あの少女のことだよ」
「あの少女?ああ、さっき庭園にいた?」
「それ以外誰がいるの」
冷たい。やはりカナリヤは冷たい。さっきまでみんなに優しく振舞っていたのに人が居なくなると冷たくなる。
だが、シャリングは嫌いではなかった。そうやって本性を出してくれるのは嬉しかった。
「だけど、なんであの少女が治すんだ?どうやって?あの毒はカナリヤが持っている薬でしか治らないんじゃなかったのか?」
「……そのうち分かるわよ」
(そのうちじゃなくて今教えてくれよ)
カナリヤはシャリングが言いたいことが分かったのか、にやけている。
楽しんでいる。
「カナリヤ。君ってやつは腹黒いな。性格悪いぞ」
「残念。これが私ですので。しょうがないしょうがない」
子供を見ているようだ。カナリヤは確か十五。同い年とは見えなかった。
「まあ、君の好きなようにしな。俺は何も言わないって決めてるから」
「それでいい」
部屋に戻り窓から庭園を見た。さっきまで騒いでいた人達はいなくなっていた。あの子はどこに行ったのだろう。
それにあいつが言っていたことは本当だった。確かに異世界から少女はやってきた。だが、まだ本当にアイツが魔法を使えるか分からない。
それを試すために皇太子に毒を盛ったのだから。
「そろそろかな」
カナリヤがボソッと言ったと同時に誰かが部屋のドアをロックした。
「どうぞ」
「失礼します。皇太子様が目を覚められ熱も下がりました」
「そう。分かったわ。後で伺いますね」
意外と早かった。
「じゃあ行こうか」
「え?どうして皇太子は元気になられたのだ?」
「……」
無言で部屋を出た。
「シャリング」
低い声でシャリングを呼んだ。
「あの女には気をつけな」
鋭い目で言った。何故?と聞こうとしたが言われた通りにしようと思った。
「行くよ」
少女を無視してカナリヤは城へ入った。すると城でもなにか騒いでいた。
「何かあったんですか?」
「あ!カナリヤ様!今皇太子様が倒れてしまい。すぐ来てもらえませんか!」
「分かりました。すぐ向かいます」
(思ったよりも早かったな)
すぐに皇太子がいる部屋に行った。部屋の周りには人が沢山集まっている。
その間を通って部屋へ入った。
「国王陛下!」
「おお!カナリヤ」
「事情は聞いております。よろしいでしょうか?」
「ああ」
王はその場を離れた。カナリヤは皇太子を見た。自分がやったことなのだからどういう状態かもわかる。
適当に言っておけば信じるだろう。
「熱ありますね。一度安静にしてください。私が薬を持ってきます。それを一日二回。朝と夜に飲んでください」
「息子は…大丈夫なのか?」
「はい、今は様子を見ましょ。そこからまたこれに合う薬を作ります」
「本当にありがとうな」
国王にお礼を言われるのはこれで二回目。まだ、本当に治るのか分からないのに信じるなんてバカね。
部屋を出て人がいなくなったところでシャリングが話しかけてきた。
「その薬は本当に効くのか?」
「効くわけないでしょ」
あっさりと答えた。
「それで、これからどうするんだ?皇太子は倒れたがその後はどうするんだ?」
「私が居なくてもあいつが治すわよ」
「あいつ?」
「さっき居たでしょ?あの少女のことだよ」
「あの少女?ああ、さっき庭園にいた?」
「それ以外誰がいるの」
冷たい。やはりカナリヤは冷たい。さっきまでみんなに優しく振舞っていたのに人が居なくなると冷たくなる。
だが、シャリングは嫌いではなかった。そうやって本性を出してくれるのは嬉しかった。
「だけど、なんであの少女が治すんだ?どうやって?あの毒はカナリヤが持っている薬でしか治らないんじゃなかったのか?」
「……そのうち分かるわよ」
(そのうちじゃなくて今教えてくれよ)
カナリヤはシャリングが言いたいことが分かったのか、にやけている。
楽しんでいる。
「カナリヤ。君ってやつは腹黒いな。性格悪いぞ」
「残念。これが私ですので。しょうがないしょうがない」
子供を見ているようだ。カナリヤは確か十五。同い年とは見えなかった。
「まあ、君の好きなようにしな。俺は何も言わないって決めてるから」
「それでいい」
部屋に戻り窓から庭園を見た。さっきまで騒いでいた人達はいなくなっていた。あの子はどこに行ったのだろう。
それにあいつが言っていたことは本当だった。確かに異世界から少女はやってきた。だが、まだ本当にアイツが魔法を使えるか分からない。
それを試すために皇太子に毒を盛ったのだから。
「そろそろかな」
カナリヤがボソッと言ったと同時に誰かが部屋のドアをロックした。
「どうぞ」
「失礼します。皇太子様が目を覚められ熱も下がりました」
「そう。分かったわ。後で伺いますね」
意外と早かった。
「じゃあ行こうか」
「え?どうして皇太子は元気になられたのだ?」
「……」
無言で部屋を出た。
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