上 下
1,276 / 1,360
革命編 八章:冒険譚の終幕

創造神の夢

しおりを挟む

 シエスティナの魂から精神を浮上させリエスティアの肉体を借りた『黒』は、聖域において窮地に陥ったアルトリアを助け出す。
 更に聖域の時空間内部において創造神オリジンと同等の実力を発揮する『黒』は、自身の能力を用いてメディアを完全に圧倒して見せた。

 それでも自分を生んだマナの大樹ジュリアの意思を引き継いだメディアは、自分の思想もくてきこそ創造神オリジンの願いであると語る。
 しかしその言葉を真っ向から否定する『黒』は、下界せかいを作った最初の天変地異を起こした原因、創造神オリジン欠片たましいと言われる者達が持つ権能ちからの正体を明かした。

 その原因と正体こそ、『創造神オリジン』が切り離した破壊衝動から生まれた人格。
 のちに『黒』と呼ばれる創造神オリジンの肉体を持った到達者エンドレスの正体こそが、その『破壊神《しょうどう》』そのものだった。

 その事実はメディアが流す映像越しに『黒』の語りは地上にも伝わり、多くの者達に動揺を起こさせる。
 しかし伝えられている概要をほとんどの者達は把握しておらず、自分達が住む下界せかいが誕生した時の話だと理解できる者こそ少ない。

 その一方で、その話を聞いたある国の者達は動揺を広めている。
 それこそが『黒』を『繋がりの神』として信奉するフラムブルグ宗教国家であり、現教皇ファルネもまたその一人だった。

「――……きょ、教皇様……この方は……!?」

「……間違いありません。私が別未来あのときで御会いした、『繋がりの神』です」

「で、では……この話は……」

「我等の神が、このような状況で嘘をくとは思えません。……これが私達の住む世界が誕生した、真実なのでしょう」

「そ、そんな……。……聖典では、この世界は創造神かみによって望まれて作られたと……」

「……神よ。いったい、何を御考えなのですか……?」

 それぞれ映像から視聴する『かみ』の言葉を聞き、信者であり教皇の傍に付く幹部達が動揺を広める。
 宗教国家フラムブルグの体制において根幹となっている『かみ』の聖典はなしは、まさに創造神かみの望みによって作られたと伝えていた。

 それを否定し創造神かみから切り離された『破壊衝動じぶん』が起こした出来事が世界を創った原因だと語る話に、聖典の内容をよく知る信者達は動揺を治められない。
 しかし教皇ファルネだけは、映像で視える『かみ』の真意を思考していた。

 そして『黒』は、映像越しに再び真実はなしを伝え始める。

『――……数百万年前、創造神オリジンは自殺した。その理由の一つは自分の生命いのちに飽きたからじゃなくて、自分の精神なかに在る破壊衝動わたしを殺す為だったんだよ』

『!』

『最初の天変地異を始めとして、創造神かのじょの虚しさと寂しさの原因だった存在いのちを殺そうとする破壊衝動わたしを止めようとした。……その結論が、自殺だったのさ』

『……そんな記憶、私は見てないけれど?』

『当たり前だよ。君達が受け継いだのは、あくまで破壊衝動わたしが視ていた創造神かのじょの記憶なんだから』

『!!』

創造神かのじょ精神こころから切り離された破壊衝動わたしには、数千年の間に人格が芽生え精神が形成された。そして輪廻を経由した創造神かのじょの魂と破壊衝動《わたし》の魂は別れ、その片方が今のわたしというわけだ』

『……ならやっぱり、創造神オリジンの魂は私達に欠片となって分けられたわけだ』

『いいや、違うよ?』

『え?』

創造神オリジンは自分の持つ権能ちからを全て制約くさりに変えて、破壊衝動わたしを縛り付けた。仮に破壊衝動わたしが復活しても、世界を破壊させないよう縛る為にね』

『……!!』

『そして創造神かのじょは自殺した時、人格を得ていた破壊衝動わたし誓約やくそくを交わした。世界を壊すのではなく、この世界ではぐくまれる生命いのちを見守って欲しいと』

『……それを、創造神オリジンが頼んだって?』

『そうだよ。だから私は、その誓約やくそくをずっと守り続けている。……創造神かのじょの代わりに、この世界とそこに育つ生命いのちを見守り続ける為に』

『……ッ』

『そして創造神かのじょ未来予知ことばは当たった。下界したに在ったマナの達は創造神オリジンの死を察知して、循環機構システムを通して創造神オリジンの魂を読み取って模倣コピーした。そして模倣コピーした魂を七つに分けてそれぞれの樹に生えたマナの実に宿し、創造神オリジンを復活させようとした。……でもその時、マナの達は……いや。循環機構システムは間違えてしまったんだ』

