57 / 78
休息話『三人の、聖なる夜に』
「クリスマスプレゼント最終話」★
しおりを挟む
「結衣、出すよっ」
我慢出来なくなったようで、新は動きを早めてくる。
当然のように、中に出す気のようだ。
「んぁっ、あぅぅっ……!」
私の返事を待つことなく、奥に精が放たれる。
はあう、熱いの注がれるのきもちい……あたま、まっしろになる……。
「結衣、すき」
「……わたしも、好きです」
お互い愛を確かめあって。
繋がったまま、暫くキスしつづけた。
※
「もう遅いし寝ようか」
「……あの、ちょっと待ってくれますか?」
一緒にシャワーを浴びて、寝ようとする新に言う。
気がかりなことが一つあった。
隣の部屋へ行く。私の後ろを新がついてきていた。
特に何かしていた形跡はなく、ソファで座ったまま目を閉じている葵さん。
こちらに気付くと、にこりと微笑う。
そしてまたしても、とんでもないことを言ってくる。
「あ、もう終わりました? 今日は特別早かったですね」
「……葵、ちょっと外いこうか」
笑顔には笑顔で。新は葵さんに、若干引きつった笑みを返す。
ああどうして、こうなるの……?
私は二人の間に立つ。
「喧嘩はなしです!――葵さん、一緒に寝ましょう」
その言葉が予想外だったのか、きょとんとする葵さん。
私は続けた。
「せっかく三人でいるのに、葵さん一人にしちゃ、意味ないじゃないですか。クリスマスに一人とか、寂しいです」
「結衣様……」
少し困った表情を見せる葵さんは、静かに首を横に振った。
「とても素敵な提案ですが、それはだめです。初めてのクリスマスに、無関係な私が一緒にいるのは」
「いやです、一緒に寝ます」
「……本当にいいのですか。私はただの」
「私が一緒に寝たいんですっ!」
「――ああ、そういうことでしたか」
何か納得したように、ポンと手を打つ葵さん。
「新様じゃ足りなかったということですね? それならお任せ下さい、何時間でもお付き合いします」
「えっ?……まっ、待って!! そういう意味ではないです!!」
とんでもない誤解に、私は慌てて否定した。
これ以上は体がもたないです!
勿論それは冗談だったようで、葵さんは不安げに新を見る。
「新様……」
「結衣がいいって言ってるんだから、いいよ。君の主人は結衣でしょ」
葵さんにそう言う新。
その言葉に、葵さんは口元に手を当てて、苦い顔をしながら独り言のように呟く。
「……三人で寝るってことは、間接的に新様と寝るってことになりますね……」
「…………嫌なら一人で寝てくれても、僕は一向に構わないよ??」
またしても険悪なムードになりかけたので、私は「まあまあ」と話に割り込んだ。
「実は私もプレゼントがあるんですけど」
おずおずと、私は鞄から三つの小さな紙袋をとりだす。
中身は犬と鳥と兎のストラップ。
羊の毛で作ったもので、私の自信作である。
私はそのうちの犬を新に、鳥を葵さんに渡した。
「新が戌年、葵さんが酉年なので、犬と鳥を作りました! 兎は私です」
「犬、鳥、兎……」
「作ったんですか? 結衣様が??」
紙袋を開けて、出てきたモフモフの物体を見て、心の底から驚いている様子の二人。
え、なんでそんなに驚くの? 私が手作りしたらおかしいの??
地味に傷付く……。
「ありがとう、大切にするよ」
「有難うございます」
お礼を言われ、とりあえずほっとする。
それにしても。私は二人を交互に見た。
プレゼントを十二支にしようと思ったとき、改めて自分と二人との年齢差を自覚して驚いた。
二人からしたら、私は子供のようなものなのだろうな。
いや、見た目じゃなくてね。……見た目もだけど。
そんなことを考えている横で、二人は向かい合ってストラップを眺めていた。
「たしかに結衣は兎っぽいな、寂しがりだし、えっちだし」
「新様は柴犬ですか。ちっちゃいし弱そうですね。新様はあまり吠えないですけど、真面目すぎて、他人に懐かないところがそっくりです」
「……葵なんて、真っ黒の鶏だろう。その鶏、『この世で最も黒い生物』って言われてるやつでしょ。臓器も骨も、なんなら子供のときから――ヒヨコ時代から黒いらしいじゃないか」
「……」
「……」
お互いの口撃に、黙する二人。
……ああ。十二支、ミスったかな。
「喧嘩はなしって言ったじゃないですか……。もう寝ちゃいましょう、明日も仕事ですよ」
私は二人の手を取って、引っ張った。
これには文句を言わず、ついてくる二人。
隣の部屋に戻り、三人でベッドに入る。どでかいベッドだったので、三人でも十分な広さだった。
背が高くてスタイルのいい男女――に挟まれる、ちっこい私。
……うう、この図、どう見ても親子なんですけど。
「今、親子みたいって思いませんでした?」
心を読んでくる葵さん。
「勘違いしないで下さいね。私の主人は結衣様です」
「僕だって、結衣の主人なのだから、結衣しか見ていないよ」
左右から板挟みに合う。ああ、とても眠れない。
「新、葵さん。いい子にして寝ないと、サンタさん来ませんよ」
私は二人に呟く。
くすくすと微笑う葵さん。新も同じく笑みを浮かべている。
「なに言ってるんですか、結衣様」
「サンタさんなら、ここにいるでしょ」
――え?
