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初めての街 イーニフ

第12話

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職員からギルドについて説明を受けた。要約すると、

ここには様々な依頼が寄せられ、掲示板に貼り出される。
辺境の街だからか依頼の数はそう多くないが、王都ほどになると、王族や貴族からも依頼が来るほど信頼されたものらしい。
その為、実力の伴わない冒険者に依頼が回らないよう、ランクというものが存在し、一番低いランクのEから最高ランクのSまである。
登録したては勿論Eランクだ。
ある程度依頼をこなしていくと、ギルドの方からランク昇格試験を言い渡され、それに成功すると昇格することがある。それは指定モンスターの討伐だったり、単純に手合わせのような形だったりと、様々らしい。

そして、依頼は定期的にこなしていかないと、ランクの降格や、ギルドからの除名処分がある。
依頼が達成できなかった場合も、失敗の内容が酷かったり、回数が続くようなようなら同じように処分が下る。
この辺りのシステムは、冒険者ギルドだけでなく、商人ギルドなども同じだと言っていた。

冒険者は冒険者ギルド、商人は商人ギルドに所属していないといけないようだが、その分、素材の買取が優遇されたり、情報が早く出回ったりと、何かと恩恵があるとのことだ。

冒険者ギルドの場合、年会費の徴収はないようだが、依頼の報酬金が既に手数料や税金を引いた金額らしい。そして登録料も必要ない代わりに、登録試験があり、そこで合格を貰えないと冒険者として生きていくことはできない。依頼主からの信用、そして命の危険という点を考えれば、ある程度の力量がないとダメなのは当然かもしれないな。

「大体こんな感じですね!さて、では早速ですが登録試験していかれますか?」

「え、良いんですか!受けます!」

こうしてそのまま試験を受けさせてもらえることになったので、ギルド内の訓練場で刃引きされた剣を握って、試験管と向き合っている。

「よし、じゃあ試験の説明だ。ルールは、どちらかが降参するか、気絶したら終わり、受験者が試験官に一撃でも入れることができた場合も合格だ。そうそうないが、殺しや複数人で挑んでくることは反則なので失格になる。今回は魔術師ギルドの認可もないので、魔法の使用も反則だ。気をつけてくれ。それ以外は目眩しや、飛び道具なども立派な戦術だからな、どんどん使ってくれて良い。」

「わかりました。」

「うん、じゃあそろそろ始めようか。」

そう言うなり隙のない構えでこちらの様子を伺ってくる。
…この人は強い。普段はゴーレムで戦闘しているから、自分自身はそこまで強くないが、全く戦えないと言う程でもない…どこまで通用するか…。

向こうから仕掛けてくる様子はないので、こっちから仕掛けるか。

剣を片手に思い切り踏み込む。真っ直ぐな剣筋だったからか、簡単に避けられ、カウンターをしてくるも、想定済みだったのでこちらも回避してみせる。何合か打ち合ってみるも、やはり一筋縄ではいかない。
だがわかったこともある。試験官はこちらの目をよく見ている。
つまりだ…、
「こうだっ!」
ブンッ!っと目の前に向かって剣を放り投げる。これで意表を突くのと同時に、視覚を奪う。

「ふっ…そうくると思った。何度か同じことをしてきた人たちもいた。そして今までも、こう返すともう終わりだ。」

そう言いながら剣を上に弾いた。だがこれも予想していた。
俺は剣に気を取られているその隙をつき、飛んで死角から殴りかかる。

「ふっ!」

しかし、
「そう、それも想定済みだったからな。」
試験官は難なくその拳すら逆の手で掴んで止めてしまった。


「おらぁ!!」
身体を捻って頭上から足蹴りを見舞う。が、試験官は剣を手放し、その足蹴りすらも受け止める。

「…ここまでとは…凄いな!」

だが終わりではなかった。上に打ち上げられた剣をもう片方の足を使って手元に引き寄せ、両手の塞がった試験官へ思いきり振り下ろす。

「これで終わりだぁー!!」

「くっ…!!」

掴まれた腕と足とグルっと回転させられ、その振り下ろした剣を交差した腕で防がれた。
そしてそのまま地面へ放り投げられた。

「ふぅ…試験は終わりだ。」

凄い。ある程度読まれていたとしても咄嗟の判断でここまで防がれると思っていなかった…全然歯が立たず悔しい。

「…ありがとうございました。」

「ははっ!なんで君がそんなに悔しそうなんだ?」

「うっ…だって全然ダメでした…。」

「ダメ?おいおい…これでも俺はAランクだぞ。魔法無しとはいえ、もう10年以上も冒険者をしていたんだ。ここまで追い詰められるとは思っていなかった。それにほら、最後の振り下ろしは、防いだとはいえ、。刃引きされていなかったら怪我じゃ済まなかっただろうな。Eランクで始まるのが惜しいくらいだ。」

「え?…じゃあ!」

「当然合格だ。元々一撃でも入れば合格だっていうルールだっただろう。おめでとう。これから頑張るようにな!」

「…ッ!ありがとうございます!」

「それじゃあ訓練所の外にいる職員に声をかけてくれ。いつか一緒に依頼ができる日を楽しみにしているよ。」

「はい!失礼します!」

そう言い、試験官を背に部屋を出た。職員に声をかけると早速ギルド証の手続きをしにカウンターへ戻ることになった。




その頃、ヴァルカンが立ち去った後の訓練所では…

「…ってぇ…最後の振り下ろし、なんて力だ…こりゃ確実にヒビくらい入ったな…久しぶりにとんでもねぇルーキーが入ったな…。」
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