上 下
740 / 1,360
革命編 二章:それぞれの秘密

運命を綴る者

しおりを挟む

 目が見えないリエスティアの瞳を癒したアルトリアは、徐々に視力が戻ることを教える。
 そして過去に出会っていた事を明かし、今後も足の治療を行う為にリエスティアと交流する事を伝えた。

 しかし皇国に身を置いていた老執事バリスの情報を通じて、アルトリアの口からとんでもない事が皇后クレアと皇子ユグナリスに明かされる。

 それは兄ウォーリスと瞳の色が異なる妹リエスティアが、黒髪と黒い瞳で生まれる『黒』の七大聖人セブンスワンに近い生い立ちをしていたこと。
 そして皇国から旅立ち二年前に死んだと伝えられている、『黒』の七大聖人セブンスワンである少女クロエの存在。

 それ等の情報から今現在のアルトリアが導き出した結論は、リエスティアが魂を失った『黒』の七大聖人セブンスワンだという突拍子もない言葉だった。

 突如として出されたその話題は、『黒』の七大聖人セブンスワンと無縁だった者達を困惑させる。
 それを代表するように、ユグナリスが椅子から立ち上がりながらアルトリアを問い質した。

「――……黒い瞳だというだけで、リエスティアが『黒』の七大聖人セブンスワンだと言ってるのか? アルトリア」

「……」

「それに、魂が消失したとか……ワケが分からないぞ。確かに魔法師は『魂』の存在を信じ、魔法という力を扱う上での基点にしているが。そもそも、魂なんて実体の無いモノを触れることすら出来ない。その魂を消すなんてこと――……」

「可能よ」

「!?」

「アンタが知らないだけで、そういう方法はある。厳密に言えば秘術の類だけど、そうした手段を保有してる国はあるわ。例えば、ホルツヴァーグ魔導国やフラムブルグ宗教国家とかね」

「……じゃあ、それが本当に可能だとして。どうしてリエスティアがそんなことをされなきゃいけないんだっ!?」

「『黒』の七大聖人セブンスワンだったから。それ以上の理由は無いでしょ」

「だから、なんでそれが理由になるんだよ!?」

「はぁ……。バリス、この馬鹿にも分かり易く説明してあげて」

「な……っ」

 アルトリアは溜息を吐き出しながら説明を放棄し、後ろに控え立つ老執事バリスに説明それを委ねる。
 それに対してユグナリスは表情を強張らせたが、バリスはそれ等に関する事情を二人に伝えた。

「私が二年前に出会った『黒』の七大聖人セブンスワンである少女は、魔導国ホルツヴァーグ宗教国家フラムブルグに狙われていました」

「え……?」

「そしてフォウル国もまた、『黒』の七大聖人セブンスワンという存在を狙っていたという話を伺っています。皇国を除いた四大国家に、狙われているという事になるでしょうな」

「な、何で……その『黒』の七大聖人セブンスワンを……?」

「理由は様々なようです。元々『黒』の七大聖人セブンスワン宗教国家フラムブルグにおいて『神』に位置する立場であったり、【結社】と呼ばれる組織の中心地である魔導国ホルツヴァーグでは厄介な存在として排除され、かつて宗教国家フラムブルグと敵対したフォウル国は何かしらの理由で『黒』の存在を忌み嫌っています」

「……!!」

「故に一部の大陸や地域では、そうした生まれ方をする人間の子供は忌み嫌われる。少なくとも、髪や瞳の色が異なる両親からそうした子供が生まれれば、忌み子として扱われても不思議ではありません」

 バリスに『黒』の七大聖人セブンスワンに関する事情を教えられたユグナリスは、その過酷な生まれと状況を知り視線を落としながら息を飲む。
 しかし何かを思い出したように目を見開き、顔を再び上げてアルトリアの言葉を否定した。