『間違えた?』

創造神かのじょの魂ではなく、人格を持った破壊衝動わたしほう模倣コピーしてしまったんだよ』

『!?』

「!!」

『さっき言っただろう? 自殺した時の創造神かのじょは、持っていた権能ちからを全て破壊衝動わたしを縛る為の制約くさりに変えたんだ。……その時に循環機構システムは、創造神オリジン権能ちからで縛られた破壊衝動わたしほう創造神ほんにんだと誤認してしまったんだ』

『えぇ……!?』

『その結果、制約内に封じられた大き過ぎる破壊衝動わたしちからを模倣し分裂させ、制御できるしメディア先達せんだつが生まれた。【鬼神《フォウル》】を始めとして、【勇者】や【始祖の魔王ジュリア】。それぞれに破壊衝動わたしから模倣コピーした破壊衝動ちからを使い、世界で大暴れをしてしまった』

『……じゃあ、私達が持ってる権能ちからは……』

『勿論、創造神オリジンの権能《ちから》なんかじゃない。破壊衝動わたしちから、その模造品レプリカだよ』

 創造神オリジンが自殺した真実と、創造神権能ちからの正体を『黒』は明かす。
 それを聞いたメディアが今まで見せていた余裕の笑みを無くし、強張っている表情を見せていた。

 それでもメディアは赤い瞳を見開き、『黒』の言葉に反論する。

『……でも破壊衝動きみちからだって、元々は創造神オリジンの中で生まれた権能ちからなんでしょ?』

『まぁ、そうだね』

『だったらやっぱり、私達が持っているのも創造神オリジン権能ちからじゃないか。嘘は良くないよ』

『そうとも言えるね。……でも、記憶は違うだろ?』

『!』

『君達が創造神オリジンの記憶だと思ってるモノは、あくまで模倣コピーされた破壊衝動わたしの記憶なんだ。……だから君の言う創造神オリジンの願いは、本当の願いではない』

『……!!』

『私はね、その部分だけは勘違いして欲しくなかったんだ。……確かに創造神オリジンは絶望し、世界を壊したいという破壊衝動わたしを生み出した。けどそれは彼女の断片的な負の願望であって、創造神かのじょ自身が願っていた内容ではない』

『……だったら、本当の願いとやらを聞かせて欲しいね。君は知ってるんでしょ?』

『ああ、勿論だよ。創造神かのじょの本当の願いは――……家族や友達、そして仲間が欲しかったんだ』

『……え?』

 創造神オリジンが本当に願った内容を口にする『黒』に、映像で視えるメディアは更に困惑した様子を浮かべる。
 すると『黒』はマナの大樹へ視線を向けながら、寂し気な笑みを浮かべた。

創造神かのじょは故郷の星で生まれ、幼い頃に家族を全て亡くした。初めて出来た友達も大人になる前に事故で失い、大人になって宇宙そらへ出る為に集めた仲間達も先に死んだ。……そして、故郷ほしの滅びを見た』

『……!!』

創造神かのじょは孤独だった。だからその孤独を紛らわせる為に様々な研究をし、数多の宇宙そらを渡って色んな種族が居る星を観測し、その星の滅びを見守りながら僅かな生命いのちの灯火を回収し続けた。……そして様々な者達が暮らせる環境を、この惑星エデンを作り出した』

『……そんな事の為に、惑星ほし一つを……?』

『そうだよ。この惑星エデンに居る生命いのちは、故郷と呼べる惑星ほしを亡くした者達の集合体なんだ。……創造神かのじょはそんな彼等を自分の家族や友達として、仲間として共に過ごす日々を送った』

『……!!』

『でも到達者エンドレスになっていた創造神かのじょと他の者達では、寿命が圧倒的に違った。家族や友達、そして仲間達を再び見送ることを辛いと思った創造神かのじょは、自分と同じ到達者エンドレスを作る計画と同時に、循環機構システムの中に死者達の魂を回収し保管する為の空間ばしょを作り出した』

『……それが、輪廻りんね?』

『そうだよ。創造神かのじょは死んでしまった家族や友達とまた暮らす為に、循環機構システムを通して新たに宿る生命いのち輪廻むこうの魂を宿らせた。……でも、それは失敗だった』

