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第二章『どうして私と』
第四話「ホテル?」
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雪の降る中、そうめん流しを楽しんで、二人は車に戻った。
「そうめんすごく美味しかったです、鯉さんには申し訳ないけど、鯉こくも美味しかった」
非日常的なデートに興奮冷めやらぬといった感じで、結衣はにこにこしている。
「満足して頂けたようで何より。さて、食事も終わったし」
「?」
まだ頭の中でそうめんが流れている結衣。
そんな彼女の耳元に近づいて、新はそっと囁いた。
「ホテル予約してあるけど、行く? それとも帰る?」
「―――っ」
かぁぁっと、顔が真っ赤になるのが分かった。
「明日休みだし、ゆっくりいぢめてあげるよ」
真正面から目を見られて、結衣は思わず顔を背ける。
それをぐっと引き寄せられて、軽く触れるくらいの口づけをされた。
「あ……」
すぐに離れてしまい、もどかしさに、むずむずする。
「どうする?」
「……い、行きます……」
「そうこなくちゃ」
新は、俯いて何か言いたげな結衣の頭を、ポンポンと叩いた。
「山奥来ちゃったから、ホテルまでちょっと遠いよ。体力使うんだから、寝てたらいい」
「この状況下で眠れと」
難題を課されたが、意外にも、心地よい満腹感と静かな音楽と何もない景色のおかげで、いつの間にか結衣は眠りについていた。
「結衣くん、起きて、ほらほら」
「う~~ん」
ぐらぐらと揺らされて、結衣は夢の中から引っ張り出された。
「あ、ついたんですか……」
ぼーっとしたまま車を降りると、
「ホテル……?」
それはホテルというより、家だった。
それもかなり高級な。
よく見ると奥の方は海で、かなり見晴らしが良さそうだ。
周りには家らしい家はない。
おそらく町から少し離れた場所だろう。
「これホテルじゃないですよね、店長の家?」
眠気はすっかり冷めていた。
「いやぁ……うん、ごめん。まぁ別荘みたいなものなんだけど」
「べっそう――まだあるんですか」
「いや、まぁ気にせずに」
「ごめんなさい」
結衣は一歩引いて、軽く頭を下げた。
「私は店長に釣り合わないです。その、ご両親とか、私なんかが彼女とか怒ると思いますし。私は店長と違って普通なんです、普通以下です。良くしてもらって、調子に乗ってました、ごめんなさい。だから、んっ――!!」
割り込むスキを与えず言葉を吐く結衣の唇を、新は無理やりキスして塞いだ。
「んっ、んっ」
暴れる彼女を押さえつけ、そっと唇を離し、
「それ以上言ったら許さないよ、悪いお口は塞いでしまおうね」
ポケットからハンカチを取り出して、それを結衣の口に遠慮なく突っ込んだ。
「んぐっ」
「せっかく優しくしようと思ったのに。まだ早かったかな」
心底不思議そうに考える。
結衣は突然の事態に、動揺するばかりだ。
ふむ、と何かに頷いて、新は嫌がる結衣を引っ張って家の中へ入れた。
「そうめんすごく美味しかったです、鯉さんには申し訳ないけど、鯉こくも美味しかった」
非日常的なデートに興奮冷めやらぬといった感じで、結衣はにこにこしている。
「満足して頂けたようで何より。さて、食事も終わったし」
「?」
まだ頭の中でそうめんが流れている結衣。
そんな彼女の耳元に近づいて、新はそっと囁いた。
「ホテル予約してあるけど、行く? それとも帰る?」
「―――っ」
かぁぁっと、顔が真っ赤になるのが分かった。
「明日休みだし、ゆっくりいぢめてあげるよ」
真正面から目を見られて、結衣は思わず顔を背ける。
それをぐっと引き寄せられて、軽く触れるくらいの口づけをされた。
「あ……」
すぐに離れてしまい、もどかしさに、むずむずする。
「どうする?」
「……い、行きます……」
「そうこなくちゃ」
新は、俯いて何か言いたげな結衣の頭を、ポンポンと叩いた。
「山奥来ちゃったから、ホテルまでちょっと遠いよ。体力使うんだから、寝てたらいい」
「この状況下で眠れと」
難題を課されたが、意外にも、心地よい満腹感と静かな音楽と何もない景色のおかげで、いつの間にか結衣は眠りについていた。
「結衣くん、起きて、ほらほら」
「う~~ん」
ぐらぐらと揺らされて、結衣は夢の中から引っ張り出された。
「あ、ついたんですか……」
ぼーっとしたまま車を降りると、
「ホテル……?」
それはホテルというより、家だった。
それもかなり高級な。
よく見ると奥の方は海で、かなり見晴らしが良さそうだ。
周りには家らしい家はない。
おそらく町から少し離れた場所だろう。
「これホテルじゃないですよね、店長の家?」
眠気はすっかり冷めていた。
「いやぁ……うん、ごめん。まぁ別荘みたいなものなんだけど」
「べっそう――まだあるんですか」
「いや、まぁ気にせずに」
「ごめんなさい」
結衣は一歩引いて、軽く頭を下げた。
「私は店長に釣り合わないです。その、ご両親とか、私なんかが彼女とか怒ると思いますし。私は店長と違って普通なんです、普通以下です。良くしてもらって、調子に乗ってました、ごめんなさい。だから、んっ――!!」
割り込むスキを与えず言葉を吐く結衣の唇を、新は無理やりキスして塞いだ。
「んっ、んっ」
暴れる彼女を押さえつけ、そっと唇を離し、
「それ以上言ったら許さないよ、悪いお口は塞いでしまおうね」
ポケットからハンカチを取り出して、それを結衣の口に遠慮なく突っ込んだ。
「んぐっ」
「せっかく優しくしようと思ったのに。まだ早かったかな」
心底不思議そうに考える。
結衣は突然の事態に、動揺するばかりだ。
ふむ、と何かに頷いて、新は嫌がる結衣を引っ張って家の中へ入れた。
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