「……で、でも! 七大聖人セブンスワンなら、確か身体の何処かに聖紋サインがあるんだろう? リエスティアの身体には、そんな聖紋ものは無かったぞ!」

「へぇ。それを確認した時に、あの子を孕ませたってわけ」

「な……っ!! む、無理矢理みたいに言うな! ちゃんとお互いに、合意で――……」

「あー、はいはい。元婚約者アンタと友達がそんなことしてたのなんて、聞きたくないわ」

「ぐ……っ!!」

「それと、『黒』の七大聖人セブンスワンには聖紋サインは無いわよ」

「……え?」

「『赤』『青』『黄』『緑』『茶』。その五つに選ばれた七大聖人セブンスワンは、必ず利き腕となる手の甲に聖紋《サイン》が宿る。でも『白』と『黒』だけは、身体のどこにも聖紋サインが無いらしいわ」

「な、なんでお前が、そんな事まで知ってるんだ……?」

 アルトリアは聖紋に関する部分を指摘し、ユグナリスの反論を妨げる。
 そうした知識を語るアルトリアを怪訝そうな表情で見るユグナリスだったが、その会話に割り込む形でバリスが言葉を差し挟んだ。

七大聖人セブンスワン聖紋サインに関しては、アルトリア様の仰る通りです」

「!」

「私も元『緑』の七大聖人セブンスワンであった頃、それ等の知識を得ました。確かに他の七大聖人セブンスワンとは異なり、『白』と『黒』には聖紋が身体に刻まれていない。……いえ、正確には別の場所に刻まれています」

「別の場所……?」

「それは、魂です」

「!?」

「『白』と『黒』の魂には聖紋サインが刻まれ、他の七大聖人と同様に誓約と制約が課せられます。故に我々のような七大聖人セブンスワンとは異なり、一見では判断できないのです」

 元七大聖人セブンスワンであるバリスの証言に、ユグナリスは返す言葉も無いままそうした事情を思考に呑み込む。
 そして再びアルトリアに視線を向け、眉を顰めながら尋ねた。

「……じゃあ、リエスティアの魂にも……その聖紋サインが……?」

「今は無いわよ」

「!」

「言ったでしょ? 『黒』の魂が消失したって。そして復活した『黒』の魂は、新たな転生体たいじに宿った。それが皇国で見つかった『黒』だったということよ」

「……で、でも。その話もおかしいじゃんじゃないか……?」

「何がよ?」

「魂を消されたんだろ……? リエスティアは、なんで無事なんだ……? そもそも奴隷として売られたはずのリエスティアが、どうして孤児院に……?」

 ユグナリスは困惑した表情と声を見せ、自身が知るリエスティアの状況とアルトリアの話す事柄を結び付けられない。
 それに対して再び小さな溜息を吐き出すアルトリアは、リエスティアが幼い頃に陥った状況の推論を述べた。

「簡単な話よ。――……あの子は多分、子供の時に殺された。だから肉体から『黒』の魂が消えた」

「!?」

「でも、殺されたあの子は死の淵から蘇った。けれど魂と一緒に記憶も失って、孤児として拾われた。そうした中で自我を形成し、自我そこから新たな魂が生まれた。それが、今のあの子よ」

 アルトリアはそう推察し、魂を失ったはずのリエスティアが今に至る結果を述べる。
 それを聞いていたユグナリスは更に困惑した表情を強め、述べられた内容に対する不可解な部分を指摘した。

「……よ、蘇ったって……。なんで、そんな事がお前に分かるんだ……!?」

「昔、私があの子を治したから」

「え……」

「昔の私は、あの子に怪我を負わせたことがある。それを治す為に自分の生命力をかなり分け与えてた。……それがあの子の身体に宿る生命力を強くし、殺された後でも生き延びたのよ」

「……!?」

「あの子をさらい殺した連中も、まさか生きてるとは思わなかったんでしょうね。遺体を何処かに捨てたけど、魂も無いまま生き永らえて孤児として拾われたなんて、誰も考えないだろうし」

「……し、信じられない……」

「信じるも信じないも、アンタ次第だけど。――……でも、警戒はしといた方がいいわよ」

「え……?」

「あの子の魂は、確かに『黒』の七大聖人セブンスワンではない。……でも身体は、『黒』の七大聖人セブンスワンよ」

「!?」

「さっきあの子に触れた時に、確信したわ。……あの子の身体は大人になり、聖人になりつつある」

「せ、せいじん……七大聖人セブンスワン……!?」

「そう。あの子の身体は、既に『黒』の器として成長している。……もし『黒』を狙ってる【結社】やフォウル国が、あの子の存在を知ったらどうなるか。馬鹿さすがのアンタでも分かるでしょ?」

