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本編

今日から朝の言葉は無しです.

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「おはようございます旦那様、行ってらっしゃい。」

「おはよう、行ってくるよ。」


昨日は号泣してしまい、夜の挨拶も朝一緒にご飯を食べる事もできなかった。

そして今日から、朝の『愛の言葉』はやめた。
旦那様もさほど気にしてないのでこのまま無くしても大丈夫だろう。

次は料理だ。旦那様が早く帰ってこれる日は自分が作っていたのだが、これも辞めよう。
さっそく料理長の所へ行く。

「リヴィエン、俺もう料理作るのは辞める。
今までありがとうな。」

「え?急にどうしたんすか奥様!」

料理長こと_リヴィエンは心底驚いた様に声を上げる。
実力主義のこの家で、若いながら料理長まで登り詰めた凄い子だ。
俺は23で彼は21。ちょっとした仕草が可愛いらしいので、弟の様に思ってしまう。

「ねぇ!なんでです!?奥様!!俺楽しかったのに!」

肩をガタガタ揺らされる。力強いなぁ、なんて思っていると、リヴィエンが泣きそうな顔をしているのが見えた。

「どうしたリヴィエン、綺麗な琥珀の瞳が落っこちそうだぞ。」

「っ、!茶化さないでくださいよ!………旦那様と何かありましたか?」

流石リヴィエン、勘がいい。
俺は夫婦の関係を語るのは少し引け目を感じたが、全部彼に話す事にした。

「…は??旦那様殺しますか??」

「恐ろしい事を言ってくれるなリヴィエン、俺がこうだから悪いんだ。」

そう言ったら馬鹿を言うなとリヴィエンが噛み付いてきた。

「そんな訳ないです!奥様は旦那様の為に全部我慢してきたじゃないですか!
それに…、俺の恋…バナにも付き合ってくれましたし…。」

リヴィエンはα同士のカップルで、相手の仕事が一段落済んだら結婚するらしい。
ただ、向こうが性に奔放な人で、いつ自分に飽きて捨てられるかが怖いんだと。
俺も旦那様に捨てられるのが怖いと言ったら、「じゃあ、そんときは二人で一緒に住みましょう。」って言ってくれた。

「とりあえず、料理辞めんのは保留にしてもらっても?奥様がここに来てくれないと、お話もできないんで……」

確かにそうだとうなずく。一応旦那様の次に偉いのが俺なので、気軽に料理長から会いにいく事はできない。


「奥様…俺は貴方を愛して居ます。家族愛とか…敬愛とかそんなもんですけど、俺が居ます。もっと頼って。」

思わず嬉しくて、俺の顔はにへっと笑った。
そうだ、俺には味方がいる。旦那様への気持ちを忘れられなくても、彼がいれば大丈夫なんじゃないだろうか___。












それから何事もなく日が過ぎ、『愛の言葉』を囁くのをやめた日から、一週間が経とうとしていた。




―――
誤字報告ありがとうございます。
一部修正を致しました。
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