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2年08月
2年08月 2
しおりを挟む夏合宿の2日目。
普段の練習と内容は変わらないが、時間は長い。矢を多く撃てる。
1年たちは早く矢を撃つことに慣れようとして、練習にも集中している。
1年で1番上達しているのは、川崎だった。たまに俺の部活後の自主練に付き合うこともあるから、その成果があるんだと思う。
先生も、練習に参加する。
弓懸をして、巻き藁を何度もチャレンジしている。
毎日練習している1年たちよりは成長速度は遅いけど、その分1年たちへの刺激にもなっているみたい。
先生は今日はグレーのTシャツにハーフパンツの姿で参加だ。暑いからTシャツも汗の染みで色が変わっていた。
あのシャツ、匂いがすごそうだ。でも、大好きな先生の汗でビショビショなのは、全然不快に感じなかった。
それに、汗をかく先生の姿は、精悍だ。
ハーフパンツから伸びる脛毛がいやらしくもあるけど、意識しないようにした。
合宿2日目の夜は、バーベキューをすることにしていた。
先生の発案だ。せっかくの合宿なのに、あまりにイベントらしいものがないから、思い出に残るようにってことらしい。
合宿所である一軒家施設の小さな庭で、合計12人のバーベキューだ。
人手が多いから、準備は簡単だけど、その分食材も多い。
先生が買い込んできた大量の肉と、野菜。
1年たちは日を起こさせ、俺と先生で野菜をひたすら切った。バーベキューだから、かなりのざく切りだけど。
先生は思ったよりは包丁を使えていたけど、そこまでってわけじゃなかった。
その際中も、先生は一年と談笑したり、一緒にふざけたり。みんなの兄貴って感じだ。
「こんなもんもあるんだぜ」
「うわー!すげー!」
先生はでかい袋を取り出した。中には花火が入っていた。
高校生にもなると、花火で大はしゃぎってほどでもない。
普段の俺だったら、ただ見ているだけで、花火には手も付けなかったかもしれない。
でも、花火に火をつけると、皆不思議とテンションが上がってきた。
花火を持って走ったり、宙に字を書いたり、振り回したり。
本当に、皆でガキみたいに騒いだ。
夜。1年と共に二階の大部屋で雑魚寝だ。だけど。
今日は昨日よりもさらに暑い。暑くて寝られない。
1年たちは昨夜は深夜までしゃいでいたし、今日はバーベキューと花火もしてはしゃぎ疲れたからか、みんなあっさりと寝てしまっている。
寝息やイビキが聞こえる。うるさい訳じゃない。でも・・・どうしても眠れそうになかった。
こうなったらずっと寝られないのは経験で分かっていた。開き直って、布団から出る。気分転換に1階に下りる。
畳の部屋に電気が着いていた。
「なんだ、筒井も眠れないのか」
先生だった。あぐらをかいて、扇風機に当たっている。ビールを飲んでいる。
「うん、、あっつくて眠れないや、それより、先生、酒飲んでいいの?」
「しっ、内緒だぞ!」
先生は人差し指を口に当ててニヤッと笑う。
何となく俺も先生の横に座る。
座って気づいた。先生は上半身は白のタンクトップ、下はトランクスという下着姿だったのだ。
「先生、なんか親父みたいな恰好だね」
「暑くてたまらんからな」
「あれ、先生、今日はトランクスなんだね」
「あぁ、スーツ着ないときはたまにトランクスにしているんだ」
「そうなの?」
「あぁ。ボクサーだと、スーツのなかでパンツの収まりがいいからな。トランクスだと、スーツのなかでめくれるから、嫌なんだ。でも、夏はトランクスの方が解放感があっていいんだよな」
へぇ。自然と先生の下着事情を聞き出してしまった。たしか、前に先生の家の洗濯籠にも、トランクスがあったな。
「ボクサーだと蒸れるのがいやなんだよな・・・」
「先生、結構汗っかきだもんね。今日、Tシャツすごいことになってた」
「そうなんだよな。お前はどんなパンツ履いてんだ?」
俺もパンツを見せる。何てことない、無難な紺色のボクサーブリーフだ。
