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第四章『葵と結衣』
第四章最終話「全責任は彼女にある」
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「…………ちょっと、やりすぎましたかね?」
「そうだね、反省しよう。次からは5分休憩挟んでいこうか」
「5分じゃちょっと長いです。2分でお願いします」
まったく反省していない二人が、すやすやと眠っている結衣を眺める。
休憩を挟むとかいう以前に、何度もやること自体がやりすぎなのだが。自分たちには通用しない常識だ。
秘所からは白い液が溢れ出ていて、とんでもなく官能的だった。
――やばい。
「……ああ、また勃ちそう。もう一回その中に出したい」
「反省するのではなかったのですか?」
言いながら、葵は中途半端に脱いでいた服を下ろして、裸になる。
「……なんで脱いでるの? 葵も反省しないことにしたの?」
「違います、シャワーを浴びてきます。結衣様はお任せしてもよろしいですか?」
「それはいいけど、警戒心の欠片もないね」
「はあ? それ、私に言っているのですか? 新様ってあれですよね、結衣様以外には不能でしょう?――警戒する必要あります?」
「……僕も冗談で言ったけど、君に言われたくないなあ」
新は苦笑する。
もちろん葵が裸になろうが誘ってこようが、僕はその気には全くならないし、彼女の言う通り結衣以外で反応しないのは事実だった。
――しかしだ。
そういう葵こそ、結衣以外で興奮することも、濡れることもないんじゃないの?
ツッコミを入れようとしたら、葵は急に真面目な顔をして僕を見た。
「ありがとうございます」
「――え?」
「結衣様のことです。本当は私など、間に入れたくなかったでしょう?」
葵の言葉に、新は思わず笑う。
「葵が僕と同じくらい結衣を好きなこと、知っているよ。――あの夏休みずっと僕らを見ていたのも知ってるし、結衣と何を約束したかも知ってる」
「……え……気付いていたのですか…………?」
とても信じられない、といった表情だった。
よほど自分の能力を過信していたのだろう。気づかれる訳がないと。
たしかに葵は優秀だ。
――だが、あのころ葵はまだ修行をしている最中で。そしてなんだかんだ言って十六歳の少女だった。
彼女が思っているほど、その能力は完璧ではなかったのだ。
逆に僕が、結衣と葵の出会いを隠れて見ていたことに、気づかないくらいに。
「僕のこと応援したくせに、結衣と『三人でなかよく』なんて、とんでもない約束してくれちゃって~」
「……申し訳ないです」
怒ってみせる新に、小さくなって謝る葵。さっきまでの威勢はどこにいったのか。
まあ、彼女は彼女なりに、本当に悪いと思っているのだろう。それでも結衣が好きで、約束してしまった。
でもとりあえず、全裸で謝るのはやめて? いや僕も下半身出しているけど。
「――いいよ。ほかでもない、結衣が言ったのだから」
葵がそうしたように、僕も結衣のせいにすることにしよう。
全責任は結衣にとっていただく。
「……ありがとうございます。私、とても嬉しいです。――では結衣様、おやすみなさい」
まだ納得がいっていないような、しかしそれでも嬉しそうに笑顔をみせる葵。
眠っている結衣の頬にキスをして、葵は部屋を出ていった。裸で。
「引っ越してはじめての夜なのに、ご飯抜きにしちゃってごめんね。結衣……」
結衣を寝室に連れて行こうと抱き上げながら、寝ている彼女に声をかける。
「んん……ごはん……おにく………‥」
「お肉?」
眠ったまま、結衣はもごもごと、うわ言のようにぼやいた。
――本当におにぎりばかり食べていたのだろうか。
ちゃんと食べさせてあげないと。改めて誓いながらも、寝言を言うその姿があまりに可愛くて、新はしばらく結衣を抱きしめていた。
――第五章につづく――
「そうだね、反省しよう。次からは5分休憩挟んでいこうか」
「5分じゃちょっと長いです。2分でお願いします」
まったく反省していない二人が、すやすやと眠っている結衣を眺める。
休憩を挟むとかいう以前に、何度もやること自体がやりすぎなのだが。自分たちには通用しない常識だ。
秘所からは白い液が溢れ出ていて、とんでもなく官能的だった。
――やばい。
「……ああ、また勃ちそう。もう一回その中に出したい」
「反省するのではなかったのですか?」
言いながら、葵は中途半端に脱いでいた服を下ろして、裸になる。
「……なんで脱いでるの? 葵も反省しないことにしたの?」
「違います、シャワーを浴びてきます。結衣様はお任せしてもよろしいですか?」
「それはいいけど、警戒心の欠片もないね」
「はあ? それ、私に言っているのですか? 新様ってあれですよね、結衣様以外には不能でしょう?――警戒する必要あります?」
「……僕も冗談で言ったけど、君に言われたくないなあ」
新は苦笑する。
もちろん葵が裸になろうが誘ってこようが、僕はその気には全くならないし、彼女の言う通り結衣以外で反応しないのは事実だった。
――しかしだ。
そういう葵こそ、結衣以外で興奮することも、濡れることもないんじゃないの?
ツッコミを入れようとしたら、葵は急に真面目な顔をして僕を見た。
「ありがとうございます」
「――え?」
「結衣様のことです。本当は私など、間に入れたくなかったでしょう?」
葵の言葉に、新は思わず笑う。
「葵が僕と同じくらい結衣を好きなこと、知っているよ。――あの夏休みずっと僕らを見ていたのも知ってるし、結衣と何を約束したかも知ってる」
「……え……気付いていたのですか…………?」
とても信じられない、といった表情だった。
よほど自分の能力を過信していたのだろう。気づかれる訳がないと。
たしかに葵は優秀だ。
――だが、あのころ葵はまだ修行をしている最中で。そしてなんだかんだ言って十六歳の少女だった。
彼女が思っているほど、その能力は完璧ではなかったのだ。
逆に僕が、結衣と葵の出会いを隠れて見ていたことに、気づかないくらいに。
「僕のこと応援したくせに、結衣と『三人でなかよく』なんて、とんでもない約束してくれちゃって~」
「……申し訳ないです」
怒ってみせる新に、小さくなって謝る葵。さっきまでの威勢はどこにいったのか。
まあ、彼女は彼女なりに、本当に悪いと思っているのだろう。それでも結衣が好きで、約束してしまった。
でもとりあえず、全裸で謝るのはやめて? いや僕も下半身出しているけど。
「――いいよ。ほかでもない、結衣が言ったのだから」
葵がそうしたように、僕も結衣のせいにすることにしよう。
全責任は結衣にとっていただく。
「……ありがとうございます。私、とても嬉しいです。――では結衣様、おやすみなさい」
まだ納得がいっていないような、しかしそれでも嬉しそうに笑顔をみせる葵。
眠っている結衣の頬にキスをして、葵は部屋を出ていった。裸で。
「引っ越してはじめての夜なのに、ご飯抜きにしちゃってごめんね。結衣……」
結衣を寝室に連れて行こうと抱き上げながら、寝ている彼女に声をかける。
「んん……ごはん……おにく………‥」
「お肉?」
眠ったまま、結衣はもごもごと、うわ言のようにぼやいた。
――本当におにぎりばかり食べていたのだろうか。
ちゃんと食べさせてあげないと。改めて誓いながらも、寝言を言うその姿があまりに可愛くて、新はしばらく結衣を抱きしめていた。
――第五章につづく――
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