『失敗?』

『生前の記憶を持ったまま再び生命に宿った死者達は困惑し、創造神かのじょのした事を知らされた。最初は皆も喜んでいたんだけどね。……でもそれが何百年、何千年と続くと、肉体と魂の劣化現象が起きた』

『!』

『幾度も使い回される魂が別の生命いのちに宿り続ける事で、人格が崩壊し理性を失うんだ。……その結果、負のエネルギーと呼ばれる瘴気しょうきを死者達の魂が生み出し始め、生者を襲い始めた。だから創造神オリジンは、魂を使い回す輪廻の機能システムを改善し、瘴気を生み出す原因となる死者の記憶と人格を消す理想郷ディストピアを追加した』

『……』

創造神かのじょは自分を咎めた。自分のせいで死者達の魂が瘴気を生み出すほど苦しめていたことを。……だから創造神オリジンは自分の行動で誰も傷付けないように、一人で神殿ここに閉じ籠り始めた』

『……でも結局、それが原因で創造神オリジンからは破壊衝動きみが生まれた』

『そう。誰も傷付かない為に自分の望みを諦めた創造神オリジンは再び孤独という絶望を感じ、破壊衝動わたしを生み出した。……そして創造神かのじょの願いを叶える為に、破壊衝動わたし天界ここを崩落させた』

『……ッ』

創造神オリジンはその時に、本当に絶望したんだよ。自分が存在し続ける限り、誰かを傷付けてしまうのだと。……だから破壊衝動わたしを切り離して封じ、自分へ向けられている信仰が薄れる時を待って、自殺した』

『……』

創造神かのじょは、生命いのちや世界の破壊なんか望んでない。ただ家族や友達と、そして仲間と一緒に他愛もない日常を過ごしたかった。……ただ、それだけなんだ』

 創造神オリジンが願い続けたゆめを『黒』は明かし、メディアや世界中の人々に語る。
 それは誰もが考えるありふれた願いであり、何も特別な目的ことではない。

 普通ならば、その日常を過ごす中で自分が逝く時も来るだろう。
 しかし『終わり無き者エンドレス』として永遠の寿命を持っていた創造神オリジンには、親しき者達が死に逝く姿を幾度も見送るのは辛過つらすぎたのだ。

 その結果、創造神オリジンは自ら生み出した絶望によって天界エデンを破壊してしまう。
 それに耐え切れなくなった創造神オリジンは、絶望から生まれた破壊衝動ちからを封じ、もう二度と自分のせいで誰かが傷付かないように死を選んだ。

 これが、この世界を生み出した『創造神オリジン』の真実。
 それを伝えた『黒』は、再びメディアの伝えた言葉を否定した。

『メディア。君は間違っている』

『!!』

『間違った創造神かのじょの願いを言い訳にして世界を破壊するつもりなら、私はこの破壊衝動ちからで君を殺すよ』

『……殺せるかな? 私を』

『たかだが四百年程度で集まったエネルギーなら、簡単に殺し尽くせるさ』

『……はぁ、本気かぁ』

『本気だね』

『……ふぅ。……分かった、降参!』

「!?」

そっち聖域ここに来るのなんて、完全に予定外! ……いや、そっちからしたら予定通りってこと?』

『まぁね』

『でも、さっきまでの話を聞くと。ログウェルが勝ったら、本当に世界を滅ぼしてもいいんだね?』

『それは問題ないよ。どっちみちログウェルが勝ち残ったら、世界の滅びは確定するから』

『なるほどね。……ちなみに、私の権能ちからをアルトリアから返してもらうのは?』

『今はダメ。少なくとも、二人の戦いが終わるまではね』

『はぁ、そっか。――……と、言うわけで。私は二人の戦いが終わるまで何もしないから。皆は安心して、向こうの戦いでも見てるといいよ』

「――……!!」

 次の瞬間、『黒』とメディアの姿を投影していた映像が消える。
 そして残るのは、常人では視認すら出来なくなったログウェルとエリクから放たれる閃光ひかり混じりの衝突だった。 

 こうして『黒』はメディアを説き伏せ、世界の存亡を二人の戦いに委ねさせる。
 そして人々の視線は移り、その戦いを見守らせる状況へとなった。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

慟哭の螺旋(「悪役令嬢の慟哭」加筆修正版)

