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2話 アイドル配信者のピンチを救え!
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秋葉原ダンジョンへの道はコスプレをしたコンカフェの店員で溢れていた。
『おお! 可愛い子たくさんいる』
『死ぬ死ぬマン、もっと寄って』
『もうダンジョン行かなくてよくない?』
『このままコンカフェ配信して!』
『女の子映してる方が視聴者増えるよ?』
「それは駄目でしょ! 街中でHP高くても意味ないじゃん! ダンジョンに潜ってモンスターを倒さないと強くなれないし!」
コンカフェ店員の誘惑を断ち切り、大通りを進む。見えてきたのはオタクの聖地、アニマイト。
秋葉原ダンジョンはこのアニマイトの地下にある。お土地柄もあり、多くのアイドル系配信者がここをホームにしているらしい。
『今の時間なら結構配信者いると思うよ』
『浅い階に新人アイドルたくさんいる』
『有名どころ狙っていけよ! 死ぬ死ぬマン』
『バズらせるならフォロワー100万人クラスを狙わないと』
「分かりました! 有名どころ狙います!」
アニマイトの地下に降りると、スキンヘッドのダンジョン管理人がジロリとこちらを睨む。
「免許だしな」
「あっ、はい! どうぞ」
財布からダンジョン免許証を取り出し、差し出す。管理人はつまらなそうに受け取り、バーコードリーダーでスキャンした。
「まだ免許取り立てだな。このダンジョンはアンデッドがメインだ。一階のスケルトンならその金属バットでも大丈夫だろう。無理をするなよ」
意外といい人だ。
「ありがとうございます!」
さて、有名アイドル配信者はいるのだろうか?
#
『死ぬ死ぬマン! 今なら二階にアイドル配信者の橋本マリナちゃんがいるぞ! フォロワー20万人の』
「いやいや! 二階に行くとグールとかいるから! たったHP30じゃ無理だって!」
『リスクを取らないとバズらない』
『いいから早く二階に行け』
『あーぁ。せっかくフォロワー増やすチャンスなのに』
クソ! 勝手なこと言いやがって! そんな怒りを目の前に現れたスケルトンにぶつける。
金属バットが頭蓋骨を破壊すると、骨のモンスターは崩れ落ちて煙になり、小さな魔石が残った。
『普通にモンスター倒せるんだ』
『スケルトンは遅いからまぁ』
『イレギュラーな動きしないしね』
『さぁ、早く二階へ!!』
「もうちょっとHPが上がったら行きますから! 皆さん、お友達に宣伝してくださいよ! 俺は友達いないから!」
『死ぬ死ぬマン。かわいちょう』
『Twitterのフォロワー数五桁の俺様が拡散してやるか』
『絶対嘘』
『死ぬ死ぬマンさん! 微力ながらお手伝いさせていただきますね!』
視聴者に向けてお願いを連発していると、徐々に接続数が上がってきた。これ、意外と効果あるな。
「ウオオオオオオ! 視聴者が100突破した!! これならギリギリ二階に行けそう!! 待っててね!! 橋本なんとかちゃん!!」
『橋本マリナちゃんだよ!! テメーより有名だから!!』
『死ぬ死ぬマン、ちょっとおもろいやん』
『よし! 行ってこい!! 爆死するとこ見届ける』
『死ぬ死ぬマンさん! 応援してます!!』
よし。テンション上がってきた。待っていろよ。橋本マリナ。俺がピンチを救ってバズってやるからな!!
「うらぁ!!」
金属バットを振り回し、スケルトンを屠りながら先を急いだ。バズる未来を信じて。
『おお! 可愛い子たくさんいる』
『死ぬ死ぬマン、もっと寄って』
『もうダンジョン行かなくてよくない?』
『このままコンカフェ配信して!』
『女の子映してる方が視聴者増えるよ?』
「それは駄目でしょ! 街中でHP高くても意味ないじゃん! ダンジョンに潜ってモンスターを倒さないと強くなれないし!」
コンカフェ店員の誘惑を断ち切り、大通りを進む。見えてきたのはオタクの聖地、アニマイト。
秋葉原ダンジョンはこのアニマイトの地下にある。お土地柄もあり、多くのアイドル系配信者がここをホームにしているらしい。
『今の時間なら結構配信者いると思うよ』
『浅い階に新人アイドルたくさんいる』
『有名どころ狙っていけよ! 死ぬ死ぬマン』
『バズらせるならフォロワー100万人クラスを狙わないと』
「分かりました! 有名どころ狙います!」
アニマイトの地下に降りると、スキンヘッドのダンジョン管理人がジロリとこちらを睨む。
「免許だしな」
「あっ、はい! どうぞ」
財布からダンジョン免許証を取り出し、差し出す。管理人はつまらなそうに受け取り、バーコードリーダーでスキャンした。
「まだ免許取り立てだな。このダンジョンはアンデッドがメインだ。一階のスケルトンならその金属バットでも大丈夫だろう。無理をするなよ」
意外といい人だ。
「ありがとうございます!」
さて、有名アイドル配信者はいるのだろうか?
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『死ぬ死ぬマン! 今なら二階にアイドル配信者の橋本マリナちゃんがいるぞ! フォロワー20万人の』
「いやいや! 二階に行くとグールとかいるから! たったHP30じゃ無理だって!」
『リスクを取らないとバズらない』
『いいから早く二階に行け』
『あーぁ。せっかくフォロワー増やすチャンスなのに』
クソ! 勝手なこと言いやがって! そんな怒りを目の前に現れたスケルトンにぶつける。
金属バットが頭蓋骨を破壊すると、骨のモンスターは崩れ落ちて煙になり、小さな魔石が残った。
『普通にモンスター倒せるんだ』
『スケルトンは遅いからまぁ』
『イレギュラーな動きしないしね』
『さぁ、早く二階へ!!』
「もうちょっとHPが上がったら行きますから! 皆さん、お友達に宣伝してくださいよ! 俺は友達いないから!」
『死ぬ死ぬマン。かわいちょう』
『Twitterのフォロワー数五桁の俺様が拡散してやるか』
『絶対嘘』
『死ぬ死ぬマンさん! 微力ながらお手伝いさせていただきますね!』
視聴者に向けてお願いを連発していると、徐々に接続数が上がってきた。これ、意外と効果あるな。
「ウオオオオオオ! 視聴者が100突破した!! これならギリギリ二階に行けそう!! 待っててね!! 橋本なんとかちゃん!!」
『橋本マリナちゃんだよ!! テメーより有名だから!!』
『死ぬ死ぬマン、ちょっとおもろいやん』
『よし! 行ってこい!! 爆死するとこ見届ける』
『死ぬ死ぬマンさん! 応援してます!!』
よし。テンション上がってきた。待っていろよ。橋本マリナ。俺がピンチを救ってバズってやるからな!!
「うらぁ!!」
金属バットを振り回し、スケルトンを屠りながら先を急いだ。バズる未来を信じて。
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