うちの店長レイプ犯!?

貝鳴みづす

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休息話『三人の、聖なる夜に』

「クリスマスプレゼント最終話」★

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「結衣、出すよっ」 
 
 我慢出来なくなったようで、新は動きを早めてくる。
 当然のように、中に出す気のようだ。

「んぁっ、あぅぅっ……!」

 私の返事を待つことなく、奥に精が放たれる。
 はあう、熱いの注がれるのきもちい……あたま、まっしろになる……。
 
「結衣、すき」
「……わたしも、好きです」
 
 お互い愛を確かめあって。
 繋がったまま、暫くキスしつづけた。





「もう遅いし寝ようか」
「……あの、ちょっと待ってくれますか?」

 一緒にシャワーを浴びて、寝ようとする新に言う。
 気がかりなことが一つあった。

 隣の部屋へ行く。私の後ろを新がついてきていた。
 特に何かしていた形跡はなく、ソファで座ったまま目を閉じている葵さん。
 こちらに気付くと、にこりと微笑う。
 そしてまたしても、とんでもないことを言ってくる。

「あ、もう終わりました? 今日は特別早かったですね」
「……葵、ちょっと外いこうか」

 笑顔には笑顔で。新は葵さんに、若干引きつった笑みを返す。
 ああどうして、こうなるの……?
 私は二人の間に立つ。

「喧嘩はなしです!――葵さん、一緒に寝ましょう」

 その言葉が予想外だったのか、きょとんとする葵さん。
 私は続けた。

「せっかく三人でいるのに、葵さん一人にしちゃ、意味ないじゃないですか。クリスマスに一人とか、寂しいです」
「結衣様……」

 少し困った表情を見せる葵さんは、静かに首を横に振った。

「とても素敵な提案ですが、それはだめです。初めてのクリスマスに、無関係な私が一緒にいるのは」
「いやです、一緒に寝ます」
「……本当にいいのですか。私はただの」
「私が一緒に寝たいんですっ!」
「――ああ、そういうことでしたか」

 何か納得したように、ポンと手を打つ葵さん。

「新様じゃ足りなかったということですね? それならお任せ下さい、何時間でもお付き合いします」
「えっ?……まっ、待って!! そういう意味ではないです!!」

 とんでもない誤解に、私は慌てて否定した。
 これ以上は体がもたないです! 
 勿論それは冗談だったようで、葵さんは不安げに新を見る。

「新様……」
「結衣がいいって言ってるんだから、いいよ。君の主人は結衣でしょ」

 葵さんにそう言う新。
 その言葉に、葵さんは口元に手を当てて、苦い顔をしながら独り言のように呟く。

「……三人で寝るってことは、間接的に新様と寝るってことになりますね……」
「…………嫌なら一人で寝てくれても、僕は一向に構わないよ??」

 またしても険悪なムードになりかけたので、私は「まあまあ」と話に割り込んだ。

「実は私もプレゼントがあるんですけど」

 おずおずと、私は鞄から三つの小さな紙袋をとりだす。
 中身は犬と鳥と兎のストラップ。
 羊の毛で作ったもので、私の自信作である。
 私はそのうちの犬を新に、鳥を葵さんに渡した。

「新がいぬ年、葵さんがとり年なので、犬と鳥を作りました! うさぎは私です」
「犬、鳥、兎……」
「作ったんですか? 結衣様が??」

 紙袋を開けて、出てきたモフモフの物体を見て、心の底から驚いている様子の二人。
 え、なんでそんなに驚くの? 私が手作りしたらおかしいの??
 地味に傷付く……。

「ありがとう、大切にするよ」
「有難うございます」

 お礼を言われ、とりあえずほっとする。
 それにしても。私は二人を交互に見た。
 プレゼントを十二支にしようと思ったとき、改めて自分と二人との年齢差を自覚して驚いた。
 二人からしたら、私は子供のようなものなのだろうな。
 いや、見た目じゃなくてね。……見た目もだけど。
 そんなことを考えている横で、二人は向かい合ってストラップを眺めていた。

「たしかに結衣は兎っぽいな、寂しがりだし、えっちだし」
「新様は柴犬ですか。ちっちゃいし弱そうですね。新様はあまり吠えないですけど、真面目すぎて、他人に懐かないところがそっくりです」
「……葵なんて、真っ黒の鶏だろう。その鶏、『この世で最も黒い生物』って言われてるやつでしょ。臓器も骨も、なんなら子供のときから――ヒヨコ時代から黒いらしいじゃないか」
「……」
「……」

 お互いの口撃に、黙する二人。
 ……ああ。十二支、ミスったかな。
 
「喧嘩はなしって言ったじゃないですか……。もう寝ちゃいましょう、明日も仕事ですよ」

 私は二人の手を取って、引っ張った。
 これには文句を言わず、ついてくる二人。
 隣の部屋に戻り、三人でベッドに入る。どでかいベッドだったので、三人でも十分な広さだった。

 背が高くてスタイルのいい男女――に挟まれる、ちっこい私。
 ……うう、この図、どう見ても親子なんですけど。

「今、親子みたいって思いませんでした?」

 心を読んでくる葵さん。
 
「勘違いしないで下さいね。私の主人は結衣様です」
「僕だって、結衣の主人なのだから、結衣しか見ていないよ」

 左右から板挟みに合う。ああ、とても眠れない。

「新、葵さん。いい子にして寝ないと、サンタさん来ませんよ」

 私は二人に呟く。
 くすくすと微笑う葵さん。新も同じく笑みを浮かべている。

「なに言ってるんですか、結衣様」
「サンタさんなら、ここにいるでしょ」

 ――え?
 私が言葉にする前に、片側の腕に新、反対の腕に葵さんが抱きついてくる。

「淫乱サンタさん捕まえた」
「離しませんよ」

 もうサンタコスプレはしていないが、彼らにとって、私はサンタに見えるようで。
 たしかにサンタ姿になったし、プレゼント扱いされたし、私からもプレゼントしたけど。

「あぁ~~~~っ! ね、寝れないじゃないですか……っ!」

 叫ぶが、返事がない。
 ……あれ?
 左右を見ると、新も葵さんも、私にくっついたまま、眠りに落ちてしまっていた。
 なにこれ、新手の拷問?
 ドキドキして、体が熱くなるのを感じる。

 ――でも。
 こういうのも悪くない。
 何か、心が気持ちいいもので満たされていく。
 どうか、こんな日々が続きますように。

「メリークリスマスです、新、葵さん」


ーーー「クリスマスプレゼント」完ーーー
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