「あー、でも今日は本当にあっついね!俺も脱いじゃお!」
ちょっと緊張するが、先生の真似をするっていうのと、パンツを見せた流れで、俺はズボンを脱いだ。
先生は優しく、扇風機を首ふりモードにしてくれた。
先生と二人でパンツ一丁で。そういえば、今まで脱がしたときは先生だけだったな。先生だけ脱がすのも楽しいけど、二人でパンツ一丁というのも、親近感がわいていいもんだ。
「今時のやつはみんなボクサーだもんな」
「俺、小さいときからパンツはボクサー以外履いたことないけど・・・昔は違ったの?」
「まじか、、そういう世代なのか?俺が高校生ときはトランクスだったな。他のやつもほとんどみんなトランクスだったかな~。ボクサーのやつもいたけど、主流じゃなかったぜ。今はみんなボクサーだもんな」
「へー。じゃ、先生はずっとトランクスだったのに、途中でボクサーにかえたんだね。なんの心変わりにしたの?」
「え、何でだろ。うーん。、、、いや、その、な」
「??」
「ごほん。やっぱり、トランクスよりボクサーパンツの方が、格好いいからだな」
先生はにやにやしながら言った。
「まぁ、ピシッとしててカッコイイ感じはあるかもね。でも、それってモテたいとか、そういうこと?勝負パンツ的な?」
「そりゃ~な~」
「ふーん。てことは、これまでパンツを披露する機会があったと」
「はっはっは。企業秘密だ」
「何それ。いいじゃん、教えてよ。まぁあったんだろうけどさ」
「ふふっ」
それ以上は話してくれなさそうだ。正直知りたかった。先生の性経験。どんな感じなんだろう。大人なんだから、それなりにあるんだろうけど。普段の会話じゃ聞き出しにくい。もう少し粘ろう。
「先生は高校生のとき彼女いたの?」
「高校かぁ。いなかったな~」
「大学で初彼女?」
「ん、まぁ・・・そうだな」
「へぇー、じゃあ大学で童貞を卒業したんだね。やっぱり、セックスって気持ちいい?どうだった?」
「そうだなぁ・・・それなり、かなぁ」
「なんだよそれ。てか、さっきからテキトーな返しばっかだし」
「まぁ、色々だ!筒井はどうなんだ?」
「俺?全然。だって男子校だし、彼女いるやつの方が少ないよ」
「そっか、頑張れよ!」
にやにやとした顔で俺をてくる。なんかはぐされている気がする。
おまけに、彼女トークを振られると、俺の方が困ってしまう。こういうとき、どう返せばいいのか、本当によくわからないから苦手なんだ。
先生の体験談。もう少し具体的なところを聞き出したかったけど、これ以上は無理かな。少し角度を変えてみよう。
「頑張れるかなぁ・・・俺、彼女できそうにないから、風俗行くしかないと思うんだよね」
ブーッ! 先生が酒を吹き出した。
「お前なぁ、何いってんの?高校生なのに」
「だって、俺、今まで彼女できたことないし、これからもできそうにないし・・・」
「いや、お前まだ高校生だし、なんでそこから風俗になるわけ!?」
「先生は風俗とか行ったことある?あるんでしょ?ねぇ、先生の風俗体験談聞きたい!
「はぁ!言わねーよ!」
「えぇ、お願い!」
「言いません」
タンクトップから伸びる先生の太い腕をつかんでおねだりするが、話してくれそうになかった。
「うぅいてて・・・」先生は急に太股を抑えだした。
「どうしたの?」
「昨日の夜、筋トレしただろ?その筋肉痛が、今きたみたいだ」
「あぁ~、やっぱり無理してたんだねえ・・・って言うか一日後に筋肉痛?おっさんじゃん」
「ぐっ、まぁそうなんだよな・・・でも、30過ぎたら、みんなこんなもんだぞ!」
「そうなの?じゃあマッサージしてあげるよ」
「お・・・いいのか?」
「うん、日頃のお礼も込めて」
「でもなぁ・・・お前何かしてきそうだな。いっつも俺で遊びやがるからなぁ・・・」
「絶対なにもしないって!!」
ふりでしかないような・・・
でも、そんなことを言いながら、先生は俺に身体を預けてくれた。
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