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第三章『新と結衣』
第四話「過去」
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「ううううーーー、ああああーーーー」
結衣は唸っていた。
相変わらずなにもないワンルームで、コンビニで買ってきた巨大おにぎりにかじりつく。
あれから新は、所構わず手を出してくる。
職場で結構な時間いじられていても、行為中、なぜか田中はそこにいない。おかげで結衣はされたい放題だ。
遊ばれているのだと、そうとしか思えないのは理由があった。
毎日のように夢にみる。
家族のこと。辞めた会社のこと。別れた元カレのこと。
両親は結衣が中学のとき離婚して、母親についていった。
しかしすぐに母親には恋人ができて、結婚した。そしてその二人に子供ができた。
――よくある話だ。
結衣はその家族の中で、ただただ、邪魔だったのだ。
高校を卒業して、結衣は逃げるように家を出た。
適当に就職した会社。
要領が悪く人付き合いが苦手な結衣は、ここでも孤立した。
孤立どころか、イジメられていた。
そこで出会ったのが元カレだった。
落ち込んでいる結衣に、優しくしてくれる年上の彼。
社内恋愛はよくないと思いつつも、結衣は彼に恋をした。それから当然のように付き合って、当然のように同棲をはじめた。
それが一体どれだけの時間だったのか。もはや覚えていないが、幸せなものだった。
だが、彼は変わったのだ。
帰宅は遅くなり、金を浪費し、浮気までしていると知ったときは、なにもかもが信じられなくなった。
別れよう。
そう思って家を出た。
ないお金をかき集めて、今の家に引っ越した。
しかし、ことはそんなに簡単なものではなかったのだ。
――社内恋愛。
それがいけなかった。
上司だった元カレと、別れてからも顔を合わせないといけない。
気弱な結衣は、耐えられず会社を辞めた。
そんなことがあったばかりなのに。
気づけばまた、結衣は社内恋愛をしている。
「店長は……」
新は優しい。自分を好いている。
けれどやはり、信じられない。
なにより、自分の気持ちがわからなかった。
「私は店長のこと、好きなの?」
自分に問いかけるように、結衣はつぶやく。
レイプされて、告白されて、勢いで付き合った。
まぁ、出会い方など大した問題ではない。
新が自分のことを好きで、自分もまたそうならば、それでいい。
しかしやばい金持ちと知って、ショックをうけた。やはり遊ばれているのだと、疑ってしまった。
だから別れようとしたのに。
新は、半ば強引に結衣をねじ伏せて、付き合いは続くことになった。
――これは果たして、恋愛といえるのか。
結衣は唸っていた。
相変わらずなにもないワンルームで、コンビニで買ってきた巨大おにぎりにかじりつく。
あれから新は、所構わず手を出してくる。
職場で結構な時間いじられていても、行為中、なぜか田中はそこにいない。おかげで結衣はされたい放題だ。
遊ばれているのだと、そうとしか思えないのは理由があった。
毎日のように夢にみる。
家族のこと。辞めた会社のこと。別れた元カレのこと。
両親は結衣が中学のとき離婚して、母親についていった。
しかしすぐに母親には恋人ができて、結婚した。そしてその二人に子供ができた。
――よくある話だ。
結衣はその家族の中で、ただただ、邪魔だったのだ。
高校を卒業して、結衣は逃げるように家を出た。
適当に就職した会社。
要領が悪く人付き合いが苦手な結衣は、ここでも孤立した。
孤立どころか、イジメられていた。
そこで出会ったのが元カレだった。
落ち込んでいる結衣に、優しくしてくれる年上の彼。
社内恋愛はよくないと思いつつも、結衣は彼に恋をした。それから当然のように付き合って、当然のように同棲をはじめた。
それが一体どれだけの時間だったのか。もはや覚えていないが、幸せなものだった。
だが、彼は変わったのだ。
帰宅は遅くなり、金を浪費し、浮気までしていると知ったときは、なにもかもが信じられなくなった。
別れよう。
そう思って家を出た。
ないお金をかき集めて、今の家に引っ越した。
しかし、ことはそんなに簡単なものではなかったのだ。
――社内恋愛。
それがいけなかった。
上司だった元カレと、別れてからも顔を合わせないといけない。
気弱な結衣は、耐えられず会社を辞めた。
そんなことがあったばかりなのに。
気づけばまた、結衣は社内恋愛をしている。
「店長は……」
新は優しい。自分を好いている。
けれどやはり、信じられない。
なにより、自分の気持ちがわからなかった。
「私は店長のこと、好きなの?」
自分に問いかけるように、結衣はつぶやく。
レイプされて、告白されて、勢いで付き合った。
まぁ、出会い方など大した問題ではない。
新が自分のことを好きで、自分もまたそうならば、それでいい。
しかしやばい金持ちと知って、ショックをうけた。やはり遊ばれているのだと、疑ってしまった。
だから別れようとしたのに。
新は、半ば強引に結衣をねじ伏せて、付き合いは続くことになった。
――これは果たして、恋愛といえるのか。
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