「……!!」

「あの子も、そして御腹にいるアンタ達の子供も、命を狙われる。……そしてここを襲った昨日の襲撃者は、あの子が誰なのかを知ってたそうね」

「……ま、まさか……。……母上!」

 アルトリアの言葉を聞き続けていたユグナリスも、流石に思考を追い付かせて状況を理解する。
 そして顔を横に向けながら母親クレアに声を向けると、同じく理解を示したクレアが頷きながらアルトリアに尋ねた。

「……ここにリエスティアさんを留め続けるのは、危険だということですね? アルトリアさん」

「でしょうね」

「早急に、リエスティアさんを匿える場所を手配しましょう。ただ帝国であの子を守れる場所となると、帝都の城に限られてしまいそうだけれど……」

「お腹も既に大きくなってきてるし、まだ妊娠四ヶ月目くらいでしょ? また移動させるとお腹の子供にさわるだろうし、安定期に入るまではここに落ち着かせておきたいところね」

「そうですね……。……今は公爵家ここの警備体制を信じまして、留まりましょう。その間に匿える場所を探して、安定期に入ったらリエスティアさんを匿える場所に移すことを、私から陛下やセルジアス君に御願いするわ」

「その方がいいわね」

「そういう事になるのなら、帝都からリエスティアさんの護衛に関する増援を呼びましょう。私から陛下に直接、事情を伝えるわ」 

 クレアは腰掛けていた椅子から立ち上がり、部屋から出て護衛の騎士達と共に通信手段がある都市部へ赴く。
 そして続くように部屋を出ようとしたユグナリスに、アルトリアが声を向けた。

「ユグナリス」

「!」

「言っとくけど、あの子に余計な事を言うんじゃないわよ」

「……当たり前だろ。それに言ったところで、ますます混乱させてしまうだけだ」

「でしょうね」

「……アルトリア」

「ん?」

「記憶が、戻ったんだな?」

「……」

「……すまなかった」

「何がよ?」

「……いつかお前に勝って、見返したいと思っていた。でも、それが出来なかった……。その腹いせに、お前に嫌がらせをしようとした」

「……ふんっ」

「俺は、お前が言うように馬鹿な男だって分かってる。……それでも、今は俺にも守りたいモノが出来た」

「……」

「でも、俺一人で守り切れるか分からない。……言えた義理ではないかもしれないが。また頼みたい。……リエスティアと御腹の子供を守る為に、お前の力を貸してほしい」

 ユグナリスは背を向けていた状態から振り返り、頭を深々と下げながらアルトリアに助力を頼む。
 顔を背けたままそれを聞いていたアルトリアは、大きな溜息を吐き出しながら呟いた。

「あの子は私の友達よ。アンタに言われるまでもないわ」

「……そうか」

「アンタこそ、あの子に対する責任を最後まで果たしなさいよ。――……でなきゃ、アタシがアンタを殺してやるから」

「……分かった」

 ユグナリスは頭を上げ、口元を僅かに微笑ませながら振り返る。
 そして部屋を出て行くと、アルトリアは再び大きな溜息を漏らしながら身体を横に倒して長椅子ソファーに身を委ねた。

 そうした様子を見ていた老執事バリスが、アルトリアに問い掛ける。

「アルトリア様。記憶が戻られたのですね?」

「……戻ったんじゃないわ」

「しかし、先程からの御様子は……」  

「戻ったんじゃない……。……見せられたのよ」

「見せられた……?」

「……アイツが持ってた、あの杖。……まさか、アイツの正体は……」

 アルトリアは横に倒した身体をだらけさせながらも、ある人物が持っていた杖を思い出す。

 それは昨夜の襲撃者が持っていた、白い魔玉が嵌め込まれた短い杖。
 そしてアルトリアが見せられたと語る記憶には、その短杖を握る自分自身の手が幾度も映し出されていた。

 こうして襲撃事件をきっかけに、アルトリアとリエスティアという少女達が様々な出来事の中心に置かれる。
 それは過去と現在を通し未来を紡ぐ、一つの赤い運命を辿るように綴られた物語となっていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