私が言葉にする前に、片側の腕に新、反対の腕に葵さんが抱きついてくる。
「淫乱サンタさん捕まえた」
「離しませんよ」
もうサンタコスプレはしていないが、彼らにとって、私はサンタに見えるようで。
たしかにサンタ姿になったし、プレゼント扱いされたし、私からもプレゼントしたけど。
「あぁ~~~~っ! ね、寝れないじゃないですか……っ!」
叫ぶが、返事がない。
……あれ?
左右を見ると、新も葵さんも、私にくっついたまま、眠りに落ちてしまっていた。
なにこれ、新手の拷問?
ドキドキして、体が熱くなるのを感じる。
――でも。
こういうのも悪くない。
何か、心が気持ちいいもので満たされていく。
どうか、こんな日々が続きますように。
「メリークリスマスです、新、葵さん」
ーーー「クリスマスプレゼント」完ーーー
我慢出来なくなったようで、新は動きを早めてくる。
当然のように、中に出す気のようだ。
「んぁっ、あぅぅっ……!」
私の返事を待つことなく、奥に精が放たれる。
はあう、熱いの注がれるのきもちい……あたま、まっしろになる……。
「結衣、すき」
「……わたしも、好きです」
お互い愛を確かめあって。
繋がったまま、暫くキスしつづけた。
※
「もう遅いし寝ようか」
「……あの、ちょっと待ってくれますか?」
一緒にシャワーを浴びて、寝ようとする新に言う。
気がかりなことが一つあった。
隣の部屋へ行く。私の後ろを新がついてきていた。
特に何かしていた形跡はなく、ソファで座ったまま目を閉じている葵さん。
こちらに気付くと、にこりと微笑う。
そしてまたしても、とんでもないことを言ってくる。
「あ、もう終わりました? 今日は特別早かったですね」
「……葵、ちょっと外いこうか」
笑顔には笑顔で。新は葵さんに、若干引きつった笑みを返す。
ああどうして、こうなるの……?
私は二人の間に立つ。
「喧嘩はなしです!――葵さん、一緒に寝ましょう」
その言葉が予想外だったのか、きょとんとする葵さん。
私は続けた。
「せっかく三人でいるのに、葵さん一人にしちゃ、意味ないじゃないですか。クリスマスに一人とか、寂しいです」
「結衣様……」
少し困った表情を見せる葵さんは、静かに首を横に振った。
「とても素敵な提案ですが、それはだめです。初めてのクリスマスに、無関係な私が一緒にいるのは」
「いやです、一緒に寝ます」
「……本当にいいのですか。私はただの」
「私が一緒に寝たいんですっ!」
「――ああ、そういうことでしたか」
何か納得したように、ポンと手を打つ葵さん。
「新様じゃ足りなかったということですね? それならお任せ下さい、何時間でもお付き合いします」
「えっ?……まっ、待って!! そういう意味ではないです!!」
とんでもない誤解に、私は慌てて否定した。
これ以上は体がもたないです!
勿論それは冗談だったようで、葵さんは不安げに新を見る。
「新様……」
「結衣がいいって言ってるんだから、いいよ。君の主人は結衣でしょ」
葵さんにそう言う新。
その言葉に、葵さんは口元に手を当てて、苦い顔をしながら独り言のように呟く。
「……三人で寝るってことは、間接的に新様と寝るってことになりますね……」
「…………嫌なら一人で寝てくれても、僕は一向に構わないよ??」
またしても険悪なムードになりかけたので、私は「まあまあ」と話に割り込んだ。
「実は私もプレゼントがあるんですけど」
おずおずと、私は鞄から三つの小さな紙袋をとりだす。
中身は犬と鳥と兎のストラップ。
羊の毛で作ったもので、私の自信作である。
私はそのうちの犬を新に、鳥を葵さんに渡した。
「新が戌年、葵さんが酉年なので、犬と鳥を作りました! 兎は私です」
「犬、鳥、兎……」
「作ったんですか? 結衣様が??」
紙袋を開けて、出てきたモフモフの物体を見て、心の底から驚いている様子の二人。
え、なんでそんなに驚くの? 私が手作りしたらおかしいの??
