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「ワシがエルムンドじゃ!今回の調査団の団長を任される。皆、よろしく頼むぞ!」

まるでスラッシュグリズリーを縮めて人間にしたような男がエルムンドだった。白髪交じりの長髪に長い顎髭、そして何より腕が太い。身長はそこまで高くないのに、その身体の厚みによる存在感が凄い。見た目のインパクトはアミラ張りだ。

「ジョアン。Cランクだ。今回の調査団の斥候役となる。よろしく頼む」

一方のジョアンは細身の地味な男だ。こういった普段から存在感を消しているような男が斥候役に適しているのかもしれない。

「俺はガスタだ。Cランクだ。なぁ、マメスさんよ。なんで子供が調査団に紛れこんでいるんだ?俺はガキのお守りなんてまっぴらごめんだ」

不躾に睨んできたのは金髪を逆立てた3人の中では一番若い男だった。ガスタというらしい。

「ガスタくん、この3人は若いが実力は間違いない。あのグレゴリの弟子だと言えば分かってもらえるかな?」

「あの腑抜け魔法使いの弟子だなんて、益々信用できないな!」

「ちょっと!師匠は大人の女が苦手なだけで小さな女の子は平気なんだからねっ!むしろ今や大好物」

シシーが微妙なフォローを入れる。

「2人ともやめんか!このお嬢ちゃん達の実力は間違いない。ワシも一度訓練所でグレゴリとの模擬戦を見たが素晴らしい魔法技術じゃった。必ず役に立つ」

「ちっ」

ガスタはエルムンドに対しては強く出られないらしい。

「俺がジル。こいつらはシシーにダツマです。全員Dランクです。2人は魔法が得意で、俺はどちらかと言えば前衛です。よろしくお願いします」

俺はあえて丁寧な挨拶でガスタを煽った。ガスタの苦い顔を見て、エルムンドがニヤニヤしている。

「今回の調査団はこの6名だ。今後はエルムンドさんの指示で動いてくれ。健闘を祈る」

そう簡単にまとめてマメスは応接室から出て行ってしまった。ちらちらシシーに視線を向けていたが、弄られるのを恐れて退散したらしい。賢明だ。

「さて、明日からのことじゃが……」

エルムンドから準備や明日以降の動きについて話しがあり、その日は解散となった。最後までガスタが不機嫌だったのが気になったが、一発かましてやれば問題ないだろう。既にシシーがエルムンドに上手く取り入っていたしな。本当に恐ろしい子だ。
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