都合のいい女は卒業です。

火野村志紀
恋愛
伯爵令嬢サラサは、王太子ライオットと婚約していた。 しかしライオットが神官の娘であるオフィーリアと恋に落ちたことで、事態は急転する。 治癒魔法の使い手で聖女と呼ばれるオフィーリアと、魔力を一切持たない『非保持者』のサラサ。 どちらが王家に必要とされているかは明白だった。 「すまない。オフィーリアに正妃の座を譲ってくれないだろうか」 だから、そう言われてもサラサは大人しく引き下がることにした。 しかし「君は側妃にでもなればいい」と言われた瞬間、何かがプツンと切れる音がした。 この男には今まで散々苦労をかけられてきたし、屈辱も味わってきた。 それでも必死に尽くしてきたのに、どうしてこんな仕打ちを受けなければならないのか。 だからサラサは満面の笑みを浮かべながら、はっきりと告げた。 「ご遠慮しますわ、ライオット殿下」

召喚されたけど要らないと言われたので旅に出ます。探さないでください。

udonlevel2
ファンタジー
修学旅行中に異世界召喚された教師、中園アツシと中園の生徒の姫島カナエと他3名の生徒達。 他の三人には国が欲しがる力があったようだが、中園と姫島のスキルは文字化けして読めなかった。 その為、城を追い出されるように金貨一人50枚を渡され外の世界に放り出されてしまう。 教え子であるカナエを守りながら異世界を生き抜かねばならないが、まずは見た目をこの世界の物に替えて二人は慎重に話し合いをし、冒険者を雇うか、奴隷を買うか悩む。 まずはこの世界を知らねばならないとして、奴隷市場に行き、明日殺処分だった虎獣人のシュウと、妹のナノを購入。 シュウとナノを購入した二人は、国を出て別の国へと移動する事となる。 ★他サイトにも連載中です(カクヨム・なろう・ピクシブ) 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~

ぽん
ファンタジー
⭐︎コミカライズ化決定⭐︎    2024年8月6日より配信開始  コミカライズならではを是非お楽しみ下さい。 ⭐︎書籍化決定⭐︎  第1巻:2023年12月〜  第2巻:2024年5月〜  番外編を新たに投稿しております。  そちらの方でも書籍化の情報をお伝えしています。  書籍化に伴い[106話]まで引き下げ、レンタル版と差し替えさせて頂きます。ご了承下さい。    改稿を入れて読みやすくなっております。  可愛い表紙と挿絵はTAPI岡先生が担当して下さいました。  書籍版『拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜』を是非ご覧下さい♪ ================== 1人ぼっちだった相沢庵は住んでいた村の為に猟師として生きていた。 いつもと同じ山、いつもと同じ仕事。それなのにこの日は違った。 山で出会った真っ白な狼を助けて命を落とした男が、神に愛され転移先の世界で狼と自由に生きるお話。 初めての投稿です。書きたい事がまとまりません。よく見る異世界ものを書きたいと始めました。異世界に行くまでが長いです。 気長なお付き合いを願います。 よろしくお願いします。 ※念の為R15をつけました ※本作品は2020年12月3日に完結しておりますが、2021年4月14日より誤字脱字の直し作業をしております。  作品としての変更はございませんが、修正がございます。  ご了承ください。 ※修正作業をしておりましたが2021年5月13日に終了致しました。  依然として誤字脱字が存在する場合がございますが、ご愛嬌とお許しいただければ幸いです。

