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第三章『新と結衣』
第九話「ちょっと待って!」
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なんだか身体が熱い。
「ん……っ」
太ももをそっと撫でられるような感覚がして、思わず声が漏れる。
夢を見ているのか。
「んあっ……!」
乳首がぞくぞくする。まるで舌で舐められているような。
なんて淫乱な夢だろう。いや、リアルすぎる。
「て、店長……っ?」
薄く目を開けると、そこにいたのは新ではなく、とんでもなく美人の女の人だった。――裸の。
段々意識がはっきりしてきて、結衣は目を見開いた。
「あ。お目覚めになりましたか、結衣様」
「――……!?」
絶句する結衣。
裸でベッドにいたようだが、暑いくらいに温かい。それは、暖房がついているからだけではないようだが。
(この美女は誰だっけ。たしか店長の、市松さんとかいう人で。えっとそれで、なんでお互い裸でベッドにいるんだっけ)
頭の中が疑問符であふれかえる。
目覚めたばかりなのに、倒れてしまいそうだ。
「あ……私、飛び降りたはずなのに……また助けてくれたんですか」
どうにか少し思い出し、そして俯いた。
まだ生きている。それがつらかった。
「なんで助けるんですか。ほっといてって言ったじゃないですか」
「はい。ですが、新様に結衣様をお守りするよう仰せつかりましたので」
市松は淡々と語る。
「仕事、ってことですか。それで、ここはどこですか」
「そこらへんの、なんの変哲もないホテルです」
「ラブが付くホテルですか」
「ラブが付くホテルです」
「……」
「……」
数十秒、訪れる沈黙。
「それで」
自分の素肌を布団で隠しながら、結衣はまるで獣を見るような目で、市松を睨んだ。
「そこまではわかります。介抱してくれたんですよね。で。どうして、私は襲われていたのでしょう」
「誤解です」
心外であるとばかりに、市松は説明する。
「少しでも温めて差し上げようと。冷えた体は、素肌で温め合えと、幼い頃から教え込まれておりますので」
「十分温かいじゃないですか!!」
絶叫する結衣。
「よろしいじゃありませんか、味見くらい」
開き直ったのか、市松は微笑む。
「よくな……ひゃっ」
まだ叫ぼうとする結衣を黙らせるかのように、市松は彼女を押し倒した。
市松の長い黒髪が流れて、結衣の視界を奪う。それはまるで、二人を外界から隔離するカーテンのようだった。
「そんなことより。私になにか、聞くことがあるのではありませんか?」
「やっ……」
馬乗りされ、結衣は身動きができない。
「私に見覚えが、あるのでしょう?」
「ん……っ」
太ももをそっと撫でられるような感覚がして、思わず声が漏れる。
夢を見ているのか。
「んあっ……!」
乳首がぞくぞくする。まるで舌で舐められているような。
なんて淫乱な夢だろう。いや、リアルすぎる。
「て、店長……っ?」
薄く目を開けると、そこにいたのは新ではなく、とんでもなく美人の女の人だった。――裸の。
段々意識がはっきりしてきて、結衣は目を見開いた。
「あ。お目覚めになりましたか、結衣様」
「――……!?」
絶句する結衣。
裸でベッドにいたようだが、暑いくらいに温かい。それは、暖房がついているからだけではないようだが。
(この美女は誰だっけ。たしか店長の、市松さんとかいう人で。えっとそれで、なんでお互い裸でベッドにいるんだっけ)
頭の中が疑問符であふれかえる。
目覚めたばかりなのに、倒れてしまいそうだ。
「あ……私、飛び降りたはずなのに……また助けてくれたんですか」
どうにか少し思い出し、そして俯いた。
まだ生きている。それがつらかった。
「なんで助けるんですか。ほっといてって言ったじゃないですか」
「はい。ですが、新様に結衣様をお守りするよう仰せつかりましたので」
市松は淡々と語る。
「仕事、ってことですか。それで、ここはどこですか」
「そこらへんの、なんの変哲もないホテルです」
「ラブが付くホテルですか」
「ラブが付くホテルです」
「……」
「……」
数十秒、訪れる沈黙。
「それで」
自分の素肌を布団で隠しながら、結衣はまるで獣を見るような目で、市松を睨んだ。
「そこまではわかります。介抱してくれたんですよね。で。どうして、私は襲われていたのでしょう」
「誤解です」
心外であるとばかりに、市松は説明する。
「少しでも温めて差し上げようと。冷えた体は、素肌で温め合えと、幼い頃から教え込まれておりますので」
「十分温かいじゃないですか!!」
絶叫する結衣。
「よろしいじゃありませんか、味見くらい」
開き直ったのか、市松は微笑む。
「よくな……ひゃっ」
まだ叫ぼうとする結衣を黙らせるかのように、市松は彼女を押し倒した。
市松の長い黒髪が流れて、結衣の視界を奪う。それはまるで、二人を外界から隔離するカーテンのようだった。
「そんなことより。私になにか、聞くことがあるのではありませんか?」
「やっ……」
馬乗りされ、結衣は身動きができない。
「私に見覚えが、あるのでしょう?」
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