浜柔
ファンタジー
前世で遊んだ乙女ゲームと瓜二つの世界に転生していたエカテリーナ・ハイデルフトが前世の記憶を取り戻した時にはもう遅かった。 運命のまま彼女は命を落とす。 だが、それが終わりではない。彼女は怨霊と化した。

噂の醜女とは私の事です〜蔑まれた令嬢は、その身に秘められた規格外の魔力で呪われた運命を打ち砕く〜

秘密 (秘翠ミツキ)
ファンタジー
*『ねぇ、姉さん。姉さんの心臓を僕に頂戴』 ◆◆◆ *『お姉様って、本当に醜いわ』 幼い頃、妹を庇い代わりに呪いを受けたフィオナだがその妹にすら蔑まれて……。 ◆◆◆ 侯爵令嬢であるフィオナは、幼い頃妹を庇い魔女の呪いなるものをその身に受けた。美しかった顔は、その半分以上を覆う程のアザが出来て醜い顔に変わった。家族や周囲から醜女と呼ばれ、庇った妹にすら「お姉様って、本当に醜いわね」と嘲笑われ、母からはみっともないからと仮面をつける様に言われる。 こんな顔じゃ結婚は望めないと、フィオナは一人で生きれる様にひたすらに勉学に励む。白塗りで赤く塗られた唇が一際目立つ仮面を被り、白い目を向けられながらも学院に通う日々。 そんな中、ある青年と知り合い恋に落ちて婚約まで結ぶが……フィオナの素顔を見た彼は「ごめん、やっぱり無理だ……」そう言って婚約破棄をし去って行った。 それから社交界ではフィオナの素顔で話題は持ちきりになり、仮面の下を見たいが為だけに次から次へと婚約を申し込む者達が後を経たない。そして仮面の下を見た男達は直ぐに婚約破棄をし去って行く。それが今社交界での流行りであり、暇な貴族達の遊びだった……。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

婚約破棄は誰が為の

瀬織董李
ファンタジー
学園の卒業パーティーで起こった婚約破棄。 宣言した王太子は気付いていなかった。 この婚約破棄を誰よりも望んでいたのが、目の前の令嬢であることを…… 10話程度の予定。1話約千文字です 10/9日HOTランキング5位 10/10HOTランキング1位になりました! ありがとうございます!!

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに
ファンタジー
 この世界には魔法が存在する。  そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。  その属性は主に6つ。  火・水・風・土・雷・そして……無。    クーリアは伯爵令嬢として生まれた。  貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。  そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。    無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。  その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。      だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。    そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。    これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。  そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。 設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m ※←このマークがある話は大体一人称。

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る

拓海のり
ファンタジー
 階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。  頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。  破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。  ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。  タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。 完結しました。ありがとうございました。

アホ王子が王宮の中心で婚約破棄を叫ぶ! ~もう取り消しできませんよ?断罪させて頂きます!!

アキヨシ
ファンタジー
貴族学院の卒業パーティが開かれた王宮の大広間に、今、第二王子の大声が響いた。 「マリアージェ・レネ=リズボーン! 性悪なおまえとの婚約をこの場で破棄する!」 王子の傍らには小動物系の可愛らしい男爵令嬢が纏わりついていた。……なんてテンプレ。 背後に控える愚か者どもと合わせて『四馬鹿次男ズwithビッチ』が、意気揚々と筆頭公爵家令嬢たるわたしを断罪するという。 受け立ってやろうじゃない。すべては予定調和の茶番劇。断罪返しだ! そしてこの舞台裏では、王位簒奪を企てた派閥の粛清の嵐が吹き荒れていた! すべての真相を知ったと思ったら……えっ、お兄様、なんでそんなに近いかな!? ※設定はゆるいです。暖かい目でお読みください。 ※主人公の心の声は罵詈雑言、口が悪いです。気分を害した方は申し訳ありませんがブラウザバックで。 ※小説家になろう・カクヨム様にも投稿しています。

やはり婚約破棄ですか…あら?ヒロインはどこかしら?

桜梅花 空木
ファンタジー
「アリソン嬢、婚約破棄をしていただけませんか?」 やはり避けられなかった。頑張ったのですがね…。 婚姻発表をする予定だった社交会での婚約破棄。所詮私は悪役令嬢。目の前にいるであろう第2王子にせめて笑顔で挨拶しようと顔を上げる。 あら?王子様に騎士様など攻略メンバーは勢揃い…。けどヒロインが見当たらないわ……?

処理中です...