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

魔境暮らしの転生予言者 ~開発に携わったゲーム世界に転生した俺、前世の知識で災いを先読みしていたら「奇跡の予言者」として英雄扱いをうける~

鈴木竜一
ファンタジー
「前世の知識で楽しく暮らそう! ……えっ? 俺が予言者? 千里眼?」  未来を見通す千里眼を持つエルカ・マクフェイルはその能力を生かして国の発展のため、長きにわたり尽力してきた。その成果は人々に認められ、エルカは「奇跡の予言者」として絶大な支持を得ることになる。だが、ある日突然、エルカは聖女カタリナから神託により追放すると告げられてしまう。それは王家をこえるほどの支持を得始めたエルカの存在を危険視する王国側の陰謀であった。  国から追いだされたエルカだったが、その心は浮かれていた。実は彼の持つ予言の力の正体は前世の記憶であった。この世界の元ネタになっているゲームの開発メンバーだった頃の記憶がよみがえったことで、これから起こる出来事=イベントが分かり、それによって生じる被害を最小限に抑える方法を伝えていたのである。  追放先である魔境には強大なモンスターも生息しているが、同時にとんでもないお宝アイテムが眠っている場所でもあった。それを知るエルカはアイテムを回収しつつ、知性のあるモンスターたちと友好関係を築いてのんびりとした生活を送ろうと思っていたのだが、なんと彼の追放を受け入れられない王国の有力者たちが続々と魔境へとやってきて――果たして、エルカは自身が望むようなのんびりスローライフを送れるのか!?

婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生
恋愛
1・2・3巻店頭に無くても書店取り寄せ可能です! (∩´∀`∩) コミカライズ1巻も買って下さると嬉しいです! (∩´∀`∩) イラストレーターさん、漫画家さん、担当さん、ありがとうございます! ご令嬢が婚約破棄される話。 そして破棄されてからの話。 ふんわり設定で見切り発車!書き始めて数行でキャラが勝手に動き出して止まらない。作者と言う名の字書きが書く、どこに向かってるんだ?とキャラに問えば愛の物語と言われ恋愛カテゴリーに居続ける。そんなお話。 飯テロとカワイコちゃん達だらけでたまに恋愛モードが降ってくる。 そんなワチャワチャしたお話し。な筈!

星の勇者たち でも三十九番目だけ、なんかヘン!

月芝
ファンタジー
来たる災厄に対抗すべく異世界に召喚された勇者たち。 その数、三十九人。 そこは剣と魔法とスチームパンクの世界にて、 ファンタジー、きたーっ! と喜んだのも束の間、なんと勇者なのに魔法が使えないだと? でも安心して下さい。 代わりといってはなんですが、転移特典にて星のチカラが宿ってる。 他にも恩恵で言語能力やら、身体強化などもついている。 そのチカラで魔法みたいなことが可能にて、チートで俺ツエーも夢じゃない。 はずなのだが、三十九番目の主人公だけ、とんだポンコツだった。 授かったのは「なんじゃコレ?」という、がっかりスキル。 試しに使ってみれば、手の中にあらわれたのはカリカリ梅にて、えぇーっ! 本来であれば強化されているはずの体力面では、現地の子どもにも劣る虚弱体質。 ただの高校生の男子にて、学校での成績は中の下ぐらい。 特別な知識も技能もありゃしない。 おまけに言語翻訳機能もバグっているから、会話はこなせるけれども、 文字の読み書きがまるでダメときたもんだ。 そのせいで星クズ判定にて即戦力外通告をされ、島流しの憂き目に……。 異世界Q&A えっ、魔法の無詠唱? そんなの当たり前じゃん。 っていうか、そもそも星の勇者たちはスキル以外は使えないし、残念! えっ、唐揚げにポテトチップスにラーメンやカレーで食革命? いやいや、ふつうに揚げ物類は昔からあるから。スイーツ類も充実している。 異世界の食文化を舐めんなよ。あと米もあるから心配するな。 えっ、アイデアグッズで一攫千金? 知識チート? あー、それもちょっと厳しいかな。たいていの品は便利な魔道具があるから。 なにせギガラニカってば魔法とスチームパンクが融合した超高度文明だし。 えっ、ならばチートスキルで無双する? それは……出来なくはない。けど、いきなりはちょっと無理かなぁ。 神さまからもらったチカラも鍛えないと育たないし、実践ではまるで役に立たないもの。 ゲームやアニメとは違うから。 というか、ぶっちゃけ浮かれて調子に乗っていたら、わりとすぐに死ぬよ。マジで。 それから死に戻りとか、復活の呪文なんてないから。 一発退場なので、そこんところよろしく。 「異世界の片隅で引き篭りたい少女。」の正統系譜。 こんなスキルで異世界転移はイヤだ!シリーズの第二弾。 ないない尽くしの異世界転移。 環境問題にも一石を投じる……かもしれない、笑撃の問題作。 星クズの勇者の明日はどっちだ。

処理中です...