地味に傷付く……。
「ありがとう、大切にするよ」
「有難うございます」
お礼を言われ、とりあえずほっとする。
それにしても。私は二人を交互に見た。
プレゼントを十二支にしようと思ったとき、改めて自分と二人との年齢差を自覚して驚いた。
二人からしたら、私は子供のようなものなのだろうな。
いや、見た目じゃなくてね。……見た目もだけど。
そんなことを考えている横で、二人は向かい合ってストラップを眺めていた。
「たしかに結衣は兎っぽいな、寂しがりだし、えっちだし」
「新様は柴犬ですか。ちっちゃいし弱そうですね。新様はあまり吠えないですけど、真面目すぎて、他人に懐かないところがそっくりです」
「……葵なんて、真っ黒の鶏だろう。その鶏、『この世で最も黒い生物』って言われてるやつでしょ。臓器も骨も、なんなら子供のときから――ヒヨコ時代から黒いらしいじゃないか」
「……」
「……」
お互いの口撃に、黙する二人。
……ああ。十二支、ミスったかな。
「喧嘩はなしって言ったじゃないですか……。もう寝ちゃいましょう、明日も仕事ですよ」
私は二人の手を取って、引っ張った。
これには文句を言わず、ついてくる二人。
隣の部屋に戻り、三人でベッドに入る。どでかいベッドだったので、三人でも十分な広さだった。
背が高くてスタイルのいい男女――に挟まれる、ちっこい私。
……うう、この図、どう見ても親子なんですけど。
「今、親子みたいって思いませんでした?」
心を読んでくる葵さん。
「勘違いしないで下さいね。私の主人は結衣様です」
「僕だって、結衣の主人なのだから、結衣しか見ていないよ」
左右から板挟みに合う。ああ、とても眠れない。
「新、葵さん。いい子にして寝ないと、サンタさん来ませんよ」
私は二人に呟く。
くすくすと微笑う葵さん。新も同じく笑みを浮かべている。
「なに言ってるんですか、結衣様」
「サンタさんなら、ここにいるでしょ」
――え?
私が言葉にする前に、片側の腕に新、反対の腕に葵さんが抱きついてくる。
「淫乱サンタさん捕まえた」
「離しませんよ」
もうサンタコスプレはしていないが、彼らにとって、私はサンタに見えるようで。
たしかにサンタ姿になったし、プレゼント扱いされたし、私からもプレゼントしたけど。
「あぁ~~~~っ! ね、寝れないじゃないですか……っ!」
叫ぶが、返事がない。
……あれ?
左右を見ると、新も葵さんも、私にくっついたまま、眠りに落ちてしまっていた。
なにこれ、新手の拷問?
ドキドキして、体が熱くなるのを感じる。
――でも。
こういうのも悪くない。
何か、心が気持ちいいもので満たされていく。
どうか、こんな日々が続きますように。
「メリークリスマスです、新、葵さん」
ーーー「クリスマスプレゼント」完ーーー
0
お気に入りに追加
355
あなたにおすすめの小説
妻がエロくて死にそうです
菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。
美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。
こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。
それは……
限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常
親戚のおじさんに犯された!嫌がる私の姿を見ながら胸を揉み・・・
マッキーの世界
大衆娯楽
親戚のおじさんの家に住み、大学に通うことになった。
「おじさん、卒業するまで、どうぞよろしくお願いします」
「ああ、たっぷりとかわいがってあげるよ・・・」
「・・・?は、はい」
いやらしく私の目を見ながらニヤつく・・・
その夜。
女の子がひたすら気持ちよくさせられる短編集
春
恋愛
様々な設定で女の子がえっちな目に遭うお話。詳しくはタグご覧下さい。モロ語あり一話完結型。注意書きがない限り各話につながりはありませんのでどこからでも読めます。pixivにも同じものを掲載しております。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
【R18】カッコウは夜、羽ばたく 〜従姉と従弟の托卵秘事〜
船橋ひろみ
恋愛
【エロシーンには※印がついています】
お急ぎの方や濃厚なエロシーンが見たい方はタイトルに「※」がついている話をどうぞ。読者の皆様のお気に入りのお楽しみシーンを見つけてくださいね。
表紙、挿絵はAIイラストをベースに私が加工しています。著作権は私に帰属します。
【ストーリー】
見覚えのあるレインコート。鎌ヶ谷翔太の胸が高鳴る。
会社を半休で抜け出した平日午後。雨がそぼ降る駅で待ち合わせたのは、従姉の人妻、藤沢あかねだった。
手をつないで歩きだす二人には、翔太は恋人と、あかねは夫との、それぞれ愛の暮らしと違う『もう一つの愛の暮らし』がある。
親族同士の結ばれないが離れがたい、二人だけのひそやかな関係。そして、会うたびにさらけだす『むき出しの欲望』は、お互いをますます離れがたくする。
いつまで二人だけの関係を続けられるか、という不安と、従姉への抑えきれない愛情を抱えながら、翔太はあかねを抱き寄せる……
托卵人妻と従弟の青年の、抜け出すことができない愛の関係を描いた物語。
◆登場人物
・ 鎌ヶ谷翔太(26) パルサーソリューションズ勤務の営業マン
・ 藤沢あかね(29) 三和ケミカル勤務の経営企画員
・ 八幡栞 (28) パルサーソリューションズ勤務の業務管理部員。翔太の彼女
・ 藤沢茂 (34) シャインメディカル医療機器勤務の経理マン。あかねの夫。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる